第71話 文化祭前夜になりました

「じゃあみんな!明日から二日間!がんばろうね!乾杯!」

「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」


 いよいよ明日は文化祭だ!

 去年と違って、今回はしっかりと参加してるんだ。

 気合も入るってものだね!


「嬉しそうだね、シュン?」

「うん!だってみんなで頑張ったからさ!」

「そう。」


 美嘉も、みんなも、僕を微笑んで見ている。

 心なしか、僕よりも嬉しそうに見えるね。

 なんでだろう?


「うふふ。シュンくんが楽しそうだからよ?みんなが嬉しそうなのは。」

「そうですね。そうしているシュン様を見るのは、わたくし達も幸せな気分になります。」

「そーそー!シューくん頑張ろーね!!」

「微力ながら、ボクも力になるよ。」


 みんながそう言ってくれるのが、僕もとても嬉しい!


「本当に嬉しそうにしますね、瞬さん?」

「ええ、見ているこちらが楽しい気分になりますね。」


 美咲さんも美玲さんも微笑んでくれている。

 とても優しい笑みだ。


「だって僕、今すっごく嬉しいんだ!美嘉がいて、クォンがいて、ジェミニやリリィ、ラピスがいて、美咲さんや美玲さんが一緒に楽しんでくれている!こんな嬉しい事は無いよ!」


 ああ、幸せだな。

 明日は、大変だろうけど、でもきっと楽しい筈だ!

 そして、終わったらちょっと寂しくなって、そして充足感が来るだろうね。

 今からとっても楽しみだ! 

 だから、今日を楽しもう!










「・・・で、なんでこうなるの?」


 僕は今、ベッドの下に隠れてる。

 何故か?


 それはね?


「・・・シュ〜ン〜?どーこー?」

「シューくーん・・・早く〜出ておいで〜?」


 ふらふらとした足取りで、美嘉とクォンが隠れている僕の目の前を歩いて行く。


「シュン様〜?ど〜して逃げるのです〜〜?」

「シュン・・・早くこっちにこーい。」


 遠くから、リリィとラピスが大声で僕を呼んでいる。


「しゅんさ〜ん・・・ひとりにしないで〜?みさき、さびしいよ〜・・・」

「瞬様?お嬢様が寂しがってます。私も寂しいです。出てきて下さい。」


 半べそかいた美咲さんと、目の座った美玲さんが遠くに見える。


 ・・・そう。

 何故か飲み物に混入していた高純度の大人の飲み物のせいだ。

 いつのまにか、僕達が飲んでいたはずのジュースに混入していたらしい。

 僕は、あいにくと強い耐性があったみたいなんだけど、どうやらみんなは弱かったみたいなんだ。


 というか、さっきまで凄く青春していた筈なのに・・・なんでこんな事に・・・

 といより、一体誰がこんな事を・・・?


 僕は、息を潜めて考え込む。

 幸い、この家は広い。

 何せ、家2つ分だからね。

 だから、そうそう簡単に見つからない筈だ。


 早い所脱出したいけれど、魔法を使ったら流石にバレると思う。

 だから、隙を見て異空間にあるこの部屋から出て、現実世界の僕のベッドで寝ようと思ってるんだけど、流石に人数が多いから隙がない。


 こうなったら、長期戦だ!

 絶対に見つからないぞ!

 時間をかけたらかけただけ僕が有利だ!

 みんな多分寝ちゃうだろうしさ。

 

 このまま隠れてやり過ご『ガシッ!!』・・・ガシッ?

 なんか足首を掴まれて・・・うわっ!?


「うふふ♡シュンくんみ〜つけた♡」

「ひっ!?ジェミニ!?」


 僕はそのまま引っ張られて、ベッドの下から引きずり出されて、持ち上げられた。

 おそるおそる足を掴んでいいる人を見る。

 そこには捕食者の目で僕を見るジェミニが!!!


「じぇ、ジェミニ・・・離し・・・」

「ベッドに隠れるだなんて・・・シュンくんったら♡お・ま・せ・さ・ん♡えい♡」

「うわっ!?」


 僕はベッドに放り投げられる。

 そして、服を脱ぎ始めているジェミニ。


「それじゃシュンくん?いただきま〜す♡」

「ひゃああああ!?ジェミニ待ってぇぇぇえ!?」

「あ!?ジェミニ、ズルーい!あたしも〜!!」

「ジェミ姉!アタシもやる〜!」

「シュン様〜?わたくしといんとうにふけりましょー?」

「シュン、ボクはじゅんびばんたんだぞ〜?いつでもこーい!」

「しゅんさん・・・なかまはずれはいや〜!」

「瞬様。お嬢様を泣かせたバツです。身体で払ってもらいますね?」


 僕の叫び声で、みんながわらわあらとゾンビのように集まってきた!

 まずい!


「うふふ〜♡シュンく〜ん♡」

 

 そしてジェミニは待ったなしだ!

 もう、目と鼻の先にジェミニの顔が!!


「くっ!?こうなったら・・・『スリーピングフォグ』!」


 僕は魔法で眠りの霧を出した。


「あら?」「んむ?」「ふぇ?」「あ・・・」「しゅ・・・ん・・・」「ほわぁ・・・」「おじょ・・・う・・・さ・・・」


 みんなは僕に重なり合うように眠りにつく。

 普段ならレジストされるだろうけど、大人の飲み物でベロベロになってる今なら効くはず・・・って、これ・・・僕も逃げられ・・・ZZZZZzzzz・・・」





 翌朝、いつも早起きな美咲さんの「きゃ〜〜!?私なんでこんな格好で瞬さんと一緒に寝てるの!?それに今日は!?皆さん!早く起きて下さい!!」という叫び声で目を覚ました。

 みんなでバタバタとしたのは、言うまでも無いよね。 


 こうして、文化祭は始まりました。

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