第100話 無人島1日目 散策しがてらレクリエーションをしました

 みんなで洞窟を出て散歩する。

 天気は快晴!

 海の波は穏やか!

 たまに見るリスや小鳥なんかの小動物は癒やされる!


 はぁ・・・これは良い旅行になりそうだね。


「さて、そろそろ良いかな。」


 ポツリと美嘉がそう言った。

 なんだろう?


「ちょっとレクリエーションでもしようよ。島の把握も兼ねてさ?」

「レクリエーション?」


 こんな島でするレクリエーション?


「そうそう。」

「何するの?」

「うん、かくれんぼなんてどう?」

「・・・ここで?迷子にならない?」

「だからこうするの。・・・えい!!」


 美嘉が魔力を高め、地形操作の魔法を使う。

 すると、目の前に大きな石の塔・・・というより、モニュメントが出来た。

 

「こうすれば、遠くからでもこの場所はわかるでしょ?」

「なるほど。」

「それと、安全性の確保として・・・リリィ?」

「・・・はい。神護結界術『英雄の鎧』」


 美嘉と美玲、美玖ちゃんと翠叔母さんを薄い光が包む。


「これで、まず怪我は負わないでしょ?」


 ふむ、結界魔法か。

 それも、強力なヤツ。

 これなら、ライオンやクマ相手でも怪我は負わないね。

 崖から落ちても多分大丈夫だ。 


 まあ、僕達には必要ないんだけど。


「うん、わかった。僕は良いよ。」

「念の為、美咲達とはパスを繋いでおくね。そうすれば何かあったらわかるし、助けにも行けるから。」

「ありがとうございます、美嘉。」

「美嘉、ありがと!」

「確かに、これなら安心ですね。」

「ええ、存分に楽しめそうね。」


 美咲たちがそうお礼を言う。

 みんな乗り気だなぁ。

 まぁ、折角無人島まで来たんだし、楽しまないとね。


「最後に、範囲を決めよう。あたし達なら島全部でも良いでしょうけど、美玖達はまだそうはいかないでしょ?」

「うん。」

「だから・・・ごめんリリィ、もう一つ良い?」

「お安い御用です。広範囲結界術『光絶』」


 リリィから光が放たれ、段々と広がる。

 概ね、島方向に1キロ位広がり、ドーム状に覆う。

 この島は広く無い、直径で多分3キロ位だ。

 三分の一位を覆った。


「ふぅ。」

「ありがとうリリィ。じゃあ、ルールを決めようか。活動範囲はこの中で。結界外に出るのは禁止。後、逃げたり見つけるための魔法の行使もね。各自、危険察知なんかのスキルも切っておいてよ?」


 ふむふむ。

 まぁ、スキル使ったら、無い人とは勝負にならないからね。

 スキルは、意識すれば停止出来る。

 ・・・よし、オフっと。


「ああ、時間は・・・今は9時位だから、お昼まででどうかな?今日のお昼はバーベキューにするつもりだから、手間がかからないしね。食材は予め仕込みしてあるし、火を起こすのも簡単だし。」


 なるほどなるほど。


「で、肝心のかくれんぼだけど、変則のものにしよう。隠れるのはシュンだけ。後はみんな鬼。」


 ん?

 僕だけ?

 まぁ、良いか。

 広いし、鬼が一人じゃきついだろうし。


「うん、良いよ。」

「よし、シュンを見つけたら、見つけた人にご褒美なんてどう?」

「・・・まぁ、そうだね。大変だろうし。」


 僕の言葉に美嘉が嬉しそうに頷く。


「オッケー!ご褒美内容はそんなに難しい事じゃないわ。最初の人に見つかった時に聞いて?で、それが終わった後、鬼は5分は動けないって事で。」


 ・・・なるほどね。

 なんだか楽しくなってきた。

 思いっきりかくれんぼするなんて、この年になると無いからね。


 それにしても、スラスラとルールが作れるなぁ。

 凄いや美嘉。


「それじゃ始めよう。シュン?先に森に入って隠れてて?ああ、シュンがズルしたら罰を与えるから。」

「罰?」

「そう、罰よ。」


 ・・・悪そうな顔で微笑む美嘉。

 魔王からの罰・・・怖すぎる!


「大丈夫。勇者の名にかけてズルはしないから。」

「よし!じゃあ始めよう!」


 こうして、壮大なかくれんぼが開始されたんだ。


 ・・・美嘉達の作戦通りに。




side美嘉


 シュンが森の中に駆けていく。

 しめしめ。

 これで上手く行きそうね。


「『転移』」


 あたし達は一度洞窟に戻って着替える。

 格好は水着。

 この方がから。

 美咲達も結界があるから傷一つつかないしね。


「みんな、良いわね?」


 みんなも頷く。

 その表情は気合の入ったもの。


 それも、その筈、シュンのご褒美、それは・・・みんなの目的通りのものだから。


「さあ、始めましょう・・・かくれんぼ、ならぬ・・・山狩りをね!」


 そう、これはかくれんぼではない。

 裏のテーマは山狩り。


 隠れた人を探し出し・・・狩る!!

 

 みつかったらシュンは・・・うふふふふ。

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