第5章 魅惑と懊悩の夏休み

第43話 定期試験がありました

 

「はぁ・・・終わったぁ・・・」

「う〜・・・疲れたよ〜・・・」

「ほら、クォン?帰る準備しましょ?」

「ミカさんはどうだったのですか?」

「ん?まぁ、いつも通りかな。この学校での試験は初めてだし、結果はまだわかんないけど。でも、今回はジェミニがいるからなぁ・・・」

「・・・ボクは、あまり勉強は得意じゃないから、クォンと同じで疲れたよ。早く帰ってのんびりしたい。」


 瞬です。

 実は、期末試験がありました。

 ここのところ、僕達はみんなで勉強ばっかりしてたんだよ。

 だから、特筆すべきことは無かったんだ。


 ・・・嘘です。

 本当はあります。

 

 あの日、僕の部屋と美嘉の部屋を繋げた日から、僕達はみんなで寝るようになったんだ。

 でもね・・・寝れないよ!

 だって、みんなすっごく薄着だし!入浴後で部屋中良い匂いだし!隙を見せたら、くっついてくるし!!


 一週間位した時かな・・・どうにも耐えられなくなって、僕はみんなに直訴したんだ。

 部屋を・・・せめてベッドを別にしてって!

 そしたら・・・そしたらさぁ!





『・・・お願いします。もう、限界です。僕を別の部屋で寝せて下さい・・・せめて、別のベッドにしてください。』


 正座して、みんなにお願いする僕。

 そんな僕を、困ったような顔で見下ろすみんな。


『シュン、何が気に入らないって言うの?』

『気にいる気に入らないじゃないんだよ!僕、もう限界なんだ!』

『何が限界なんだ?シュン?』

『何がって・・・その・・・色々と・・・』

『・・・シュンく〜ん?ちゃ〜んと言ってくれないと。ね?教えて?』

『・・・ううう。』

『シュン様?我慢は身体に毒です。毒を出しましょう?お手伝いしましょうか?』

『・・・リリィ。意味分かって言ってる?』

『勿論です♡』

『ていうか、シューくん我慢し過ぎだよ。限界なら、手を出しちゃえば?』

『な、何を言ってるのクォン!?』

『クォンの言う通りね。そろそろ良いと思うの。』

『美嘉まで!?そ、そういうのは・・・その・・・色々順序というかなんというか・・・』

『・・・シュンくん?私達はみんなあなたに気持ちを言ってるわよ?後は、シュンくんの答えだけ。分かってる?』

『・・・はい。』

『シュン、君は男らしく格好いい。でも、こういうのには、弱いんだな。』

『ラピス・・・うん、女の人と付き合った経験ないから、ちょっと尻込みしちゃうんだよ・・・ましてや、複数に気持ちをぶつけられるなんて・・・情けなくて、ごめん。』

『・・・ふむ。シュン、分かったわ。』

『わかってくれたの!?』

『ええ、よく分かったわ。・・・シュンがそろそろあたし達に我慢出来なくなりそうってね。だから、却下です!』

『ええ〜!?』



 ・・・わかる?

 わかるかな!?

 僕だって男なんだ!

 こんななりでも男なんだよ!

 こんなに魅力的な子達に、こんな風にされたら、耐えるの大変なんだ!


 でも結局、現状はくつがえらず、僕はみんなと一緒に寝ているんだ。

 ・・・だから、テストどうなるか心配だったんだけど・・・テスト期間だけは、魔法で寝させて貰ったんだ。

 だから、テストに支障は無かったんだけど・・・


 何故か、朝になると、みんながモジモジしてるんだ。

 絶対おかしい!!

 でも、教えてくれないんだよ・・・

 

 はぁ・・・どうしたら、良いんだ・・・




 数日後、テストの結果が出た。

 

 僕は、学年15位。

 良かった方だと思う。

 ちなみに、


 1位 美嘉

 2位 ジェミニ

 19位 リリィ

 78位 ラピス

 150位 クォン


 こんな結果だった。

 クォンがちょうど学年で半分位かな。

 美嘉とジェミニは、その差なんと2点。


「・・・危なかった。流石ジェミニね。これでも、全国テストで1位取ってたのに・・・」

「・・・残念、ミカに負けちゃったわ。でも、次は負けないわよ?」


 ・・・凄いや。

 流石は魔王と大賢者。

 圧倒的だね。

 3位以降に大差をつけていたし。

 この学校は、結構偏差値高いんだけどなぁ・・・


 なんというか、雲の上の会話だね。


「さて・・・試験も終わったし、赤点もいなかったし、みんなで打ち上げしよう!」

「「「「お〜!!」」」」


 そして、みんな元気だ。

 

「シュンも行くわよ!そうね・・・何しましょうか・・・あ!?そうだ!あの大きいお城みたいなのがある遊園地に行きましょうよ!」


 ああ、あのネズミの国かな?

 みんな可愛いところもある・・・ていうか、今からじゃきつくない?

 後日行くってことかな?

 ここからだと、泊まりじゃないときついと思うけど・・・


「確か、平日はフリータイムで3000円って書いてあったから、あたしが出すね?」

「待って!ちょっと待って!!」


 どこに行くつもり!?


「何よシュン?」

「遊園地って言ったよね!?どこに行くつもりなのさ!!」

「え?(大人の)遊園地でしょ?」

「アウトー!そんな所に行って何するつもりなのさ!?」

「・・・何?あたしの口から言わせたいの?シュンったら・・・もう、恥ずかしい思いさせて喜ぶなんて、いい趣味してるんだから♡」

「ちーがーうー!!行きません!そんなところ!」

「・・・え〜?じゃあ、家でって事?」

「しませーん!!」

「ええ〜?」


 みんなは口を揃えてぶ〜ぶ〜言ってる。

 ・・・これは、きちんと話し合った方が良いのかもしれない。

 僕も、覚悟を決めないといけないかな・・・



 

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