第124話 ドラゴン襲来②

「なんだよ、クソっ!! 急に飛びやがって!! 待ち構えてたのに!!」

 アウルムを含む計六人で空を飛んで追いかける。


 ドラゴンは王都の中心の広場に轟音と地響きと共に降り立った。

「きゃあーーー!!!!」

「うわぁーーー!! ド、ドラゴンだぁ!!」


「ドラゴン襲来!! 避難急げ!!」


 突然のドラゴンの飛来に王都民は大混乱だった。唯一の良かった点はハンジロー達の連絡で早めに軍が準備出来た事だった。


「第一部隊、準備完了。迎撃開始!!」

「「「おおっ!!」」」


「魔道部隊、集合急げ!!」

「弓兵部隊、弓構え!!」


 幸いまだ大きな被害は出ていないが、軍の準備が整うのを待っているかの様にも見えた。


 ドラゴンの背中に乗っていた人物が叫んだ。

金髪の細い男だ。


「我こそは上級魔族フェネクス!! この国をいただきに来たぞ。この国の王を出せ!」


「何を寝ぼけた事を‥‥‥? 第一部隊、一斉にかかれーっ!!」

「「「ウォオオーーーー!!」」」


 鍛え上げられた王国兵達がドラゴンに突入する。


「フハハハ、無駄に死ぬがいい! 放てっ!」

「ギャオオオーーーー!!」

ゴォオオオオーーーーーー!!!!


 ドラゴンより放たれたブレスにより第一部隊は灰すらも残らなかった。


「フハハハ、素晴らしい威力だ。さすがは我がしもべ‥‥‥」


ズガガガガーーーーーーン!!!!


 フェネクスの言葉の途中で大質量の鉄の柱が落ちてきて背中の二人諸共ドラゴンに命中した。


 ダメージは浅く、首を振って鉄柱が飛んできた方向をドラゴンが睨む。


ーーーーーーーーーーーー


「まぁ、これくらいで倒せたら苦労しないわな」

 俺たちと三姉妹はドラゴンの周囲に降り立った。


「三姉妹!! 激しく動いて撹乱しろ! ブレスは空以外に吐かせるなよ!」

「「「御意!!」」」


「くっ! なんなんだ、貴様らは?」

「フェネクス様、ご無事ですか‥‥‥?」


 鉄柱がこいつらにも命中したはずなのにこの生命力、再生力‥‥‥。こいつら、魔族か?



(主殿、そいつらは魔族じゃ。間違いない)

(わかった、そっちに集中してくれ)

(御意)


 ドラゴンへの攻撃中にルーが念話を送ってきた。器用なやつだ。


「アンタたちがドラゴンを起こしたの!?」


「フハハハ、いかにも。愚かなニンゲンどもに代わって私がこの国をいただくためにな!!」

「フェネクス様、コイツはニンゲンに化けたエルフですな!」


「なんと! 次のサンプルに欲しかったところだ」


「まったく魔族はお喋りが好きだな‥‥‥」


 鉄柱の一部をロープに変えて魔族二人を縛り上げる。

「ガッ!? 貴様、何を!?」

「フェネクス様、このロープ、鉄で出来てますぅ‥‥‥」


「ぐぅ、おのれぇ。貴様も我がしもべになるが良い!! 『テンプテーション』!!」

「!? しまっ‥‥‥」


 魔族と目があってしまい、意識が遠くなっていった。

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