紫乃ノノの呪いの解き方
久世 空気
紫乃ノノの呪いの解き方
《あるネット掲示板の書き込み》
201
「紫乃ノノの呪い」って知ってる?
202
誰それ?
203
現役高校生には結構有名
204
の、多くない?www
205
去年自殺したモデル。枕営業したとかで炎上してた。でも実際してたのは別のモデル。
206
それマジ?
207
死んでから他のモデルが週刊誌にリークしてた。あんまり話題にならなかったけど。
208
オカルト雑誌にも載ってたな。事務所とも仕事内容のことでもめてたから、庇ってくれなかったんだって。
209
呪いたくもなるわー
210
で、どんな呪い?
――――――――――
《10月1日》
亜沙妃はラインの通知を見て眉をしかめた。
今日はゼミで発表があり、その後はファミレスのバイトで結構忙しかった。やれやれと電車のシートに腰掛けて数時間ぶりにスマホを開いたら、元彼からの連絡。
浮気したくせに一体何のつもりか。それも別れたのは1ヶ月も前だ。内容を見ずにブロックしようかと思ったが、通知に「写真を送信しました」となっている。
何それ、気持ち悪っ! 写真だけ送ってきたって何よ。亜沙妃は少し迷って通知をタップした。どんな写真にしろ、友達との話のネタにしてこの気持ち悪さを消化してしまおう。そんな気持ちで開いたのだ。そして亜沙妃はさらに嫌な気持ちにさせられた。
スタイル抜群の女の子がポーズを決めてこちらを見ている写真だ。黒いレースのようなドレスを体に巻き、肌の白さが光っている。紫乃ノノだ。この写真は初めて見たが、聞いたことがある。
「紫乃ノノが黒いドレスを着ている画像を送られて見てしまったら1週間以内に呪われて死ぬ」
亜沙妃は何度かその噂を耳にしていた。まさか送ってくる馬鹿がいたなんて。馬鹿の元彼にわざわざ文句を言うつもりはない。多分それがあいつの狙いなんだろう。気持ち悪いやつ。
亜沙妃はアプリを閉じてスマホを鞄にしまった。
《10月2日》
電話が鳴っている。半分寝ながら「早く出ろよ」と亜沙妃はベットの中で悪態をついた。が、それが自分のスマホだと気づき飛び起きる。
電話を使う知り合いなんてほとんどいない。バイト先がめちゃくちゃ忙しい時のヘルプの電話か、講義があることを失念していたときに友達が親切に知らせてくれる電話だ。
この電話はどちらでもなかった。
「もしもしっ」
今まで寝ていたことを悟られないように意識してハキハキとしゃべる。しかし返事はない。
「もしもし?」
もう一度声をかける。音量を確認し、もう一度スマホを耳に当てる。何も聞こえない。いや、かすかに聞こえる。電話を持ち直すような衣擦れと、女性の小さなため息、息づかい。かけてきた方も、耳を澄ませて亜沙妃の動向を探っている・・・・・・そう気付いて、亜沙妃はすぐに電話を切った。
「何なの?」
スマホをパスッとベッドに放り投げる。
今日は講義もバイトもないから午前中は寝て過ごせるはずだったのに、8時に起こされてしまった。嫌な気分になって二度寝する気にもならない。
ふと昨日のラインを思い出す。また元彼のいたずらか? 昨日既読無視したから別の方法を試しているのか。でも今のは女性だったようだけど・・・・・・。亜沙妃はスマホを拾って着信履歴を確認した。しかし数日前バイト先からの連絡以降、新しい記録がない。何度か画面を閉じて開いてを繰り返したが更新されない。
寝ぼけていた? いや、着信はあった。あのとき着信画面を見た。元彼の嫌がらせにしろ、こっちのスマホをの記録を消すことができるわけがない。それに電話相手は女性のようだった。
黒いドレスを着た紫乃ノノが脳裏をよぎる。
(まさかね)
