第100話 謁見③

「陛下、あの侯爵邸と戦艦の件なのですが‥‥‥」

「おぉ、アレはなぁ‥‥‥、アウルムよ。撤去してもらえないだろうか?」


「もちろん、撤去はします。あの弁償とかは‥‥‥?」

「ん? 何を言っておるのだ? 撤去する費用の方を聞きたいのだが‥‥‥」


「?」

「ん?」


 しばらく沈黙が続いた。


「あー、もう陛下。陛下はあの戦艦の破片と瓦礫をなんとかして欲しいんでしょ?」

「うむ、その通りだ」


「ならアウルムなら簡単よ。ね?」

「あぁ、まぁ金属は大丈夫だ」


「ならば撤去費用はタダで。戦艦と侯爵邸の弁償も無しで。侯爵の土地や財産に関しては王家が没収するでしょう? あの戦艦の金属はもらってもいいかしら、陛下?」

「あぁ、構わん。好きにしたまえ」


「じゃあ交渉成立ね」

「あと、もう一件。巨大なモンスターの出現やモンスターパレードの際は協力してもらえるかの?」


「それは、もちろん! 及ばずながら協力させていただきます」

「それはありがたい」


 こうして陛下との会談は終了した。

「あぁ‥‥‥、緊張したぁ‥‥‥」

「そう? 私は陛下といとこ同士だから慣れてるけどそんなものかしらね」


 

ーーーーーーーーーーーー


 元侯爵邸にやってきた。あれだけの大きさの屋敷が跡形もなくなっていた。我ながら派手にやったなぁ。


 戦艦グランホルストは原型を半分くらい残して無残な姿になっていた。

「さて、じゃあやるか」


 手を翳して、船を分解していく。改めて見るとすごい大きさだ。ストレージも同時に展開して回収していく。 


 ふむ、ミスリルも結構使っているな。

 おっ? もっと珍しいオリハルコンも少量、アダマンチウムも微量ながら手に入った。


 これはありがたいな。


 戦艦の分解作業は一時間程度で終了。


 瓦礫の撤去に移行する。

 侯爵邸は鉄と石を組み合わせた鉄筋コンクリートみたいな瓦礫が多いな。鉄筋の入った大きな瓦礫はそのまま浮かせて一ヶ所に集める。

 金属片や鉄筋の折れたやつはまた別の箇所に。


 石のカケラは動かせないのでとりあえず保留。

これは手で拾えるだろうからそのまんまでもいいだろう。後でスラムの人や獣人なんかに日雇いの仕事として与えるのだろう。

 以前ダンジョンでやったように鉄板をブルドーザーのブレードのようにして瓦礫を一箇所に集め寄せる。こうしておけば片付けもしやすいだろう。

 瓦礫はタイタンの角があった所の穴埋めに使うらしい。

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