26話 エッチな修学旅行
前城山学園高等学校では、2年生の時に修学旅行という行事がある。3年になると受験やらなんやらで忙しくなるので、2年生の時に実施されることになっていた。
ここ2年A組でも修学旅行の話題で沸いていた。
「今年の修学旅行ってどこだっけ?異世界?」
「異世界いいなぁ、私も行ってみたーい!」
そんなに簡単に行けるならば、誰でも異世界旅行に行きたいだろう。
「んな訳無いでしょう?」
「今年の行き先は山梨県らしいわよ?」
「えええええ!?嘘でしょ!?」
「あの?山ばっかりなのに山無し県っていうあの?」
「男子は人数も少ないし、富士山登るって言ってたよ?」
「最悪じゃん?って事は何?修学旅行って男女別なの?私、富士山なら行かないよ?」
「みたいだよ?」
「あたし女子で良かったぁ。富士山なんて無理ぃ」
「男子は泊まる所、ホテルじゃなくて山小屋らしいよ?」
「お風呂無さそう……私無理」
「トイレも有料だって?」
斯くして、修学旅行という名の精神修行が始まった。
男子にとっては、最悪の行事となるであろう。
修学旅行行きのバスが用意されているが、男子と女子に分かれていて、男子が精神修行行き、女子は富士山周辺の観光がメインとなる。
マコちゃんは、女子の制服を着た男の娘なので女子扱いとなった。
「良かったですぅ」
「マコちゃんは、中身は女の子だもんね?ホント女子組で良かったね?」
そして、それぞれ男女別に用意されたバスに乗っていき、目的地へと出発した。
◇◇
バスに乗った私の隣の席には、マコちゃんが座っていた。
「ほんと、どうなってるの?この学校?だって帰ったらすぐに期末テストが始まるのよ?」
「期末テストぉ……今は、考えたくないです」
「だよねぇ……それに修学旅行が山梨って何なの?北海道とか沖縄、京都くらいならまだ分かるけど?」
「まぁまぁ……カレンちゃん、自然の中で過ごすのも悪くないと思うよ?」
遥は何故か楽しそうだ。折角の修学旅行だし、どうせなら楽しみたいのは分かるよ?
「佳奈はどうなの?」
「え?私?私は真がいればどこでもいいよ?だって真が男子のままだったら、一緒に行くことは出来なかったし?修学旅行でも同じ部屋で寝れるなんて夢みたいだよ?」
嬉しい事言ってくれるね佳奈は……。
そうなんだよね?私が男だったら、富士登山行きは確実だった訳だし、カレンも男なんだけど、生徒会に入ったおかげで女の子?として認められて、こうして一緒のバスにも乗れたんだから。
結果的には良かったのよね?
富士山周辺には観光地が点在していて、思ったよりは楽しめる旅行になりそうだった。富士五湖や忍野八海もそうだし、何と言っても富岳風穴とか鳴沢氷穴は涼しくて気持ち良かった。
氷の柱がとても幻想的で綺麗だったし、なんか昔は冷蔵庫みたいに使ってたんだって?
「やっぱり、登山より洞窟よね」
「綺麗だったよねぇ……ライトアップされた氷柱」
そして、今日泊る宿は……なかなか趣のあるホテルじゃない?
そう、ここは温泉街……だけどあまり聞いたことのない温泉だった。
「下部温泉?あー!ゆ〇キャンの聖地じゃない?ここ」
だれよ?ここ選んだの?
「しま〇んいるかな?」
いないと思うよ?
「でも……このあたり……温泉以外何もないよね?」
「秘境温泉でいいんじゃない?こ-いう所ってさ、混浴が多いんだって!」
混浴が多い……たしかにそうだった。
この宿……混浴しかないのよ!?
男子と別になった理由がこれ!?混浴だから?
たしかに宿が混浴なら仕方が無いよね……。誰が選んだか知らないけど?
「でも、良かったじゃないか?マコちゃんも堂々と一緒にお風呂に入れるんだよ?」
「カレンちゃんとも、お風呂一緒に入れますか?」
「入れるよ?一緒に入ろうね?マコちゃん?」
お風呂の心配が無くなったのは良かった。
他の客がいたら困ると思って聞いたけど、今日も明日も貸し切りだって言うので、本当に心配はいらなくなったのよ?
学校側もちゃんとカレンの事を考えてくれてたって事なのかな?
それにしても、男子の登山はやりすぎじゃない?どうでもいいけど?
ホテルの部屋割りは、4人部屋で私とカレン、佳奈と遥で一部屋になった。
部屋は和室なので、布団を4つ敷くことになる。
1年生の雫と3年生の七菜香先輩は、家で留守番をしているはずだ。
あの二人に限っては、間違いは起こさないだろうし、心配はしていない。
山梨という事で夕飯には、ほうとうが出た。うどんの太い奴で、かぼちゃが入っている濃厚なやつだ。生肉でさくらって名前のがあったけど、あれは絶対馬肉だよね?美味しかったけど?
やっぱり山の中なので、ジビエ的な食べ物が多かった。鹿肉とか、猪肉とか。
これを食べられない男子は可哀そう……。
せめて……山頂で値段の高いインスタントラーメンでも食べてね?
富士山頂は物価が高いらしいし、沸点が低いから……お湯が100度まで上がらないんだって聞いたことあるし、きっと
山頂で食べたくはないな……。
食事が終わって、部屋に戻ると……すでに布団が敷かれていた。ホテルの人が敷いてくれたみたい。
ならば次は、温泉の時間だ。
「カレン?お風呂に入りに行きましょう?」
「行きます!」
私はカレンを誘って混浴温泉へと向かった。
他の生徒が入っていたとしても、混浴なので問題ないよね?
念のため、カレンには胸から下を隠してもらおうかな?
温泉に入ると泉質は良く、この温泉の特徴なのか温泉の温度が低かった。
ずっと入っていると風邪ひきそう……。体温が温泉に吸われていく。
「こっちは暖かいですよ?」
カレンに誘われて言われた方に行ってみると、温かい。こっち方が断然いい!
「そっちの温泉は、ぬるくて寒かったよ……」
「この温泉は、源泉がぬるいんだよ」
温まっていると遥が、この温泉の事を説明してくれた。
「へぇ……源泉って書いてあったけど、だからぬるいんだね……風邪ひくかと思ったよ……」
「風邪ひいても看病してあげるから、大丈夫だよ?どうぞ風邪をひいてくれ」
「ひかないよ?」
看病してもらう為に風邪なんて引いてられない。それに今は修学旅行中だ。
そうそう、カレンも一緒に温泉につかっているけど、カレンは元々公爵令嬢で女の子だったから、こういった女の子の体は見慣れているんだよね。
私も見慣れてはいるけど、元々は男の子だったわけで、女湯ではないけど……この混浴パラダイスは、私の心に火を付けてしまったのよ?
今日の更新作業は、別の生徒がいなくて助かった。同部屋には私の彼女しかいなかったのだから。
あとがき
ここまでお読みくださりありがとうございました。
執筆の励みになりますので、続きが読みたい。
更新頑張ってと感じて下さいましたら、
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