第80話 帰宅 愛の巣へ

「ただいま、シルヴィア!」

「おかえり、アウルム。晩御飯出来てるわよ。それよりシャワー浴びてくる?」


 おぉ! 期せずしてあの新婚夫婦的な帰宅時のアレが!!!!


「‥‥‥シルヴィアにしようかな?」

「私? 私って‥‥‥、!!! えぇ!? ご飯冷めちゃうよぅ。もう! 勝手なんだから‥‥‥」


「大丈夫、魔法で温め直してくれれば‥‥‥」

「出来るけどぉ〜‥‥‥、私シャワー浴びて無いし‥‥‥」

「じゃあ一緒に‥‥‥? ほら、な?」


「な?じゃない〜! もう〜!」


 こういうのもたまらなく可愛い。

 もちろん俺の議案が通過成立した。


ーーーーーーーーーーーー


 ベッドでぐったりしてるシルヴィアに回収してきたミスリルマントをかける。


「あ!! ありがとう! 無事だったのね」


 回収する時の話を伝えた。シルヴィアは聞いて大笑いしてたが急に神妙な顔になり、

「こっちも殺されかけたし、気分も少し晴れたけど‥‥‥。貴族に対してやり過ぎかもね。あいつらを敵に回すとロクな事が無いわ」


「大丈夫だろ。さすがにここがわかるはずないさ」

「うん、だと良いけど‥‥‥」


ーーーーーーーーーーーー


 それからはのんびりと過ごせた。

 ワイバーンの肉と鱗が結構な金になり、ゆったり過ごすには問題なかった。ランクもBまで昇格してた。


 しばらく前、と言っても一年前くらいからカイーロ村のクロム兄さんから連絡があり、やり取りをしている。たまに村に行き使用済みの回収した「ホットカイロ」を還元する作業をしている。

 いつも寒いカイーロ村ではかなり便利だという事で売上は上々だそうだ。という訳で俺のギルド口座にもいくらか入ってきている。


 出費としてかかるのは食費くらいだな。

 それも肉や果物なんかは自給出来ているし、必要となれば俺が飛んで買いに行けば良いしな。


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 と、いった感じで今日は俺は狩りの日だ。

 雑魚は最近はほぼ無視している。狙い目はレアなモンスターだ、この世界では各モンスターの上級種にメタル系というのがいるようだ。


 スライム系でメタルスライム、ドラゴン系ならメタルドラゴンなどだな。メタルドラゴンどころか普通のドラゴンすら遭遇してないが‥‥‥。


 メタル系モンスターに共通した特徴としては基本物理防御が高く、金属の種類によっては魔法防御も高い。外皮なり鱗なりが金属で出来ているので装甲が硬いのだ。

 俺の場合は逆にそいつらの方が戦い易いので、依頼などがあった場合は必ず受けるようにしている。


 今日の獲物はメタルディアだ。金属の角と骨を持つ鹿で素早い動きと角による突進が武器だ。


 だが俺にはどちらも通じない。


 楽勝だな。金属感知で離れていても何処にいるかよくわかる。


 金属感知は集中してやれば1キロくらい、金属操作は球形状に100メートルくらいだろうか? 形状を変えれば最大500メートルくらいはいけると思う。


 あっ、いたわ。

 よし、動きを止めて、と。

 あとは絞り上げるもよし、全身を引き裂くもよしだ。

 モンスターに対して慈悲はない。


 肉と皮と角がドロップされた。肉は消費する予定だが皮と角は売却だ。その足でギルドへ向かう。飛んでだけどな。

 今まで行ったところの近さでいえばアドベント>シデーロス>カイーロ村>タイタン王国の王都といった感じだ。まぁどこも歩いたら何日もかかるけどね。


 買取も終わって夕方には帰宅だ。

「ただいま!!」

「アウルム、おかえり!!」


 こんな感じの毎日だ。

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