第108話 無人島4日目 聖夜をみんなで過ごしました
「メリークリスマス!!」
「「「「「「「「「「「メリークリスマス!!!」」」」」」」」」」
みんなでシャンメリーのグラスを合わせる。
そしてテーブルに並べられた料理に舌鼓を打つ。
「おいし~!」
「へぇ〜これがクリスマスねぇ。」
「はい、向こうには無い文化ですね。」
「格式ばった形式を気にせずこうやって騒ぐのは良いな。」
「はむ!もぐっ!むぐっ?」
「ほらほらフォーティちゃん。口にタレがついちゃってるよ?」
「こうして、気兼ねなく皆さんとパーティするのは良いですね。面倒な事を考えなくて良いので。」
「そうですねお嬢様。私はいつも大変そうなお嬢様を見ておりますので、お嬢様が幸せそうで嬉しいです。」
「ジェミニかんぱーい!」
「ミドリかんぱーい!」
うんうん。
みんな楽しんでるね!
異世界組のみんなは料理を食べながら向こうとの文化の違いにしみじみとしている。
フォーティの世話を焼いている美玖ちゃん。
まったりとしたパーティを楽しむ美咲と美玲。
グラスを合わせて楽しそうなミドリ叔母さんとジェミニ・・・それ、アルコールじゃないよね?
「嬉しそうね?」
「うん!みんなが楽しそうで僕も嬉しいんだ!」
「そう。」
美嘉が僕に微笑んでくれている。
僕もそんな美嘉に微笑む。
ああ!楽しいなあ!
こうやってクリスマスにお祝いするなんて、父さんと母さんが生きていた頃以来だね!
みんなで話していると、話題は色々と飛ぶ。
美玖ちゃんの仕事の事。
美咲の仕事の事。
今までどんな風に過ごしていたか。
翠叔母さんの学生時代。
向こうでのパーティの様子なんかかな。
面白かったのは翠叔母さんの話。
「私こう見えて、学生時代は結構モテたのよ?」
こう見えても何も、翠叔母さんは綺麗だからね。
今は元の姿だけど、若い時の姿を見る限り、モテモテだったのは予想がつくよ。
「でもねぇ。あんまりいい男がいなくて、学生時代は付き合った事は無かったのよね。なんか私を見てるのか、私の顔とか身体を見てるのかわからなくてさ?」
「「「「「「「「「わかる!」」」」」」」」」
フォーティ以外の女性陣がみんな頷く。
フォーティは今までそういうのと無縁だったみたいだからね。
へ〜って顔してる。
「前の夫はね?以前の職場で知り合ったのよ。上手く隠してたのねぇ・・・というより、初めて男性と付き合う私なんか簡単に転がせたんでしょうねぇ。絵に書いたように誠実な人に見えたわ。少なくとも、私の見える範囲では。だから、驚いたわぁ・・・あんな人だったなんてねぇ・・・ごめんね美玖。」
しみじみとそういう翠叔母さん。
そして、最後に美玖ちゃんに謝っている。
「別に良いわよ。だってママ達が結婚してなかったら、そもそもわたしは生まれてないんだし。それに・・・幸せなんでしょ?い・ま・は!」
ちょっとだけ語尾を強めて翠叔母さんにそう言う美玖ちゃん。
翠叔母さんは苦笑している。
まぁ、その原因は僕だろうから、何も言えないなぁ。
「ふむ、人に歴史あり、か。それにしても、そなた達は面白い符号があるな。」
ポツリと呟くフォーティ。
みんながフォーティを見る。
「フォーティちゃん何が?」
「うん?そなた達は皆、見目麗しい。しかし、男に関してはあまり良い出会いをしていなかったようにみえる。瞬以外はな。」
その言葉に、みんなは苦虫を噛み潰したような表情をした。
「まぁ、そうよね。私も覚えが嫌ってほどあるし。魔族の男共は身体しか見てなかったし、人間の男もそうだったわ。」
「ああ・・・アタシも、シューくんと出会う前は、冒険のパーティに誘ってくれる男達はいたけど、みんなエッチな目してたしねぇ。何が目的かすぐわかっちゃったもん。」
「王侯貴族でも同じ様なものでしたね。誰も彼も、少しそういう欲望を隠すのが上手だっただけで、もし、わたくしの立場が低かったら、無理矢理関係を迫っていたでしょうから。」
「ボクもだな。聖騎士となるまで、放浪の旅をしていたが、鬱陶しくて仕方がなかった。」
異世界組も、
「リリィさんに同意ですね。こちらでも、上流階級にいる人ほど、そういう傾向が強いと思います。婚約者がいるという噂を流してあるのに、未だに執着を見せている者も居ますし。」
「はい。幼い頃の訓練中は気が付きませんでしたが、今思うと、同じ様に訓練していた中には、私にそういう目を向けていた者がいた気がします。訓練を終え、お嬢様のお付きになってからも、何人か言い寄ってきた者もおりますし。」
「わたしも、仕事を斡旋するって言って関係を迫って来たヤツ、何人もいるよ?ていうか、今でもいる。幸い、マネージャーさんが蹴飛ばしてくれてるけど、もし、今のマネージャーさんじゃ無かったらと思うと、ゾッとするよ。」
「え!?そうだったの!?ちゃんと言いなさいよ美玖。」
「ママに言えるはず無いでしょ?心配かけちゃうしさ。」
「・・・これからはちゃんと言うのよ?」
「うん。もう、そこまでモデルにも執着してないからね。最悪辞めれば良いし。」
「・・・もし、困っているようなら、『周防』の系列のモデル事務所への移籍も考えていただても良いですからね?」
「ありがとう美咲。今の会社に恩も感じてるから、何かあったらちゃんと言うよ。」
「そうして下さい。」
こうして見ると、美人って得ばっかりじゃないんだね。
意外だったよ。
「美嘉は何か無いの?」
美玖ちゃんの言葉で、みんなの注目が美嘉に向く。
美嘉は目を閉じた後、ゆっくりと話始めた。
「あたしがアルフェミニカだった頃は、ジェミニと同じね。どいつもこいつも欲望を隠しもしないヤツばかり。まぁ、物理で黙らせてたけどね。で、転生してからは・・・」
少しだけ罰が悪そうにしてる。
なんだろう?
「一人だけ、そんなに悪くは無い人が居たわね。」
美嘉がそう呟いた。
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