呪いなんてあるはずがない。電話も間違い電話で、着信履歴もスマホを放り投げたときに何か適当な場所に指が当たって削除してしまったのだろう。
気にしたら負け、考えるだけ無駄。亜沙妃はそうして何でもない休日を送った。掃除、洗濯を済ませ、出たばかりの課題に少し手を付け、友達に借りた漫画を読み・・・・・・だが気がついたら紫乃ノノの写真を思い出していた。そして結局夕食後にネットで呪いの写真について調べ始めた。
驚いたことに黒いドレスの紫乃ノノの写真は画像検索では出てこなかった。悪ふざけで掲示板やSNSに投稿している人がいると思っていたが、写真が出回ってないことでただの都市伝説と考えている人の方が多いようだ。
逆に亜沙妃には呪いの信憑性を考えずにはいられなかった。有名な割に写真が知られていないと言うことは、本当に呪い効果があって、呪われた人が恐れて消しているか、もしくは表に出さず呪いで死んでしまったか・・・・・・。
暑くもないのにじっとりと汗ばむ。喉も酷く渇いてきたが、亜沙妃は呪いの解き方を探し続けた。そしてあまり有名ではないブログの記事を見つけ出した。
「紫乃ノノが自殺した18:43にラインに送られた画像、もしくは送信されたメールそのものを消してください。そうすれば呪いの対象から外れます。※注意※絶対にスマホやパソコンにコピー・ダウンロードしないでください」
なんだ、そんなことでいいのか。亜沙妃は肩の力が抜ける気がした。幸い、注意書きにあるようにスマホ本体にはコピーしていない。
パソコンの表示では21時を過ぎていた。明日の18時43分を目指せば良い。
ただ、気になるのは呪いの内容が「1週間以内に死ぬ」ということだ。「1週間後」ではない。もしかしたら6日目かもしれないし、明日かもしれないのだ。
《10月3日》
呪いなんてあるはずがない。でも怖いなら仕方が無い。亜沙妃はこの日一切部屋から出ず、誰にも会わずに過ごし、18時43分を迎えた。
ラインの画像を消し、念のため他にデータが残っていないか確認する。それが終わって44分になった瞬間、亜沙妃は胸をなで下ろした。これで元彼の馬鹿に振り回されるのは終わり。
気分転換に夕飯は外食しようと勢いよく立ち上がった瞬間、デスクが思ったより揺れ、置いていたマグカップが転げ落ちた。足下でマグカップは割れ、中に入っていたコーヒーが床に広がる。
カーペットまで広がる前に拭かないと、と亜沙妃は慌ててティッシュ箱を掴んだ。
「痛っ!」
ちゃんと見ていたはずが、破片を踏んでしまったようだ。椅子に座り直して足の裏を確認し、亜沙妃は絶句した。破片は深々と突き刺さり、赤い血が靴下ににじみ広がっていくところだった。
《10月4日》
「で、結局足引きずって病院に行ったら、3針縫って救急診療料まで取られたって話。バイトもしばらく行けないしもう最悪」
包帯を巻いた足を引きずって大学に行くと、同じゼミの紗菜が心配して話を聞いてくれた。学食で紗菜のおごりのジュースを飲みながら一通り話し終えると、紗菜が言いにくそうに言った。
「それって、大丈夫かな。呪い、解けてるのかな」
亜沙妃も言葉に詰まる。足を怪我したとき、やはり紫乃ノノのことを考えずにはいられなかった。でもブログに書いてあったとおりに写真も消した。呪われているはずがない。
「私もこういう話は苦手だがから詳しく知らないんだけどね」
そう言って紗菜は自分のスマホで動画サイトを検索し、ある動画のURLを亜沙妃に送ってきた。タイトルは『デマに注意!某モデルの呪いの解き方!』
「これ、何?」
「私の好きな動画配信者の動画なんだけどね、リスナーから情報を集めて呪いの解き方を見つけたって。あと嘘の解き方に関する注意喚起も」
