第59話 アウルム、隣国へ
「しかし本当に命拾いしたよ。どうやって複数の騎士を?」
「あ〜、それは‥‥‥‥‥‥」
「ブラス様、アウルム殿が困っておりますぞ。冒険者の強さの秘密は守られるべきものですので詮索はその辺で‥‥‥」
「いや、失礼した。そうだな」
「しかし何故仲間割れを?」
「我らは現在ユピテル教と対立していてね。おそらく奴らはそいつらにそそのかされて‥‥‥だろうな」
「ユピテル教?」
「『ヒトによるヒトのための世界を』というふざけた教えの宗教さ。ヒト以外の種族、ドワーフ、獣人、エルフの排斥活動をしているよ」
「なんか聞いたことあるような、無いような」
「王国には太古の昔よりタイタンの教えが息づいているんだけどね‥‥‥」
「タイタンの教え?」
「『大地の神タイタンの背に住まうもの、立場形は違えど平等なり』 王国という形ではあるがな。だから我が王国には「犯罪奴隷」以外の奴隷はいないんだ」
ほほぅ。それは住みやすそうな国ではあるな。種族的差別のない国なのか。でもそれがヒト種だけの国にしようという動きもあると。
「我が国は鉄が豊富じゃ。後で港を見てみるといいだろう。きっと驚くぞ」
国境に差し掛かった。
さすがは公爵様、入国審査もほぼスルーだな。
タイタン王国に入ってからの馬車の運転で気がついた。スピードが速いし揺れない。
「ん? 道が平らですね、もしかして舗装してある‥‥‥?」
「おっ! よく気づいたね。石畳で舗装してあるんだよ、馬車もスピードが出せるんだ。間もなく海が見えてくるよ。アウルム殿は海は見たことあるかい?」
「‥‥‥いや、ないです」
パッと視界が広がる。
おぉ、海だ!!
こちらの世界で海を見るのは初めてだ。
前世では見た事はもちろんあるが、こちらの海はどこまでも青く綺麗だ。
海岸近くの道をひたすら馬車が走る。
陽光が煌めき、海を照らす。
こんな綺麗な景色は前世でも見たことないなぁ。
「もうすぐ王都に着くからね」
王都の城壁の門をぐぐるとそこは紛れもなく都会だった。
王都の街並みはどの建物も高く、日本でいう地方都市と見間違うほど栄えていた。
王都の公爵邸に到着した。
王宮かってくらいデカい。でも公爵って王家の近い親戚筋だもんな。当然か。
「お帰りなさいませ」
「「「「お帰りなさいませ」」」」
執事長みたいな人に合わせてみんなが出迎える。今更ながらすごい人を助けてしまったなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます