第90話 魔族

「意外と装甲は薄いんだな? 魔族なのにな」

「何を!? 馬鹿にしとるのか!?」


「あぁ、そうかもな‥‥‥?」

「あぁっ!? キサマ‥‥‥むぐっ!!」


 魔族相手に手加減はしない。船の装甲を次々使い、鉄筋で縛り上げる。


「主殿、我々が首を斬りますか?」

「いや、魔族は再生能力が高いと聞いている。首を斬って倒せる訳じゃなさそうだ。拘束して時間をかけて魔力切れで殺すのがいいだろう」


「はっ!! やれるものならやってみ‥‥‥!? ぎゃあ!! また何をした!?」


「あぁ、さっきの鉄筋で縛り上げるだけじゃダメかと思って身体中に食い込ませてやったのさ。説明受けないとわからないのか?」


 身体中に鉄筋や針金を入れてやったからもう身体は1ミリも動かせない。


「ぐぬぬ、これからどうするつもりだ!?」

「そうだなぁ、どうしようかな?」


 タイタン王国民の前でスキルを使ってしまった。そういうスキルの持ち主とバレちゃっただろうなぁ‥‥‥。

 また別の国を探さないといけないかなぁ。


「そういう事ではないわ!! 私をどうするのか聞いておるのだ!」

「え? あ、そっち? そして俺声出てた?」


「出てたわ!!!」

「お前は助からないよ! 安心してよ」


「出来るかー!!!」


 思ったよりノリの良いやつだな。


 ルーに質問してみた。

「こいつらの再生能力が高いのは魔力が多いからなのか?」

「その通りですな」


「じゃあルー、お前が魔力を吸収したら再生能力が失われるんじゃないか?」

「おぉ、そうですな。では早速‥‥‥」


「や、やめろ!! やめてくれ!! 再生出来なくなる!! やめろ!!」


 ルーはぐんぐん魔力を吸収していった。


ーーーーーーーーーーーー


「魔力の質はともかく、量は良かったですな。全盛期にだいぶ近づきましたわ」

「うん、見たらわかるわ‥‥‥」


 ルーは最初は幼女の姿だった。この二年間で10歳くらいの身長になっていたのが、今この場で高校生っぽいサイズに変化した。


「ふむ、現状七割といったところでしょうか。やはり魔族の魔力はそれ程に多いですな」

「でも、姉さんは燃費が悪いからねぇ」

「でも、そんなことよりコイツらにトドメ刺した方が良くない?」


「そういえばそうだねぇ。旦那、どうするんだい?」

「あぁ、それについては考えてあるよ」


「で、ご主人様。具体的にどうするの?」

「まずはこうする」



 ザッバーーーーーーン!!!!


 グランホルストを徐々に浮かせて離水させた。

まぁ、なかなか重いな。


「‥‥‥‥‥‥」


 驚いているようだな、魔族のくせに‥‥‥。


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