第63話 王都ガイドツアー
「さぁ、どこに行く?」
「この街に来て10日くらいですかね? 正直何がどこにあるのかもよくわかってないんですよ」
「じゃあ一通り案内してあげる。それからその口調はナシ! 私の方が勤めは長いけど同僚なんだから!」
「わかりまし‥‥‥わかった。これでいいか?」
ミランダはまず王城の見える所に連れて行ってくれた。
公爵邸は城のようだと思ったが、なるほどな。うん、王城はさらにデカかった。
王都は外壁と内壁、さらに城壁と三層構造になっておりほぼ中心に王城がある。
「外壁と内壁の間が一般街、内壁と城壁の間が貴族街。今ここは貴族街ね」
「なるほど」
さらに外壁と内壁の間の一部に港があった。
「! アレが船なのか? 大きいな‥‥‥!」
「あれは、戦艦「グランホルスト」、大きいでしょう? 魔導砲が合計八門もあるのよ」
「魔導砲?」
「強力な魔力を弾にして発射する兵器よ。普通の船なら一発で沈むわね」
なるほど、前世で言う「大砲」みたいなものか。威力はこちらが随分と上だろうけど。
「グランホルストは鉄で出来ている船だから火矢も効かないわ。魔法の射程の外から攻撃出来るから普通の帆船では勝負にならないわね」
「すごいな‥‥‥」
「次は一般街に行ってみましょうか」
内壁の門を潜って一般街へ。なるほど、貴族街ほどでは無いがここもこちらで経験のないくらいの大きな街だ。
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「王都に来たならこれを観ないとね。一般街にある『タイタンの角』よ」
「ん? これは‥‥‥鉄の柱なのか?」
「そうよ。いつからあるのかわからないんだけどね。不思議でしょう?」
「鉄なのに錆びていない‥‥‥のか?」
正確には表面は錆びているが、中は錆びていないのが解る。
地球でもインドだったか千年以上前から不思議な鉄の柱が存在しているという記事を見たことがあったのを思い出した。
大きさは桁違いだけどな。こちらは埋まっている部分も含めて20メートルは有りそうだし、直径も5メートルを超えている。
よく見ると、文字が彫ってあるようだ。
「『我が背に住まう者、姿形は違えど等しく平ら也』 タイタンの教えってやつか?」
「知ってるの? そうよ、コレが『タイタンの教え』の元になったの」
ここに彫ってある本文とブラス様から聞いたやつだと少し違ってるけど、それは王族、貴族が支配する為に少し歪めたんだろうな。
「『タイタンの教え』があるから私たち獣人はこうして仕事をもらえて生活出来るのよ。私らは週に一度ここで祈りを捧げるんだ。毎日してる人もいるわ」
「なるほどな‥‥‥」
「お昼はここよ! オークステーキが王都名物の店「ハッピーオーク」!! 良かった、そんなに並んでないわね」
「人気店なんだなぁ。いい匂いがする」
「うん! 美味い!!」
「でしょう? 美味し〜い!」
これは名物になる訳だ。肉も柔らかくて、旨味が口の中に溢れる。皿に残った肉汁をパンにつけて食べるとコレもまた美味い。
元日本人からすると白米をかっこみたいところではあったが無いものは仕方が無いな。
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