第21話 隣町にて

「やっとついたわ、ここで一泊して明日カルコス行きの馬車に乗りましょ」

「よし、俺は食料と情報を調達してくる。シルヴィアは宿の確保を」


 冒険者ギルドに着いた。ギルドは酒場も併設されていて情報収集にはもってこいなのだ。


「おいおい、見たところ駆け出しだな?」

「随分と細いな、大丈夫か〜?」

 カウンターにいたガタイの良い冒険者ぽい男達三名が話しかけてきた。

 前世の漫画でみたヒャッハーって言ってバギーに乗り消毒してきそうな風貌だ。これは新人冒険者が絡まれるテンプレってやつか?


「はい、そうですが‥‥‥」

 少し警戒して返事をした。


「カルコスまでは約二日かかるぞ。食料はちゃんと用意するんだぞ!」

「無理は絶対するなよ! 冒険者は無理しがちだから。『まだ行けるはず』って言ってたら引き返せの合図だぞ」

「装備の手入れはキチンとしろよ。例え、飯を減らす事になったとしてもだ!」


 違った、ただの良い人達でした。

 話を聞くとイーリエ道場の卒業生らしく‥‥‥。


「俺らも走ったぜぇ、それこそ暗くなってからでも走るのは出来るからってよぉ」

「あのホイッスル、トラウマになっててな。アレに似た音聞くだけで反応しちまう」

「でもアレがあったから俺たち生き残れてるのかもな?」


 他にも有意義な情報が貰えたので三人にはビールを奢らせてもらった。


「先輩達に乾杯!!」

「「「後輩に乾杯!!!」」」


 やばい、情報収集なのに楽しくて飲み過ぎた。



ーーーーーーーーーーーー


「シルヴィア! 情報集めてきたぞ」

「こっちも宿が取れたわ」


 宿屋に着く、割と綺麗だ。


「シルヴィア様、こちらが鍵です。部屋は205号室です」


ん?


「アウルム、二階よ。行きましょう」


「シルヴィア、質問いいか?」

「なぁに?」


「俺の部屋は?」

「ここよ」


「お前の部屋は?」

「ここよ」


「一部屋か?」

「そうよ」


「なんでだよ!」

「だって勿体ないじゃない」


「いや、そうじゃないだろ!」

「よく考えて? 別に部屋取ったら料金が倍になるわ。私達は冒険者と言っても駆け出しだし、節約出来るところは抑えないといけないわ。だいたい、この混雑具合で運良く一部屋取れて、ベッドは二つあるのよ、何か問題が有るの?」

「‥‥‥ハイ、スミマセン」


 あるぇ〜? 何故か俺が謝っている?


「私としては手を出されても構わないけど‥‥‥」

 シルヴィアが小声で何か言ってるけど聞こえない。


「決まりだな。明後日馬車が出るそうだから、予定通り明日は一日準備に当てよう」

「そうと決まれば‥‥‥、シャワーを浴びてくるわね」


「なんで‥‥‥、いや、寝る前に綺麗にした方がいいよね」

「? そうだけど。何か期待してるの?」

「いや、してないよ。早く浴びてきて」


 シルヴィアが戻って来た。

「アウルムも、シャワー浴びて来たら?」

「あぁ、そうだな」


 俺も部屋に戻った。

「じゃあ寝るか」

「アウルム、こっち来る?」




「‥‥‥いや、別で」

「ちっ!!」


 舌打ち!? なんで? 

 怖いよ、シルヴィア‥‥‥。

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