第12話 二年後‥‥‥
そんな感じで過ごして二年が経過した。
冒険者ランクとしてはEランクになった。薬草収集などの簡単な仕事をコツコツ続けたからな。
ちなみにスズとディーンはとっくに冒険者として活動している。ランクはDらしい。
秋のある日、イーリエさんに呼ばれた。
「アウルム、合格だ。おめでとう」
ん? 何の話だろう?
「え? なんですか?」
「イーリエ道場、無事に卒業だよ」
卒業‥‥‥、卒業!?
「あ‥‥‥、ありがとうございます」
「冒険者としての活躍、期待しているからな」
「は、はい! ありがとうございます」
「絶対無理はするんじゃないぞ。命あっての物種だからな」
こっちでもその言葉あるんだな。
ーーーーーーーーーーーー
イーリエさんにお墨付きをもらったので、ようやく普通の依頼を受けられる。
今日が本当の冒険者デビューだ。
どれどれ、色々まだ残ってはいるな。ストレージもあるから運搬系の仕事もいいかもしれないな。なるべく早くランクを上げて割りの良い討伐系の仕事が出来るようになりたいところだ。
結局仕事は『山師の手伝い』というのを選んだ。
「アウルムさん、コレは結構な体力仕事ですよ」
「イーリエさんに鍛えられたのでこう見えて体力は割と有りますよ」
「あ、それなら大丈夫かな? わかりました」
イーリエさんの名前を出すとすんなりいくなぁ。
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「おう、おめえさんかい。俺は山師のコパーだ。そんな細くてついて来られんのか?」
「アウルムです。よろしくお願いします。荷物があれば、『ストレージ』に入れるので言ってください」
「おめえさん、貴重なスキル持ってんだなぁ。よっしゃ! じゃあ行くか!」
コパーさんと山に赴く。山師とは鉱山の発掘や調査をする職業の人達の総称だ。
コパーさんはドワーフだ。背は低いが力は強い。ドワーフは山師と鍛治師が多いらしい。
この世界では鉱山をどうやって見つけるかって? そりゃあ土魔法に決まってるでしょう。
コパーさんは土魔法のエキスパートらしいがそれでも探すのは難しい。地球では魔法が無いからどう探してたのかは知らないけど。
土魔法の中には『土壌探知』という魔法が存在して、それが使える一握りの人は山師など鉱山関連の仕事で国を跨いで引っ張りだこらしい。
歩く事数時間。コパーさんが立ち止まった。
「ふむ‥‥‥。この辺はハズレかのう‥‥‥」
「どれくらいの範囲を調べられるんですか?」
「半径5メートル、深さ10メートルといったところだな。興味あるのか?」
「それなりに。やってみて良いですか?」
地面に手を翳す。イメージはソナー。自分の感覚を音波のように飛ばすように‥‥‥。
10時の方向20メートル、地下12メートル付近に金属の反応がある。気がする‥‥‥。
コパーさんに伝える。
「驚きじゃ! おめえさんも使えるんか!?」
「まぁ、少し違いますけど。そんな感じですね」
コパーさんが俺が指定した地点を土魔法を併用して掘り出して、3メートル程掘ったところでまた探知してみる。
「!! あるな。大きい鉱脈だ。大当たりだぞ! アウルムよ!!」
(『金属探知』を取得しました。)
頭の中で無機質な声がした。
これは、スキルを取得したって事?
「アウルム? どうした? 大丈夫か?」
コパーさん優しいな。心配してくれたようだ。
「大丈夫です。すみませんでした。この後は‥‥‥?」
「ここの鉱脈の報告をせねばならんから一度街に戻るぞ」
街に戻る準備をしていると、不穏な気配を感じた。『金属探知』で集中して探ってみる。
!!!!?
これは‥‥‥ゴブリンの群れだ!
しかも囲まれている!
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