おはよう

 靴の擦り減る音と頭の激痛によって目覚めた私は、いつもとは違う雰囲気に戸惑いながらも、とっさに辺りを見渡した。寝起きで視界が朦朧としながらも、私の視界は、ブラック社(私の勤めている会社)を、しっかりと捉えた。そして、私は酷く戸惑った。なぜならば昨日、ブラック社の屋上から飛び降りたはずの私が、生きているからである。おまけに無傷なのだ。いきなりの事態に頭が混乱したが、まずはスマートフォンで時間を確認することにした。そこには、五時と表示されており、出勤一時間前に起きれたことに、私は心から安堵した。しかし、このときの私はいきなりの事態に背筋が凍りかけていたが、ブラック社の方が怖い私にとって遅刻しないことの方が大事であった。そんな私には、家に帰り、支度を済ませ、ブラック社に出勤することしか出来なかった。

 家に走り帰りながら思う。正直出勤したくない。昨日、終わりにしようとした私にとって、ブラック社への出勤は苦痛でしかないし、普通に行きたくない。しかし、人通りのある時間に飛び降りるわけにはいかないので、ブラック社に出勤し、真夜中に実行するしかないのだ。今日の予定を確認するためにスマートフォンを出し、今日の日付と曜日を確認した。すると、さっきとは比べものにならないほどの安堵が私にもたらされた。今日は、日曜日だったのだ。ブラック社が、毎週休みにしている曜日である。笑みと涙が同時に溢れた。

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