亜沙妃はその場ですぐに動画を再生した。紗菜が言ったとおり、配信者はかなり力を入れて呪いの情報を集めていたようで、ちまたで言われている噂を否定しながら正しい呪いの解き方を解説していた。否定されている噂の中には亜沙妃が行った呪いの解き方もあった。
「大丈夫?」
紗菜が顔をのぞき込んでくる。亜沙妃も自分が酷い顔をしていることが分かった。
「うん・・・・・・でも、ありがとう。この方法も、やってみるね」
紗菜と別れ、一人になって自分の部屋に戻ると、少し落ち着いてきた。
呪いを信じているわけじゃない。あの動画に説得力がありすぎたんだ。悪意のある紫乃ノノの噂、元彼からの連絡、嘘の呪いの解き方。そんな物に振り回されることに亜沙妃は腹が立ってきた。今度こそ終わらせよう。
動画で紹介していた呪いの解き方はこうだ。
「紫乃ノノの写真を消す(時間指定無し)。白い紙に『紫乃ノノ』と書き、その上に塩を盛り、一晩置く」
亜沙妃はA4のコピー用紙の真ん中にマジックで大きく紫乃ノノと書き、動画をまねて塩を盛った。
足が痛くなってきた。食欲もわかない。亜沙妃はゼリーと一緒に処方された鎮痛剤を飲み込んで早々に布団入った。部屋のあちこちからきしむような音がするのは、きっと気のせいだ。布団を頭からかぶり、目を閉じる。しばらくして鎮痛剤が効き始め、亜沙妃は眠りについた。
《10月5日》
亜沙妃は頭痛を覚え目を覚ました。すでに昼の12時を過ぎている。寝過ぎたなぁと起き上がり、ふと昨晩盛り塩を置いた場所を見た。
一瞬で鳥肌が立つ。
白い盛り塩は、整えた形そのままで墨のように真っ黒に染まっていた。
【10月9日】
(同窓会でもするのかな?)
それ以外連絡が来る理由が思いつかず、ライン画面を開いた。メッセージはなく、1枚画像が貼り付けられていた。
夏鈴はそれがモデルの紫乃ノノということはすぐに分かったが、亜沙妃が送ってくる理由が分からない。送り間違いだろうか。
『お久しぶりです。紫乃ノノがどうかしましたか? 送り間違いですか?笑』
適当に返信をして夏鈴は次の講義の教室に向かった。
【10月10日】
昼休み、学食で友人とファッション誌を見ていると、紫乃ノノの写真が目に入ってきた。
「最近紫乃ノノってなんかあった?」
一緒に雑誌を覗いていた美香と玲奈が同時に顔を上げる。
「なんで今更紫乃ノノ?」
「今更って? っていうかここにいるから・・・・・・」
と指差したモデルは紫乃ノノではなかった。
「あ、ごめん、見間違えたわ」
ちょっとした話題提供のつもりだったのに、美香の表情が曇った。
「・・・・・・ちょうど去年だからね。また変な噂も出てきたし」
「去年何かあったっけ?」
夏鈴が首をかしげると美香もあれ? と同様に首をかしげた。
「もしかして忘れてる? 紫乃ノノが自殺したの」
「え? そうなの?」
思わず声を上げてから夏鈴は気まずくなった。夏鈴は世間の話題に疎い。大学デビューでそれを悟られないように気をつけていたのに。美香や玲奈はそんな夏鈴に気付かないようで
「もう1年経つんだね」
「私たち受験中だったけど、年が近かったから結構ショック受けたなぁ」
と話を続ける。
「黒ドレスの噂も、酷いよね」
「黒ドレス?」
昨日亜沙妃から送られてきた写真も黒ドレスだった。聞き返すと玲奈は「怖い話だけど大丈夫?」と前置きをしてから「紫乃ノノの呪い」を教えてくれた。
「あ、あの、その、写真ってこれ?」
夏鈴は慌てて昨日送られてきた写真を二人に見せた。美香は小さく悲鳴を上げ、玲奈は「本当にあったんだ」と興味深げに画面を凝視した。
「ど、どうしよう。私、呪われた?」
なんで先輩がそんな写真を? 自分は何かした? もう死ぬの?
