第102話 報告②
「アウルムよ、其方は‥‥‥優しいのだな」
穏やかな目で陛下は仰った。
「確かに犠牲者も少なからず出た事だろう。だがアウルムよ、お主があの教会にあった魔道具を破壊してくれねば将来的により多くの被害者が出た事だろう」
「そうよ。あのまま異種族への差別が強くなってたら間違いなく国力は低下してたはずだわ」
「それにあの『戦艦グランホルスト』なんじゃがな、魔力の消費が激しくての。魔族の奴らであれば上手く動かせたのであろうが」
「そうなんですか?」
「カリュプス侯爵、元侯爵だな。奴はよく使っていたようだがな。そう言った意味ではあの戦艦も魔道具のようなものだ」
「なるほど‥‥‥」
「元侯爵邸に勤めてた無実の者たちの遺族には国から見舞金を出す事になった。お主が気に病むことなど何も無いよ」
そこまで聞いて、涙が溢れてきた。
「あ‥‥‥、ありがとう‥‥‥ございます」
「泣かなくても良かろう」
「良かったわね、アウルム」
「うん‥‥‥」
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「それでは、改めて参ります。失礼致します」
「うむ、息災でな」
「行きましょ、アウルム」
「ああ」
俺とアリスは飛び立った。
帰ったら、みんなに伝えなきゃな。
次に来る時は全員で来よう。
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アドベントの街のイーリエさんの屋敷に到着した。公爵夫妻とシルヴィアも一緒にいた。
みんなにまとめて報告した。
ブラス様は予想通りといった顔で俺をみてた。
本当に言ってた通りだったしな。
「私たちは王国に戻ることにするよ。あの王の目付け役も必要だろうからな」
「そう言ってたわ。教わりたい事がたくさんあるって」
「アリスはどうする? 随分アウルムも慣れたようだが‥‥‥」
「ワタシはアウルムといるわ。良いわよね?」
「ああ、勿論だ」
「俺は公爵夫妻の護衛隊長だから勿論な」
「私も公爵家のメイドですから!!」
ハンニバルさんもミランダも獣人だけどもう戻っても大丈夫だろう。
ここに帰ってくる前に王都でヒト種の子供と獣人の子供が遊んでるのをみかけたからな。
イーリエさんにお礼を言って荷物をまとめて出てきた。また会うだろって言われたし、その通りだと思う。
「ところで、みんなでどうやって戻るの?」
「それはな‥‥‥ちゃんと考えてあるよ」
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