第112話 アレ探しの旅③
「せっかくだから今日はここで泊まらない? ピアスも手に入ったから魔力は問題ないし」
「えっ、シルヴィア大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。そのお米ってのも食べられるかもしれないし‥‥‥」
「そうだな!(キリッ)」
「決断早っ!!」
アリスにツッコまれてしまった。
一応ギルドにも顔を出しておくか。
「はい、こんにちは! 今日は依頼ですか? 報告ですか?」
「あ、近くに寄ったので。タイタン王国で冒険者してるアウルムと仲間です」
カードを差し出す。
「えーっと、パーティー【アウルヴィアリス】の方達ね?」
そう、アリスもパーティーの一員になったのでパーティー名を変更したのだ。三人の名前を繋げただけなんだけど。
「そうです。とりあえず預金を下ろしてください」
「わかりました、金額は‥‥‥」
さっきのピアスで手持ちが心許無くなってしまったからな。
「アウルム! こっち! 料理頼んでみたわ、コレがお米なの? この粒々?」
「うおおお!!!! コレだよ、コレ!!」
「すごい興奮してる‥‥‥、よっぽど食べたかったのね‥‥‥」
あまりに騒いでいたので店の人が出てくる。
「兄ちゃん、米好きなんか? 俺なんかはあまり美味いとは思わねぇけどな」
米はあった、確かにあった。
ただし白米ではなかった。いわゆる玄米だ。
炊き方もいい加減なんだろう。バサバサで固い。
「コレ炊く前のやつ、少し売ってくれないか?」
「あぁ、最近仕入れたんだけどあんまり捌けないからな。いいぞ」
「そこまでは美味しくないよね」
「こんなのを求めてわざわざ来たの?」
「いや、勘違いするな。米の本気はこんなものじゃない」
玄米なのであれば精米すれば良いのだ。ここにあるのが玄米なのはおそらく保存のためだろう。
精米とは玄米の糠部分を取り除いて白米にする作業のことだ。日本では古くから行われてきたのだから魔法のあるこっちの世界で出来ないはずはない。
「確かこんな感じだったはずだが‥‥‥」
前世で調べたことがあったはず。うろ覚えだけど。
攪拌式という方法がシンプルで良さそうだな。
米よりも網目の細かいざるに玄米を入れ、羽のついた撹拌棒を回転させれば玄米同士の摩擦によって擦れ合い表面を削り取って白い米(精米)になる方法だ。
今の俺ならざるや羽付き撹拌棒なんかは目をつぶっても作れるし、精米機はモーターで動くのだろうが俺はスキルを使えば問題無い。
あとは糠が飛び散らないように外装と蓋を取り付けて‥‥‥。
「ねぇ? ご飯食べないの?」
「あ、ごめん‥‥‥」
やっちまった、夢中になりすぎたわ。
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