第125話 操りアウルム
ドラゴンの周りを飛び回っていた魔神器三姉妹は元の武器の姿に戻り地面に落下する。
ドラゴンは何が起きたのか分からず固まっていた。
「ほほう、こいつは随分と珍しいスキルの持ち主のようだな」
「ほほう、フェネクス様。どんなスキルなんです?」
「言うより見せた方が早いな」
アウルムは振り返ってシルヴィア、アリスの方に向かって手を翳す。
「‥‥‥‥‥‥」
「え? うそでしょ?」
「アウルム? やめ‥‥‥」
ドンッ!!!!
二人は吹き飛ばされた。
「おお! 相手を吹き飛ばすスキルですかな?」
「本当にバカなのか、貴様は? そんな訳なかろうが。こいつは金属を操作するようだ。自由自在にこのようにな‥‥‥」
鉄のロープが解かれて、魔族二人の拘束が解ける。
そして兵士が近づけないように金網状に仕切りが張られた。
「どれ、あのエルフの正体を皆に見せてやろうじゃないか」
「‥‥‥‥‥‥」
アウルムが手を再び翳すとシルヴィアを宙に浮かせたまま呼び寄せる。
「くっ、何すんのよ‥‥‥! やめて‥‥‥」
シルヴィアの耳から例のピアスが外された。
髪の色が赤から輝く銀髪に戻る。耳の形もヒト種の丸いそれからエルフ特有のとがったものへと変わる。
「くっ‥‥‥‥‥‥!!!!」
シルヴィアの両手が使えず耳も髪も隠せなかった。アウルムを操られた混乱と動揺により精神が乱れていて変身魔法も使えなかった。
ざわ、ざわ
周囲がざわつき始める。
「エルフだ‥‥‥」
「魔女だ!!」
「まさかあのエルフがドラゴンを呼び寄せたんちゃうか?」
「フハハハ、どうだ? どんな気分なんだ? お前はエルフ! ヒト種とは相容れな‥‥‥」
シュバッ!!!!
言葉の途中、フェネクスの首が切られた。
「胸くそ悪いにも程があるわ」
ハンジローが居合一閃、背後より切り掛かったのだった。
「遅うなってすまんかった。コレ被っとけや」
シルヴィアに自分の羽織を投げるハンジロー。
刀を逆に持ち替えて、アウルムに向かう。
「アウルム、正気に戻らんかい!!」
「‥‥‥? ‥‥‥‥‥‥」
アウルムは一瞬ハンジローを見つめ、目を閉じて手を翳す。
ハンジローも冒険者共通の流行りである金属製の腕輪をしていたため両手をそれ以上動かせなかった。あと10センチで刀の峰がアウルムに当たるところであったのだが‥‥‥。
「う‥‥‥、動かん!! どうなってんねん?」
「‥‥‥‥‥‥」
アウルムに刀を取り上げられたハンジロー。
刀はフェネクスの手前に浮いている。
「‥‥‥くっ!? ん? ‥‥‥、おのれ、武士の魂を‥‥‥、何すんねん!?」
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