第123話 ドラゴン襲来

 ドラゴンの巣穴から出てきて数時間、王都の城門が見えたくらいのところで何か聞こえた。


「俺たちが来た方から鳴き声がきこえなかったか?」

「いやぁ‥‥‥、気付かへんかったわ」


 少し歩くとまた‥‥‥


「なぁ? やっぱり聞こえないか?」

「いや、わからんなぁ‥‥‥」

「今のは私も聞こえた‥‥‥」

「私も‥‥‥」


 嫌な予感がして、ルー達三姉妹をストレージから召喚する。


「な‥‥‥? なんや、お前ら!?」

「急に現れよった」


 二人がなんか言ってるが、放っておこう。

 大事の前の小事というやつだ。


「ハンジロー、こいつらは俺の忠実な部下だ。ルー、何かいないか探れ!! あっちだ」

 来た方を指差した。


「主殿、ドラゴンがこちらに向かって歩いて来ております」


「!!!! なんやて!?」

「ホンマかいな? さっきまで寝てたやん!?」


「ハンジロー、この場合どう対処すれば良い?」


「お‥‥‥、おう。この場合、王都民の避難を優先やな。軍には俺から伝えるわ。アウルム、お前らはどないするんや?」


「ここで食い止めれば王都に被害は少ないだろう?」

「お前らだけでか!? いくらなんでも無理やろ」


「あぁ、だから大至急応援を頼むよ」


「あぁ〜、もう、わーった!! なる早で戻るさかい、アウルム死ぬなや!?」


 ハンジローとカエデは応援要請に行ってくれた。


 さてと、どうしたものかな。

 この地面は砂鉄が少ないようだから足止め作戦には使えなさそうだな。

 鉄の玉をぶつけるにしても溶かされちまいそうだしな。

 ミスリルの玉だと軽いから衝撃が少なそうなんだよな。一応やってみるとするか。

 ストレージからミスリルの塊を出して玉にする。


「一応、念のためかけておくね」

 シルヴィアも三人のマントに防御魔法をかけ直してくれた。ドラゴンのブレスにどれくらい耐えられるかはわからないけどやらないよりはマシだろう。


「まさかこの剣を使う時が来るとは思わなかったわね」

 アリスもあの合金の剣を抜いて構え始める。


 三姉妹もストレッチっぽい動きをして迎え撃つ準備万端だ。武器なのにストレッチが要るのかはわからないけどな。


「よし!! かかって来い!!」

と俺が言った瞬間、ドラゴンはその大きな翼を広げて羽ばたき、俺たちのはるか上空を飛んで俺たちを越えて行った。

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