第101話 報告
作業終了報告のために王城に。
アリスも待たせているしな。
「作業は終了致しました。陛下によろしくお伝えください」
「あぁ? アンタがアウルムさんかい? 陛下から来たら通すように言われてるんだ。どうぞ」
えっ? あの王様、気安すぎるだろ‥‥‥。
大丈夫なのか?
「おぉ!? アウルムよ! まさかもう終わったのか?」
「あ、はい。一応は‥‥‥」
「‥‥‥アウルムよ、一度余にそのスキルを見せてくれぬか?」
「あぁ、はい。では‥‥‥」
ストレージから取り出した鉄の玉をいろいろと形を変えて見せた。
皿のようにしたり、柱のようにしたり。
そうだ、せっかくだからアレを作って差し上げよう。
玉に戻した鉄を今度は細かく散らして集める。
人の形を作っていく、陛下が剣を掲げている姿の鉄像だ、特別だからミスリル箔でコーティングすれば錆びることもなく長持ちするだろう。
宙に浮いた陛下の像を陛下の元へゆっくりと運ぶ。陛下も思わず手を差し出していた。
「ではこちらをどうぞ、陛下」
「お、おぉ!!! これは余であるか? 素晴らしい!!」
お気に召したようだ。
「アウルムよ、どうだ? アリス嬢とのこともあるし、この国で腰を据えて冒険者として働いてみぬか?」
「そう‥‥‥ですねぇ」
「お主のもう一人の妻はエルフだとか? 是非会いたい! 今度連れてきてくれぬか? 謝罪も込めて最大限のもてなしをさせてもらいたい」
「はい、それは聞いてみます」
「陛下はアウルムの事をかなり気に入ってらっしゃるのね?」
「国を救ってくれた英雄だからな」
「いや、その。そこが違和感しか無いのです。私のやった事は破壊行為です。国のシンボルとも言えような『タイタンの角』を勝手に引っこ抜いて本教会を破壊しました。国軍の象徴たる『戦艦グランホルスト』も破壊しました。犠牲者も大勢出た事でしょう」
ずっと気になっていた事がようやく言えた。怒りや恨みを晴らすべくやりたい放題やった結果、魔族とは別に被害者も出たはずだ。
でも、陛下は穏やかな目になってこう仰った。
「アウルムよ、其方は‥‥‥優しいのだな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます