第50話 塔攻略②

 その先の階も同じように進んでいった。もうこの辺に来ると他のパーティーもいない。


「まもなく15階のボスフロアですな」

「次はどんなやつなんだ?」


「次は『リビングアーマーズ』ね。動く鎧たちだわ」

「そいつはまた面倒そうな相手だなぁ? 普通の冒険者なら‥‥‥」

「主殿の敵ではあるまいな」


 ずらっと並んだ甲冑たち。こちらを見つけて反応して動いてきた。

 ‥‥‥が、俺が手をかざすとピタッと動きを止めた。


 中身のない鎧だからな、躊躇なく潰させてもらおう。


 グシャッ!! グシャグシャ!!!


 次々と鎧を潰していくと、やがてキラキラ消滅していった。


「私たち、出番がまったく無かったわね」

「金属属性の敵だと勝負にならないな」

「主殿はほんに素晴らしい」


 そうかな? 


 ボスを倒した後のフロアは安全地帯となる。

 ここからが本腰入れて進まなければなるまい。

17階に到達したパーティーは一組だけ、しかもすぐ簡易転移石で帰ってきたらしい。

 果たして何がいるのだろうか?


ーーーーーーーーーーーー


 とりあえず食事と休息にしよう。

 ストレージから鉄板と肉、野菜を取り出す。ここでBBQと行こうじゃないか。

 

 スキルで鉄板を熱くする。炭を起こすより全然早い。野菜はシルヴィアに水魔法で洗ってもらって切ってもらった。俺がちょっとすれば研ぎもいらない。

 皿もフォークもその場で鉄で作ればいい。トングも出来た。

 野菜についてる水分が鉄板で玉状に弾けたから準備OK。

「え? この一口サイズの肉を? これで挟んで‥‥‥? わっ! 熱っ!」

 しまった、タレがないな。

 まぁ、塩と胡椒があるから良いだろ。


「うっま!! アウルム、なにこの食べ方!」

「美味いだろ? こうして食べてみるのも面白いよな?」


「ねぇ、少しだけワイン無い?」

「‥‥‥少しだけな」


「!!!!っ! もう最高!! あぁ、もう動きたく無いわね」

「じゃあいっそここで一泊しようか? ずっと動いてたしな。続きは明日でいいだろ」


「いいの?」

「まぁ、いいだろ」



 終わった鉄板を一度粒子に分解すると焼肉の汚れも全て落ちる。それから今度はベッドの形に変える。微調整も可能だ。


「あ、もう少し腰のほうを下げて‥‥‥、あ、いい感じ!」

 あ、というかウォーターベッドみたいに柔らかくすれば‥‥‥出来た。


「えぇ!? なにこれ!? しかもほんのり温かい。あぁ、気持ちいい‥‥‥」

 シルヴィアは寝てしまったようだ、ワインも少しと言いつつ結構飲んでたしな。


 俺も寝よ。

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