第122話 10日後

 この国に来てから10日ほど経った。

 なんとアリスはハンジローに追いつきつつあるそうだ。才能ってすごいんだな。


「ホンマ驚いたわ、アリスの才能は凄まじいなぁ。ドラゴンですら狩れるんちゃうか?」

「いやいや、まさか!? ワイバーンは見たけどドラゴンはさすがに‥‥‥。ていうかいるの?」


「ここから北に行ったところにおるで。今は暴れたりしないから大人しいモンやけど」

「ウチらはたまに行って様子見てきたりしとるんよ。まぁ、任務の一環やね」


「二人はかなり上級ランクだろ? 二人で狩るのも難しいのか?」


「アレとはやったこと無いからわからへんなぁ」

「ウチら、オーガやゴブリンは死ぬほど狩ってるけどな」


「それで、ついたアダ名が『鬼狩りハンジロー』なのね。町で聞いたわ」

 幕末の四大人斬りの一人みたいだな。流派とかもすごく似てると思った。


「恥ずいわ、やめーや」

 ハンジローが照れてる。


「ウチら、これからそのドラゴンのところに行くんよ。一緒に行かへん?」

「それは安全なのか?」


「ワイらが行って起きてたこと無いわ」

「せやね。あんな立派なドラゴン滅多におらんで」


「アウルム、私行って見てみたい!!」

「私も行こうかな?」


「よし、じゃあ行こうか?」

「「やったあ!」」 

 シルヴィアとアリスがハイタッチした。


ーーーーーーーーーーーー


 

「もうすぐ着くで。ここからは静かに行動してや」

「了解だ」


 火山の火口から下に降りていった大きな横穴にドラゴンは居た。大きなイビキをかいている。


「これは立派なドラゴンだな‥‥‥」

「せやろ? いつからおるのかはわからんけどな」


「これって赤いからレッドドラゴン?」

「文献とかで見た限りではそうやろね」


「火を吹くのよね?」

「鉄が蝋のように溶けるらしいで」


 ミスリルだと大丈夫かな? 

 融点は鉄よりだいぶ高いはずだけど。


 俺の場合は温度に関係なく形を変えられるけどな。


「うっし! 今日も問題無し!! 帰るで」

「ここは空気が悪いから長居したらアカンで」


 確かに火山ガスも立ち込めてるし、あまり長時間はいない方が良さそうだ。

 俺たちは帰路に着いた。



ーーーーーーーーーーーー


「いたいた、フェネクス様。居ましたよ」

「おぉ、これは良いドラゴンだ。最高のサンプルになるだろう」


「薬の用意も出来ました。注射します」

「普通の皮膚だと針が刺さらんからな。鼻粘膜のところに刺せ」


「注射完了しました。ドラゴンが起きそうです」

「グワオォォーーー‥‥‥」

「ちょうどいい、『魅了魔法 テンプテーション』!!!! これで私の思い通りだ。よし、我々を背中に乗せろ!」


 レッドドラゴンは前足で魔族二人を背中に乗せて洞窟を出た。

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