第126話 操りアウルム②

「武士の魂に何すんねん!?」

 ハンジローの刀を魔族の手前に差し出す。


 ハンジローに切られた部分の再生が終わると魔族は俺に指示を出してきた。

「ぐぬう、貴様も冒険者か‥‥‥? こいつも他の連中同様吹き飛ばしてやる やれぇ!」



「‥‥‥断る」


「「はぁ‥‥‥‥‥‥!? !!!!」」


 ハンジローの刀を針金状に変えて再び魔族達を拘束していく、先程の鉄ロープで更に仕上げの縛り上げだ。

 そしてフェネクスとかいうやつの方には鉄板で目隠しをつける。


「こいつらは俺が引き受ける。みんなはドラゴンの方を頼む。ハンジロー、刀はすまなかった。コレを使ってみてくれ」

 ミスリルで作った刀だ。長さや幅は同じにした。


「いや、軽っ!! なんや、コレ?」

「ミスリルで刀を作ってみた」


「ミスリル!? どうりで軽いと思うたわ。調子出えへんかもしらんけど‥‥‥、任せとけ!!」

 

 ドラゴンの方はずっとカエデが相手してくれていたようだ。



「な‥‥‥、何故『テンプテーション』が解けたのだ!?」

「さぁ? 俺にもよくわからんが‥‥‥」


 気が付くと、母さんの形見のペンダントが光っていた。もしかしたら‥‥‥これのお陰かもしれない。後で落ち着いたら魔道具屋でみてもらおう。


「母さん‥‥‥、ありがとう‥‥‥」


 魔族の方に向き直る。ほぼ全身縛られてイモムシみたいな魔族達、そいつらを先程落とした鉄柱の中に閉じ込める。


「くそっ!! 身動きは取れないが、我々が倒せるわけでもあるまい!?」

「我々の再生力、生命力を舐めるなよ!?」


「舐めちゃいないよ。だからこの状態でどこまで保つのか見てみたいじゃないか」

「おい‥‥‥? なんか熱くなってきたんだが‥‥‥?」


「そりゃそうだ。お前達のために温めているからな。遠慮なく温まってくれよ?」


 魔族を包んでる鉄柱の温度は500℃を超えただろうか? 魔族にとってはまだまだぬるいくらいだよな? 上げていくぜ、融点ギリギリくらいまでな。


「熱っ!! おい、止めろ!!」

「熱ッ!! 熱ッ!! やば‥‥‥」


「遠慮するなよ? しっかり温まっていってくれよな?」



ーーーーーーーーーーーー


「アウルム! 大丈夫なの?」

「アリス、すまなかったな。少しの間操られてしまった」


「どうやってあの魔法から逃れたの?」

「わからない‥‥‥、もしかしたらこのペンダントのせいかもしれない」


「‥‥‥そう? まぁ良いわ。魔族は?」

「今弱らせてるところだ」


「じゃあ先にドラゴンね? シルヴィアは?」

「ここにいるわ‥‥‥、またバレちゃったわね。ごめん、アウルム、アリス」


「何がだ?」

「え? この国でまたエルフだってバレちゃったでしょ? だからこの国に住むのは‥‥‥」


「いや、まだ挽回出来るかもしれないぞ。(ごにょごにょ)」

「えぇっ!?」


「いや‥‥‥、やってみる価値はあるわ。どうせならやってみましょ、シルヴィア?」

「えぇ‥‥‥、うん。やってはみるけど‥‥‥」

「よし、じゃあコレを使え」

「ミスリル製の‥‥‥矢?」


ーーーーーーーーーーーー


 魔神器三姉妹が地面に落ちていた。

 俺のスキルで持ち上げる。

「おい、三姉妹!! いつまで寝てる!? いい加減起きろ!!」

「「「はっ!! 申し訳ありません」」」


「マリとカレンでドラゴンを地上に叩き落とす。ルーはドラゴンの正面で待機しろ」

「「「御意」」」


 よし!! 行くぞ!

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