第61話 公爵邸にて②
夕飯も終えて部屋に戻った。
「明日の朝起こしに参ります。ごゆっくりお過ごしくださいませ」
「あ、はい。ありがとうございます」
さて、とんでもない事になった。アリスお嬢様の護衛として雇われないかという話だ。このお屋敷をみても話としては良い話だろう。
ストレージからみんなを出して会議だ。
「どう思う?」
「そうですな。我は受けたら良いと思います」
「アタイは反対だな。旦那があのお嬢様を守るのは大変じゃないか? スキルを使えば別だろうが‥‥‥」
「ワタシはやってみても良いのではと思います。ご主人様はまだヒトとしては若いですから色々経験するのも良いのではないかと‥‥‥」
多数決でいえば二対一か。マリもスキルがバレなければ大丈夫って感じだしな。
「‥‥‥やってみるか。スキルもバレないように使うとして」
「御意」
「旦那がその気なら止めないよ」
「チャレンジですね!」
よし、決まりだ。
そうと決まれば寝よう。
すごいな、ベッドがふかふかだ。
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「失礼します。アウルム様、おはようございます。‥‥‥と、もうお目覚めでしたか?」
「あぁ、おはようございます。冒険者としての習慣でして。こんな柔らかいベッドは初めてでした。気持ちよく眠れましたよ」
「それは何より。もう身支度も出来ておりますね。朝食までは少しお待ちくださいませ」
「それじゃ庭を少しお借りしてよろしいですか?」
一通り普段の朝起きた時の身体の解し方をやっておく。街で休めた時のルーティンだな。夜営の時はここまで出来ない事が多いから。
「アウルム様、そろそろお時間です。タオルをお持ちしますね」
「ありがとうございます」
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「おはようございます」
「おぉ、おはよう。アウルムくん。よく眠れたかね?」
「はい、あんなに眠れたのは初めてかもしれません」
「それは何より。ほら、そこに掛けたまえ」
「ありがとうございます」
「おはようございます、アウルム様。朝から動いてらしたのですか?」
「おはようございます。冒険者ですのでいつでも動けるようにしておきませんと」
「大変なのですね」
「もう慣れましたよ」
「さて、アウルムくん。検討してもらえたかな?」
「はい、一つ条件がございます。それでもよろしければお受けしたいと思います」
「条件とは?」
「私はあるエルフを探しています。私の仲間なのですが行方不明でして。見つかるまでの間というのが条件です」
「ふむ、良かろう。特徴はあるのか?」
「いえ、彼女は変身魔法と変身する魔道具を使っております。見た目で判別するのは不可能です」
「なるほどな。見つからないかもしれないと」
「見つかるまでお世話になりたいと思います」
「そうか、それで良い。よろしく頼むよ」
アリスお嬢様が満面の笑顔だ。
「ありがとうございます、アウルム様」
「護衛ですので『アウルム』と‥‥‥」
「そ、そうですわね。ア、アウルム‥‥‥」
「はい、アリス様」
アリス様はまた顔を赤くして俯いてしまった。
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