第29話 フロアボス

 このダンジョンは五階毎にフロアボスがいてこの階は『ガーゴイル』のようだ。近づくと石像が動き出す悪魔のような姿のモンスターだ。


『あやつは元が石像じゃから血が流れておらん。我は休ませてもらおう』

と言ってルーは黙ってしまった。休眠しているのか?

 まぁ、石像相手にナイフはあまり有効ではないだろうな。


 と、なるとハンマーみたいに砕くのが良いかな‥‥‥?


! 閃いた! 


 イメージは鉄球クレーン車のアレだ。


 ストレージから有るだけの鉄を取り出して一塊にする。出来た大鉄球をガーゴイルっぽい石像に高速でぶつける。離れたところからの一方的な攻撃だ。


ガキーン!! ピシピシッ! 

ガラガラガシャーン!!


 動く石だけあって岩ほど硬くはないようだ。あっけなく砕けた。石像の破片がキラキラと消滅していく。

 よしよし、この調子で全部壊しちゃえ。


ガシャーン! ガシャーン!


 うーん、採石場みたいになったなぁ。

 消滅するのもあるけど、しないのもあるなぁ。

 あれ? これは‥‥‥本物の石像か?


「アウルム‥‥‥、コレはもしかして美術品かも‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥」


「見なかった事にしようか」

「そう、私は何も見てないわ」


 砕けた石が邪魔なので大鉄球をブルドーザーのブレードみたいにして端に寄せた。

 よし、歩きやすくなったぞ。


「アウルム、宝箱があったわ」

「よし、離れて」


 パカッとスキルで離れたところから開けた。罠は無かった。

 中身を確認すると‥‥‥


「ミスリルのインゴット! 大当たりね!」

「よし、目標達成だな。戻ろうか」


 ダンジョンの奥に転移魔法陣があったのでそれで外に出られた。


「あー、外の空気は美味いな!」

「本当ね」

『おっ? ここは外かや? ガーゴイルは倒せたんじゃな』


 帰り道で現れた雑魚モンスター達を狩りながら町に戻った。

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