第89話 タイタン像の破壊?

「ありがてぇ、ありがてぇ! よくぞこの建物をぶっ壊してくれたぜ」


タイタン像の周りに人が増えてきたな。

 せっかくだからこの像はこのままにしておこうか。みんなありがたがってるみたいだし。


「巨大な魔力反応!! あの船です!」

 ルーが叫ぶ。


「ん? 動いてるのか?」

「巨大な魔力が収束してます、こちらに撃ってくるかも知れませぬ」


 俺は嫌な予感がして、叫んだ!

「みんな!!!! 像から離れろ!!」


ドンッッッッ!!!!

ズガァァァーーーーーーン!!!!!!!!


「「キャアーーーーーー!!!!!!!」」

 タイタン像の胴体が吹き飛んだ。

 周囲に破片が飛び散る。


「危ない!!!!」

 俺は咄嗟にスキルを使った。

 


 無数の破片は宙に浮いている。

 怪我をしたものはいないはずだ。


 しまった‥‥‥、つい使ってしまった‥‥‥。


 顔を上げた周囲の人たちに見られてしまった。


 とりあえず破片を全て集めて、タイタン像を元に戻す。消滅した分は残ってる部分からバランス良く持って来れば大丈夫だな。

 タイタン像の方はこれで元通りだ。


 目があった獣人に目配せはしたが、居た堪れなくなった俺は三人を引き連れて船の方に飛んだ。




 あの戦艦、船脚は速いが所詮は船だ。

 俺が飛ぶ方が速い。


「旦那、あそこに悪い奴らが固まってるぜ」

「なるほどな‥‥‥、それは都合がいい」



 回り込んで船の先端に降り立つ。

 乗組員が物々しい雰囲気で集まってくる。

 みんな一様に金属製の鎧だ。

 いいのかなぁ? 船の上なのに。


「なんだ、キサマは? どこ‥‥‥がっ!!」

 お決まりのセリフなんか言わせないよ、吹き飛ばして気絶させた。

 目が覚めたとしても動けないように全員の鎧や小手や具足をくっつけてしまえ。


「キサマは誰だ!?」


 おっと本命のお出ましか。

「これはこれは。教祖様とお見受けします」


「誰だと聞いて‥‥‥グホォ!!」


 教祖は指輪をしてたので、とりあえず自らを殴らせてみた。


「ぎゃっ!! な、何をする!?」

「名乗るほどのものではありません。そうですね‥‥‥、強いて言えば「エルフの夫」ですかね?」


「ぎゃっ!! き、きさまが!? ぐはっ!!ぐぬぬ‥‥‥、なんだ、この怪しげな術は‥‥‥? ギャフッ!!」

 自分で殴りながらよく話が出来るな。


 ルーが教祖を指差して叫んだ。

「主殿! こやつは魔族です!!」

「なに‥‥‥?」


 魔族とは強大な魔力を持ち、人間を滅ぼし世界を支配しようとする種族の事だ。

 滅多に見かける事はない、俺も見るのは初めてだ。

 変身を解き、正体を表した。目は赤く、山羊のような角と蝙蝠のような翼が生えている。


「くくく、よくぞ見破ったな。バレてしまっては仕方がない。せっかく上手くいっていたのに、あの像はキサマの仕業か?」

「‥‥‥そうだとしたら?」


「八つ裂きにしてやる!!!!」

「へぇ‥‥‥、どうやって?」


「この爪‥‥‥ガッ!!!!」

 自慢げに話してるうちに魔族の両足裏から突き刺してやった、甲板を変形させてナイフにして。外れないように貫通した先端は曲げて甲板とくっつける。


 ここは鉄の船、俺の武器はいくらでもある。

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