第132話 アウルム、最弱に?
とりあえずいつもの宿に戻って来た。うちのパーティーのほとんどの財産はストレージにしまってあったから二人の持ってた手持ちしかない。あと数日しか泊まれない。
昨日は悔しくて惨めで寝付けなかった。
「あのバカ王子を暗殺したらどうかしら?」
「それでスキルが戻るかはわからないわよ。それにあの周りの警備はどうするの?」
「そうねぇ‥‥‥」
二人でどうするかずっと部屋で話し合っていた。
「私エルフですって言ったら話無かった事にならないかな?」
「シルヴィアだけじゃない。ワタシはどうなるのよ」
「あ、そっか‥‥‥」
「もういっそのこと私達が後宮に忍び込んで、警備が手薄の隙をついてアウルムのスキルを戻すように脅したらどうかしら?」
「それしか無いわね」
待て待て、そんな物騒な話になってるのか。
「それもまずいだろ。そのあとはどうなるんだよ」
「あとは上手い事逃げ出して‥‥‥」
「勢いでなんとか‥‥‥」
「大事な部分があやふやじゃないか」
「「むう‥‥‥」」
「「「‥‥‥‥‥‥」」」
完全に煮詰まった。
少し気分転換に昼飯でも行こうかな。
そのあとギルドに行って相談しよう。
ーーーーーーーーーーーー
「おーい、そっち気をつけろ!!」
「こっちにロープ、もっとくれ!」
ドラゴンの遺体を王城まで運ぶらしい。
大変そうだ。なんでも解体せずに城まで運ぶように言われたようでそのままみたいだ。
理由はあのバカ王子がそのままの姿を一度見たいから、らしい。街の噂によると‥‥‥
「ホンマにバカ王子やな、見たけりゃ自分で見にくればええものをわざわざ‥‥‥」
「権威がどうのこうのとかの話で下々のところに顔なんか出さないって感じなんやろな」
街での評判はやはりこんな感じだ。
定食屋に入った後も同じような会話が聞こえてくる。
「あのバカ王子に代替わりしたらこの国どうなるんやろうな‥‥‥」
「言うなや、不安しかなくなるやんけ」
「飯が不味うなるからその話やめへん?」
うん、俺もいつもの味に感じなかった。
ギルドにも顔を出してみた。
「アウルム、聞いたで。なんや、めっちゃ大変やんか」
「何か仕事ありますかねぇ、戦闘とか以外のやつ」
「お前さん程の高ランク冒険者は簡単な仕事はないで。あとは申告してランクダウンするかやな」
はぁ〜、ため息しか出ない。
結局具体的な対策も出来ないまま、二人が後宮に入る日になってしまった。
仕方なく王城に近づくと何やら騒がしい。
「なんだ? なんか騒いでるな」
「モンスターでも出たんじゃない?」
「ふふ、まさか‥‥‥」
アンギェエエエーーーーーー!!!!
「今のって‥‥‥」
「ドラゴン‥‥‥?」
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