第109話 無人島4日目 聖夜が・・聖夜が・・・?変わってしまいました
「一人だけ、そんなに悪くは無い人が居たわね。」
・・・そうなの?
なんか、胸がぎゅっと来た。
そんな僕の手を握って来た美嘉。
その表情は少し心配そうにしている。
「別に、付き合ってたわけじゃないわ。何もしていないし、好きだった訳でもないわ。それは信じて?」
「うん。別に疑って無いよ。」
ちょっと胸には来たけど。
「・・・ごめん。話さない方が良い?」
「美嘉が、話してスッキリするなら話して?」
美嘉は目を閉じ、少し考えて、口を開いた。
「・・・あのね?こっちでのあたしにも幼馴染がいるの。男の子と女の子のね。そして男の子の方は、温厚で優しくて、見た目も優れていた。勉学も出来るし、運動も出来た。そして、お金持ちの息子だった。」
・・・完璧イケメンじゃん。
「で、その彼は幼い頃からあたしの事が好きだったみたい。あたし、心が読めるからね。知ってたんだよ。でも、あたしには転生した時からの記憶があった。だから、その想いを受け取る事は出来ないし、受け取る気もなかった。」
少しだけ辛そうにそう話す美嘉。
「あたしは、これでも、かなりモテていたわ。当然、告白なんかもいっぱいされていたよ。でもね、あたしは『あたしの相手はもう決まってるから』って断ってたのよ。で、どうも彼はそれを自分の事だと思ってたんだよね。」
ぎゅっと強く僕の手を握る美嘉。
「あれはいつ位の事だったかな・・・中学2年生の後半かな?毎晩探査の魔法を使用してもずっと見つからないシュンに、心が折れそうになった事があるの。今、思えば、シュンは高校生だから、引っかからなくても仕方がなかったんだけどね。まだ聖剣持ってなかっただろうしさ。でも、あたしはそれを知らなかったのよ。シュンはその・・・お世辞にも大きくは無いから、少し大きい中学生だって言っても通るだろうから。」
・・・なんなら、今でも普通の中学生の体格でも通っちゃうからね。
あれ?
目から汗が(泣)
「彼からの好意に、心が揺らいだ事がある。」
胸がズキッとした。
でも、それ以上に美嘉が僕を握る手に力が入っている。
痛いくらいに。
美嘉も不安を感じながら話してるんだね。
ちゃんと受け止めきゃ
その覚悟を。
「勿論、その段階で告白されたわけじゃないわ。でも、心も読めるし分かるんだよ。彼は良い人だった。周りもお似合いだって囃し立てていた事もあった。もういいかなって思ったの・・・でも・・・」
美嘉は僕の顔を見る。
「やっぱり、シュンの顔が浮かんできたのよ。あたしを倒して、戦いの中での苦しみを終えて帰れるっていうのに、喜びよりも、あたしに止めをささなきゃいけない事や、あたしを倒した事に対する申し訳無さや、次こそ幸せになって欲しいって想ってる事が嫌って言うほどわかる、涙を称えた微笑みが。」
「・・・」
「あたしは心を決めた。やっぱりあたしはシュンが好き。だから、彼の気持ちは受け取れない。これ以上彼を振り回してはいけない。そう考えて、彼から離れるために受験先を女子校に決めたの。」
そう言って、涙を浮かべながら僕を見る美嘉。
「そして、卒業の時、彼から告白されたわ。でも、当然断った。『あたしにはすでに相手がいる』ってね。でも、そのせいで・・・彼は、少し歪んでしまった。」
「歪んだ?」
「彼の中では、自分の事が好きだった筈の相手がそう言うのよ?だから、アタシが親に結婚を強要されているとか考えたみたい。で、あたしが居ない時にあたしの親へ直談判。当然、あたしの親にそんな事した記憶も無いし、基本あたしの親は全てあたし任せだからね。事務的に相手をされたみたい。そんな事はしてないってさ。」
困った様にそういう美嘉。
「あたしは、何度も彼に、そうじゃないって言ったわ。でも、もうそんなあたしの言葉も信じられないくらいに、思い込みが激しくなっちゃった。あんなにみんなに慕われていた彼は、他の人の言葉も聞く耳をもたず、少し敬遠されるようになちゃった。もう一人女の子の幼馴染がいたけど、その子の言葉も通じないし、あたしはその子に恨まれている。彼を弄んだってね。」
辛そうに言う美嘉
今度は、僕の方から強く美嘉の手を握る。
「その二人とは幼馴染という事だけで、特別親しくした覚えもないんだけど・・・申し訳ないとは思ってる。こんな感じかな。」
みんなが神妙にしている。
思っていたよりもずっと重い話だったからね。
でも・・・
「美嘉。」
「・・・何?シュン?」
僕は美嘉を見つめる。
「僕は、美嘉をその人に渡すつもりは無いよ。」
僕は美嘉にそう言うと、美嘉は嬉しそうに笑った。
「あたしだって、シュン以外とどうこうなろうなんて思ってないよ。それに、シュンがそう言ってくれて、本当に嬉しい。」
美嘉は僕をぎゅっと抱きしめてくれた。
僕も美嘉を抱きしめ返す。
少しの間、無言で抱きしめ合う。
「・・・ずるい。」
ぽつりとそんな声が聞こえる。
ジェミニだ。
「なんかミカばっかり青春してる。ずるいわ!」
「そうです!」
みんなもそれに合意する。
熱量が凄い。
僕はタジタジになって・・・あ、美嘉もだ。
「みんな!」
「「「「「「「「「「「うん!」」」」」」」」」」」
僕は立ち上がったみんなに迫られ・・・捕まる。
そして、
「悔しいから、今から朝まで、大人のクリスマスを過ごしましょう?」
「「「「「「「「「「賛成!!」」」」」」」」」」
「え”!?」
「ちょ、ちょっとあたしは!?」
「・・・たまにはミカもいじめてやりましょう?」
「「「「「「「「「賛成!!!!」」」」」」」」」
「はぁ!?」
「寝室に連れ込んで、二人共ひん剝けー!!」
「「「「「「「「おおー!!」」」」」」」」」
ジェミニの号令で一斉に動き出す!!
「あ、ちょっと!?うひゃあ!?」
「こ、こらどこ触って・・・こら!やめ!?あん!ちょ、はう!?どこ舐め・・・あああ・・・」
「うっふっふ。私という幼馴染がいながら、他の幼馴染を気にするなんて、ミカったら・・・わからせてやるわ。」
「ひゃう!?ジェ、ジェミニやめ・・・あんたどこを・・・あああああ〜!!!!????」
こうして、僕も美嘉もなすすべ無く、めちゃくちゃにされるのだった。
でも、良いか。
今回、僕だけじゃなかったし。
みんなに翻弄される珍しい美嘉が見れたからね。
でも、やぱり性夜になっちゃったかぁ・・・
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