第104話 アウルム邸? アウルム号?

「まぁまぁ、とりあえず入ってみましょうよ。それにしても面白い形ね。どこから入るのかしら?」

「ああ、そこに立って‥‥‥」


 ニュアンっと不思議な音を立てて入り口が開く。開くと階段状になっている部分が動き出す。

前世でいうところのエスカレーターだ。


 だがみんな乗ろうとしない‥‥‥?

「どうしました? こうして乗ってください」

「「階段が‥‥‥動いてる‥‥‥!?」」


 あぁ、そうか。こっちにエスカレーターはないもんな。

 

 俺に促されて、みんなおっかなびっくりで乗って上がって来た。

「これは‥‥‥、考えたら便利なものだな」

「階段が動いて上の階に運んでくれるんですものね」

「さすがアウルムね!」


 いや、まだ入り口だけだから‥‥‥。


「中は‥‥‥暗くて何も見えない‥‥‥」

「あぁ、カレン。すまないが少し魔力をもらうぞ。そこに立ってその棒を握ってくれ」


「ご主人様、こう? ひゃっ!!」


パッ!!!!!!!!


 一瞬にして明かりがつく。カレンの雷属性魔力を使って電灯‥‥‥じゃないな、魔力灯を作ってみた。

 以前実験してた時にカレンがメタルスライムゼリーを触ったら発光したので研究した結果だな。


「「「!!!!」」」

「明るい!!」

「なんで火も使わず明るくなるの!?」


「まぁ、魔力を光に変換してるとでも言えば良いのかな? まぁ、そんな感じ。はい、次行くよ〜」


 エントランスを抜けると廊下と階段が目に入る。部屋もたくさん作ってある。全てにおいて金属製だけど。


「シルヴィアとアリスはあとで好きな部屋を選んで。他の方はこちらにどうぞ」


 まぁ家でいうリビングルームかな、広いけどね。と、言っても貴族の応接室ほどではない。


「とりあえず椅子を出しますね」

 床から金属製のソファが現れる。金属製ではあるけど柔らかくしてある。


「‥‥‥座ってみると変な感じだな。感触は金属なのに柔らかくて‥‥‥」

「でも、座り心地良いわね、アウルム、これは公爵邸にも用意出来ない?」


「私がいないとただの金属のベンチになりますけど‥‥‥」

「そ‥‥‥、そうなのね‥‥‥。残念だわ」

 ヒルダ様はガッカリしてしまったようだ。

 スミマセン。


 エントランスから声がする。

「ねぇ、ご主人様〜!! もう魔力吸われなくなったけど離しても良いの〜?」


 どうやら充電がいっぱいになったようだ。

「あぁ、大丈夫だ。ありがとな、カレン! また頼むと思うけど」

「はーい、任せて〜」


「で、この船?家?は飛ぶのか?」

「もちろん、入り口を閉めてそろそろ行くか」


バタン!!


 俺は内部にいればどこからでも閉められる。


「よし! 離陸します!!」


 特に音もなく浮かぶ。まぁ俺のスキルだからな。

 

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