第20話 戻ってきた
「シルヴィア、戻ったよ」
「おかえりなさい」
「これ、荷物。あとこれを餞別だって預かった」
「あら、何かしら」
預かった小袋から出てきたのはピアスだった。
「あ‥‥‥、コレは!?」
「何かすごいものなのか?」
「着けてみるわ、見てて」
耳に付けると、シルヴィアの尖った耳が人の耳の形に変わっていく。髪の色も輝く銀色から燃えるような赤に変わった。
「変わった? コレは認識阻害の効果がある魔道具なのよ。これでエルフには見えないでしょ?」
「変身の魔法なら使えたんじゃなかったか?」
「このピアスをつけると魔力の消費がすごく少なくて済むのよ。前から欲しかったの、覚えててくれたんだ‥‥‥」
「魔道具屋の主人はキミがエルフって知ってたの?」
「言った事はないけど‥‥‥、もしかしたら知ってたのかもしれない‥‥‥」
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「これからの予定はまず隣町に向かうわ。そこからダンジョン都市カルコス行きの乗り合い馬車が出てるからそれに乗って移動ね」
「日程としてはどれくらいの予定だ?」
「隣町までは一日半、カルコスまでは二日くらいかしらね」
「隣町で少し補給した方がいいな」
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隣町への道中、シルヴィアと話しながら。
「アウルムのそのスキルは魔力切れを起こさないの?」
「どうやら魔力とは違うみたいなんだ。俺、魔法は使えないしな」
俺がスキルで出来ることは
①金属の形状を自由に変えられる
②金属を自由に動かせる
③金属の温度を自由に変えられる
④金属の酸化還元を思うように出来る
⑤金属の位置が把握出来る
⑥金属に対しての知識
いざという時に使えなくなるのでは困る。
回数制限なのか?
「戦闘しながら検証してみるしかないな」
そうしてるうちに出てきた、コボルト達。
俺は人がいないところでは常時鉄球を手や身体の周りに周回運動させている。これをそのままぶつけてもいい、ナイフに変えて切り刻んでも良い。
コボルト達はほぼ必ず「コボルトナイフ」という短剣を装備しているらしい。それがなかなか良い金属らしいのでかき集めるとしよう。
一匹あたり一個持っているらしいので取り上げる。おう、おう、なかなか集まるなぁ。相当いるということだ。切れ味自体はイマイチなナイフでも突き刺す事は出来る。
ナイフを取り上げられただけで動揺しているので仕留めるのは簡単だった。
「あれだけのコボルトをいっぺんに仕留める事が出来るなんて‥‥‥、アウルム。貴方はやっぱり規格外よ。人間に見つかると厄介だと思うあなたの師匠さんの意見は正しいわ!」
「そう‥‥‥なのか。わかった、ありがとう」
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