第15話 依頼の後

 少し財布が潤ったので、スズとディーンを誘って晩ご飯に誘ってみた。二人とも二つ返事で誘いに乗ってきた。


「アウルム、ずいぶん頑張ってるじゃない」

「俺たちも負けてられないな。昨日はどんな仕事だったんだ?」

「山師のコパーさんってドワーフに‥‥‥」


ーーーーーーーーーーーー


「そういえばこの辺に最近魔女がいるとかなんとか‥‥‥」

「魔女?」

「なんでも耳が長くて銀髪で‥‥‥」

「ふーん、エルフみたいだな?」


 話題はあっちこっちに行ったり来たりしたが、三人で楽しく美味しく夕飯を楽しんだ。


 翌日、装備品の見直しをしようと防具屋に向かった。あの映画のキャラを思い出して何か出来ないか考えていた。で、思いついたというか思い出したのが「空を飛ぶ」だ。


 映画での詳しい説明は確か無かったがおそらく靴と腕輪、胴に金属を仕込めばなんとかなりそうだ。


 という訳で以前イーリエさんに紹介してもらった防具屋「アーマーズ倶楽部」に着いた。

 うん‥‥‥すごい名前だ。


「いらっしゃい、アウルムくんでよかったよね?」

「! 覚えてるんですか? お久しぶりです」


 この人は防具屋のマーズさん。鎧のアーマーとマーズさんでアーマーズという訳らしい。

 倶楽部はどこから来たんだ‥‥‥?


「腕輪とベルト、そして具足が欲しいのですが。出来たら金属製の物はありませんか?」

「わかったわ。とりあえず腕輪はこの辺から好きなものを選んで。ベルトは‥‥‥大きめのバックルのコレでいいかな? 具足は脛当てみたいなやつ? それとも足に履く方のやつ?」


「出来たらブーツみたいになってるのが理想なんですけど‥‥‥」

「それだと特注になるわね‥‥‥。値も張るわよ?」


 こっそり値段を聞いたら予算オーバーだったので、とりあえず脛当ての方を選んだ。


 よし、これで試してみるか!


ーーーーーーーーーーーー


人が来なそうな森の奥の少し開けたところに来た。ここなら見つからないだろう。


 腕輪は普通の金属製の物だ。少し緩いので抜けないようにサイズを調整。ベルトは店でサイズを合わせてもらったので大丈夫。色が光って目立つのでこれは後でなんとかしよう。


 脛当てはズボンの上から付けてみた。

 おぉ、これは意外とカッコいいじゃないか。


「よし、やってみるか‥‥‥」


 意識を集中する。

 なかなか難しいな。映画でも浮くような動きだったしな。別映画の鉄男のようには飛べないかなぁ。練習、練習。


 何時間費やしたかわからないが日が暮れかけていた。やばい、早く帰ろう。森の中はモンスターが怖いからせっかくだし飛んで帰ろう。


 飛ぶのはモンスターに遭遇しないからいいとして遅い。ダッシュで走るのと変わりない。


「こりゃ、閉門の時間までに間に合わないな。どこかで夜営を‥‥‥あっ!!」

 

 ‥‥‥うちの家があった。そうか。この辺りだったか。行きは違うルートで歩いて来たから気付かなかった。空だと直線ルートだしな。

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