1-10 首飾りのもの
充分に冷えたところで、遺骸から血や骨皮や爪を
採取した品の処置を手早くしたつもりだが、二匹分の血と皮は腐ってしまったため土に返し、目玉は干物にすべく木の枝に吊り下げた。
その夜であった。
余の眼前に、先ほどまで解体していた屍食鬼の姿が映ったのかと
それだけではない。その一匹に
肌がぷつぷつと沸き立つ感覚に死を覚えた時、首飾りの屍食鬼の口から、「貴様は何者」という音が漏れた。
なんとこの屍食鬼は、人語を介すのだ。あまりの驚きに余の全身を
首飾りのものも
この距離の内で
構えたナイフを降ろさず、慎重に言葉を選んで
返す言葉で彼奴等に対し余の目的を告げ、余の命を奪わずここを去るのなら小像を渡してもよいと述べ、余の背後に立つものたちへ輪を広げるよう促した。彼奴等も存外素直に応じ、枕元の背負い袋から小像を取り出し、それを足元に置いて、余はゆっくりとした足取りで三歩下がった。
首飾りのものが近づき小像を手に取ると、その手を高々と振り上げて、像を地面へと激しく投げつけた。小像が音を立てて首元から折れ、胴の部分と分かたれたのを見て、首飾りのものは意地汚い声で高らかに笑い出し、つられて周りも
首飾りのものの顔からゆっくりと笑みが消え、先ほどまでの余を
再び「喰らえ」と促され、
口中に塩気とぬめりの強い液体が一杯に広がり、鼻から生臭い息が漏れた。吐き戻しそうになるのを何とか押し留め、数度の
すると、余を囲む輪が開かれ、八匹が全て首飾りのものの後ろへ回り込んだ。「
平らな石などに血を垂らし、
それだけを伝え終え、低い声でぶつぶつと何やら呟くと、途端に焚火の火が掻き消え、辺りを夜闇が包み込んだ。そして、数秒の後に彼奴等の気配も掻き消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます