第62話 アウルム、公爵家に勤める

 こうして公爵家の護衛団の一員となった。

ハンニバルさんから仕事内容や給与や待遇についても説明があった。


「アウルム、お前は冒険者だろ? ギルドに事情説明に行った方がいいんじゃないか?」

「え? そうなんですか?」


 冒険者ギルドの規定では特定の理由もなく一定期間内に依頼を全く受けない場合には降格処分になるらしい。副業などで収入がある場合、手数料を納めれば処分は免除になるそうだ。

 せっかく積み上げてきた功績を失うのは勿体ない。Cランクまで上がっていたので手数料もまぁ払おうというくらいの金額だった。


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「アウルム、今後はよろしくお願いします」

「アリス様、私には丁寧に話す必要はございませんよ」

「わかったわ、そうさせてもらうわね」



 アリス様の護衛として女学院の送り迎えと外出時に同行すれば良いらしい。公爵令嬢なのでもちろん馬車で移動だ。アリス様曰く護衛団は年上ばかりでアリス様と同世代はいないらしく俺が入ってくれて話しやすくなったそうだ。


「聞いて、アウルム。学院で‥‥‥」


「今日は‥‥‥。アウルム、聞いてる?」


「友達のフランソワが‥‥‥」


 とにかく毎日の行き帰りでアリス様の話は止まらなかった。

 内容に関してはほとんどわからなかったが、ただ話を聞いて相槌を打つだけで満足そうだった。


 女性の話は聞くだけで良いって本当なんだな。

 今日もそう言っている間に学院に到着した。


「アリス様、着きましたよ」

「あぁん、もう! アウルム、また帰りね」


 アリス様の女学院は男子禁制なので俺は入れない。正面入り口には衛兵が、学院内には女性警備隊がいるので護衛は必要無いそうだ。



「アリス様、素敵なレディにお成りください」

「ありがたく存じます」 


 これが俺とアリス様との別れる時の挨拶として定型文のようになっていた。


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 護衛として雇われてから初めての休暇がもらえた。特にする事は無いが、王都の地理を把握しておいたほうが良いだろう。


「アウルム、外出するの?」

「ええ、ミランダさん。この辺の地理を調べておこうと思いまして」


「私も今日は休暇で街に行くの。一緒に行かない?」

「良いですよ」

「よし! 決まり!! 少しだけ待っててね」


 ミランダさんがやってきた。かなり時間はかかったが。

 なんかお洒落してる? まさかな? 

 少し出かけるだけなのにそれはないだろう。


「お待たせ。さぁ、行きましょ」

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