お風呂
歩いて家に帰ってきた私は、風呂場に向かった。体を洗いながら、今日起こった異常事態について考えた。まずは、昨日の状況の整理からである。「私はブラック社の屋上から飛び降りた。その高さは飛び降りをするのに確実にあの世に行くことのできる十一階を越える十三階である。飛び降りた先はコンクリートになっており、その場所にはクッションになるようなものはない。言い換えればコンクリートしかない。そして、その日の天気は異常気象などもなく、会話の話題に上がることのないような天気であった。それら全てのことをふまえて私は飛び降りた。私の考えからいくと奇跡が起こる確率は、ゼロパーセントだ。」それもそのはず、私は飛び降りを成功させるために三ヶ月かけて計画を立てるのはもちろんのこと、検証だって沢山した。「一時半から二時が最も人が来ない、家から会社までは歩いて二十四分、外階段を使って屋上に行くには二分二十秒、屋上の鍵をピッキングするのに一分、睡眠薬は三十分五十秒で効く、地面に落ちるまでに二秒五十二。」落ちるまで何秒かかるかは、さすがに検証はできないので、数学が苦手な私は親友に計算してもらった。
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