いろんな恐怖で夏鈴は半泣きになった。美香が励ますように肩に手を置く。
「大丈夫、呪いの解き方があるから!」
「ほんと?」
「うん、私の高校の時の友達が言ってたんだけどね、まず写真は通知画面から削除するでしょ。それから白い紙に『紫乃ノノ』って書いて、塩を盛って、部屋に一晩おいておくんだって。そうしたら呪いは消えるんだって」
うんうん、と聞きながら夏鈴はスマホに美香の話をメモし始めた。簡単で忘れるような手順ではない。でも命がかかっているんだから。しかし、そこで玲奈が水を差した。
「それ、デマらしいよ」
え! と夏鈴と美香の声がハモる。
「そうなの?」
「実は私、こういう話好きでね」
玲奈が話しながら自分のリュックから1冊雑誌を取り出した。表紙にはUFOやら陰謀論やら物々しい単語が並べられている。
「いわゆるオカルト雑誌ってやつなんだけどね、今月号に『某モデルの黒ドレスの呪い写真』についての記事があるの」
玲奈が開いたページには、目線は入れられているが紫乃ノノの写真が載っていて、その悲劇の自殺とその後の不可解な呪いの噂について事細かく書かれていた。最後に呪いが解けた人の体験談だ綴られている。
「都内の某霊園に紫乃ノノのお墓がある。画像を消したらそこで手を合わせ『もう誰もあなたを責めません、追い込みません。どうか安らかにお眠りください』と心の中で祈った。私はおかげで今も生きています」
「某霊園」については少し情報は出ているものの、地方出身の夏鈴には全く見当が付かない。
「お墓の場所は分からないの?」
玲奈は「大丈夫」と言わんばかりにSNSの画面を私たちに見せる。
「紫乃ノノのお墓参りに行ってきました。もう大丈夫だよね!」という文章と一緒に墓石の写真もあった。
「オカルト好きの人たちが霊園の特定したんだ。場所の詳細はラインで送るね」
そんな玲奈の姿が夏鈴には非常に頼もしく写った。
【10月11日】
美香も玲奈も一緒に行くと言ってくれたけど、大学の友達と墓参りなんてと夏鈴は断った。断って良かった。何かがおかしい。
まず人身事故で電車が大幅に遅れていた。しょうがないからバスに切り替えると、途中でトラックと接触事故を起こし、後から来たバスに乗り換えなくてはいけなくなった。やっと霊園近くのバス停についたときには、予定より1時間過ぎていた。きっと美香と玲奈が一緒だったら気まずくて死にそうだっただろう。
霊園は住宅地の傍にあった。静かで、墓石が整然と並んでいる光景は厳かな雰囲気がある。悪いことをしている訳でもないのに、夏鈴はドキドキしながらそっと敷地に足を踏み入れた。
SNSの写真の背景から場所をしぼりこんでいくと、比較的新しいお墓を見つけた。「紫乃家之墓」と書いてある。間違いない。
夏鈴は鞄から数珠を出すと手を合わせ黙祷した。
(もう誰もあなたを責めません)
(追い込みません)
(どうか安らかにお眠りください)
一度そう祈り、念のためにともう一度心の中で唱えようとしたとき「ちょっと」と背後から声がし、夏鈴は飛び上がるほど驚いた。振り返ると初老の女性が夏鈴をにらんでいる。手には小菊の花束があった。
「は、はい」
「うちの墓に何か?」
夏鈴は墓石と女性を見比べた。「うち」?「紫乃家」?
