第118話 ヤポンの王都②

 門をくぐって思ったのは‥‥‥江戸?

 テレビで観た時代劇のような街並みだ。

 騎士団が武士っぽい格好だったのでお察しだったな。


「とりあえず‥‥‥何か食べる?」

「そうね‥‥‥、そのあとギルドにも行ってみましょう」

「そうだな」


 という訳でご飯屋さんに。

 さっきからいい匂いがずっとしてたんだ。


「いらっしゃい。3名様? 今なら座敷が空いてますさかい、すぐにご案内出来まっせ」


「ここにしてみるか?」

「「賛成!!」」


「3名様御案内!! 奥の座敷席へどうぞ」


 床は畳敷きだ。いろんなところが日本に似てるなぁ。


「おすすめは‥‥‥刺身定食だって!?」

「刺身って何?」

「聞いた事ないわ」


「うおぉ!! 刺身だ! という事は‥‥‥? あった! 醤油だ!!」

「ねぇ? 刺身と醤油って何?」

「どっちも知らない‥‥‥」


「刺身は生の魚の肉やで。海が近いからなぁ。お姉ちゃんたち、知らんのか?」

 知らない兄ちゃんが話しかけてきた。

 着物だな、横には刀が置いてある。

 若侍って見た目だな。


「醤油はこの黒い液やで。塩辛いからあんまりつけんときや」

 別のお姉ちゃんも話しかけてくる。

 こっちはバインバインのナイスバディだ。

 着物を着崩してるから肩が‥‥‥、谷間が‥‥‥。


 しかしこの国はみんなグイグイくるなぁ。


「えぇ!? 生の魚? そんなの食べられるの?」

「みんな食べてるやん。ワイの一切れ食べてみ? 美味いから」


「これは何の魚ですか? 赤いですね」

「兄ちゃんは知ってるみたいやな。これはクロツーナって魚や。大っきいんやで」


「ツーナ‥‥‥マグロですか?」

「マグロってなんやねん? クロツナは3メートルくらいあるで、知らんけど」

 マグロのようでマグロでないツーナという魚がいるらしい。


 二人は恐る恐る食べてみた。ちょっとだけ醤油もつけて。素手で。


「「!! 美味しい!!」」

「やろ? 良かったわ。ママ、この三人に刺身定食。ワイのとこにツケといて?」

「はいよっ! 刺身三つ〜」


「ええ? そんな、悪いですよ」

「ええて、ええて。兄ちゃん、イケそうな口やな。コレも試してみるか?」


 徳利を持ってお猪口を差し出される。薄く濁った日本酒っぽいな。

「これは「サケ」ですか?」


「なんや、知ってんのかいな、ご名答や。ほれ、ぐっと空けたり」

 結構注がれた。まぁ大丈夫だけど。


「! ‥‥‥美味い」

「いい飲みっぷりだな、兄ちゃん。姉ちゃん達も飲むか? ほれ、遠慮せんと」

「! コレも美味しい!」

「刺身に合いそう!」


「せやで、刺身にはコレが一番合うやろ」

「刺身定食、お待たせ〜、ご飯お代わり無料やからいっぱい食べてな」


 おお!! 真っ白なご飯に味噌汁まで!!

 前世で見たものと遜色ない! 見事!


「ここはちゃんと白いご飯なのね」

「このスープはなぁに?」


「味噌っていう調味料で作ったスープだな。味噌も探してたんだ‥‥‥、全部揃った‥‥‥」

「美味しい! 全部美味しいわ」


 シルヴィアもアリスも和食は大丈夫みたいだな。

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