1-9 這い寄る混沌
ナイアラートテップ、
この神は心を持ち、それもってあらゆる地に現れては、人々に
この小像の顔が
この洞穴を棲み処としていた屍食鬼の持つものであれば、彼奴等の崇拝対象として
まずもって驚くべきは、彼奴等に”宗教”という概念があることである。人類が心の
彼奴等の棲み処は地の底にあり、鍾乳石から
長い時の成せる
そこらにある彼奴等の遺骸の内に
なんと彼奴等の胎児は、人間のそれとおよそ見分けがつかぬほどに、
それを知った時、余の脳裏に恐ろしい疑惑の念が
それは無邪気に走り回るやもしれない。それは何食わぬ顔で麦を刈り取っているやもしれない。パン屋で、サロンで、調香屋で、至る所で自身の真実に気が付く日を待ちわびているやもしれない。
あまりの恐怖が余の全身を稲妻のように貫き、気が付けば余はその両の手に収まるほどの小さな胎児を取り上げ、その首を力の限り捻じりあげ、胴体から引き千切っていた。が、はっきりと覚えているのは呼吸を取り戻すのにしばらく時間を要したことと、そのまま汚物まみれの地面へとへたり込んでしまったことのみである。
貴殿にも、この事を心によく受け止め、染み渡らせるよう深く願う。子は宝とは言うが、余らが領民の中に紛れ込ませた屍食鬼どもの落し子が、仮初の親御のもとで正体を表す日を今か今かと心待ちにしているというその事実を。
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