第一章 調査
1-1 大いなる印と二つ目の瞼について
たとえ
ここパリにおいてそれは特に
広大さを誇る都の
美しきヴェルサイユの宮殿から北東、パリを二分するセーヌの
村の囲いの入り口にて
満月であることが望ましいが、少しばかり欠けていたとしても
村民に尋ねれば、村から西のはずれにある共同墓地の場所を知ることは容易である。
村のものはこの臭いにわずかの注意も払っておらず、他の領地と変わらぬ営みを続けているが、事これに関しては気づかぬふりを通すことが
少しばかり気を
これは人類が生まれし頃よりも太古の昔から伝わる、大いなる力を持つ印であるため、わずかも違えることなく書きとめ、覚えられたし。
この印は、いかなる魔のものもこの印を超えることが叶わぬよう、不可視の結界を張るものであり、何ら力を持たぬものもただ印を刻むことで効果を及ぼす。これにより家族は、異形のものどもを近づけず安らかに眠ることが出来るのである。
家々につけられた印を比べてまわれば、わずかに差異があることに気付く者もいるやもしれぬ。だが、角度、線の長短、枝に配された印など様々あれど、まったくの差異無く描かれた箇所が重要であり、真実を語るならば、この印の真なる形を知るものは、すでに
死霊術と
これは二つ目の
まず、高さ1pied《ピエ》、直径7poucees《プーシズ》程度の大きさをしたコルク栓のついた瓶に、丸々と太った鼠を六匹放り込む。中が見えるガラス瓶ならば
そのまま二晩も過ごすと、鼠はあまりの狭さと
瓶の隙間が広くなれど、一度同種を食らい始めた鼠の食欲が止まることはない。その数が一匹に至るまで、皮や骨の残骸も残らぬまで、その血を鼠が
やがて瓶が音を立てなくなった頃合いを見て、蓋を取り鼠を捕まえるべし。この鼠に指先をひと噛みさせれば、もうろうとする意識の中で二つ目の瞼が開かれるだろう。
鼠は七匹でも五匹でもなく、六匹であることが肝要である。多ければその毒は力を増し、貴殿をたやすく殺め、少なければあまりの寒気にかじかみ、動くこともままならぬ病に侵される。
この目をもって、月明かりの晩に離れた丘から墓地を望めば、なにやら
揺らめきは多くが
もしその目に映る揺らめきが、人の姿と異なる大きなものや小さなものであったならば、何があろうと決して近づいてはならない。息を殺し、その場をすぐに立ち去るべし。
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