「あの、紫乃ノノ、さんのご家族の方ですか?」
「そうですが?」
聞かれるのも不愉快と言うように女性は眉をひそめる。
「ただ、あなたが言う紫乃ノノとは違うと思いますよ」
女性は夏鈴を押しのけ小菊を供え始めた。
「あの、モデルの紫乃ノノさんじゃないんですか?」
「そう言って勝手にうちの墓に触る人が最近多いんですよ。私の孫は確かに『紫乃ノノ』ですが、他界したのは5歳の時です」
口調は穏やかだが語尾は少し震えている。怒りや悲しみを抑え込んでいるようだ。夏鈴はひたすら謝り、霊園を後にした。女性は一度も振り返らなかった。
霊園を出て、ぼんやりと歩いていると呼び止められた。
「夏鈴、大丈夫?」
「あ、玲奈」
どうして玲奈がいるんだろうと、驚くのと同時に見知った顔に安心して、夏鈴は涙ぐんだ。
「あのお墓、全然関係ないお墓だった。5歳の子の。家族の人来てて」
話し始めるとぽろぽろ涙がこぼれ始めた。
今まで夏鈴は自分には常識があり、非常識な人間を非難する側の人間だと思っていた。だがあの女性にとって夏鈴は「非常識で考え無しに他人を傷つける」類いの人間だった。
「ごめん、私があの雑誌を見せたから」
玲奈は泣いていると夏鈴の背中をさすりながら謝った。
「そっか、あの雑誌、あれを見て大勢の人が・・・・・・」
「うん、今朝のネットニュースに出てたんだよ。嘘のお墓を広めたことで、お墓の持ち主から出版社やSNSで広めた人が訴えられたって」
それからね、と玲奈は鞄からクリアファイルを引っ張り出して、数十枚のプリントを夏鈴に見せた。
「何? ネット記事? 掲示板とか」
「そう、『紫乃ノノの呪い』についてネットだけで調べたら結構あったんだけど、どれも微妙に違うの。一番違う所は、呪いの解き方。日を追うごとに変化している」
プリントは日付順に並んでいる。順番にめくっていくと、ある呪いの解き方が提示され、その方法を否定する書き込みがされ、後日また新しい解き方が現れる。それが繰り返されている。一体何が本当なんだろう。
「ところで、夏鈴に写真を送ってきた人って誰?」
「・・・・・・高校の時の先輩」
「その人と連絡取れる?」
そのとき初めて、亜沙妃から返信がないことに気付いた。確認すると未読のままだ。電話をしてみる。発信音を聞きながら、どうか出て、ドッキリしてごめんねって、言って私を怒らせてと夏鈴は祈った。
音が切れ、通話がつながる。
「あ、あの、先輩、亜沙妃先輩!」
「・・・・・・い」
声が遠い。
「先輩、聞こえにくいです。あの、紫乃ノノの写真ですけど」
「し・・・・・・ない」
「え? なんです?」
亜沙妃が何か言っている。夏鈴は音量を上げ、スマホを強く耳に押しつけた。そのときはっきりと聞こえた。
「死にたくないぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
夏鈴はとっさにスマホを耳から離す。スマホは手から離れてアスファルトに落ちた。一瞬間を置いて、ぶわっと全身に鳥肌が立った。
驚いている玲奈に抱きついて夏鈴はわんわんと声を上げて泣きだした。
「夏鈴、落ち着いて、何? 何を言われたの?」
「わかんない! 死にたくないって! 呪いは解けないの?」
「大丈夫、大丈夫だから!」
玲奈は夏鈴の顔を上げ、力強く言った。
「お祓いに行こう!」
「お、お祓い?」
その勢いに夏鈴の涙は一瞬止まった。
「そう、こうやって呪いの解き方に右往左往しているのも呪いの一部よ。だから手っ取り早く、根源から絶ちきってもらおう」
玲奈が何を言っているのか、混乱した夏鈴にはよく分からなかったが、とにかく彼女に付いていけば大丈夫。夏鈴はうんうん、とべそをかきながら頷いた。
――――――――
300
結局、どうやったら呪いは解けるの?
301
そりゃお祓い行かないと駄目でしょ。ぼったくられるけど。
302
お祓いっていくらくらい?
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学生には厳しい!
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実際お祓いで助かった人いるの?
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いるよ。有名祈祷師が『紫乃ノノの呪い』にかかった人たちを助けてるって聞いた。
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それ、デマだよ。祈祷師が問い合わせが殺到して困ってるって。
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噂が嘘? 祈祷師が嘘?www
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うちの大学の子が、写真受けとっちゃったから友達と一緒にお祓いに行ったらしいけど、その帰りに車に轢かれて死んじゃったって。その事故見た友達も精神病んで大学辞めたって聞いた。
309
えぐい
310
私が聞いた、本当の呪いの解き方はね・・・・・・・
紫乃ノノの呪いの解き方 久世 空気 @kuze-kuuki
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