24話 真っ白な体育祭


 体育祭前日、今日は生徒会があるので生徒会室へカレンと二人で入っていった。


「お疲れ様です」


「うん、カレン君にマコ君か」


 私が定位置の席に着くと、九久院生徒会長が今日の内容を話し出した。


「全員集まった所で、今日の生徒会を始めるぞ」


 生徒会長が胸を張って、手を胸に当てると、生徒会長の大きな胸が……ぼいんっと跳ねた。


 生徒会長はいつ見ても大きい。でも私の方が大きいけど?


「まず、明日の体育祭だが、すでに準備は進んでいると思う。だが、まだ甘すぎると思わないか?カレン君?」


 何で私に振るのよ?


「えっと……私はパン食い競争に出る予定ですけど……」


「えぇ……カレンちゃんには無理じゃないかな?身長的に?」


 副会長の言う通り、私の身長では届かない可能性が高い。


「ふむ……それでは競技は、終わらんのでは無いか?」


「カレンちゃんの時だけ紐を長くするとか?」


「いっそのことパンを長くしては?」


「フランスパンとか?」


 フランスパンは止めて下さい山城副会長……。


「では、カレン君の時だけ一人で走るか?」


 ええええ……それって競争になってないよ?会長?


「競争だから駄目じゃん?」


 そうだよ?西川先輩!だめだよね?


「分かった!カレンちゃんだけ飴食い競争にしちゃう?」


「顔が真っ白になるので却下です!違う競技になってます!」


「それは、面白いな……採用だ!」


「えええええ!?」


「背が低いからって、差別するのはいけないのでは?」


 そうだそうだ!書記の市川さんもいい事言うね?


「では、両方用意して選択制にしますか?」


「今から準備するのにも時間が余りないからな……出来て一つが限界だろう」


「それでは、今日の決定事項を確認します。明日のパン食い競争では一つだけ飴食い競争を用意する事。調達はカレンちゃん担当ね?小粉粉も忘れないでね?以上で今日の生徒会を終了します」


「ええええええええええええええええ!?」


 とういう事で私は、明日の体育祭で自分で使用する小麦粉と飴を買いに行くことになってしまった。領収書は生徒会に投げつけてやるわ!


「マコちゃん!いくわよ!」


「カレンちゃん待ってください!」


 近所のスーパーに寄って小麦粉を買うんだけど量が分からない。


 どんだけいるのよ?1キロ?2キロ?分からないからとりあえず4袋くらい買ってみた。

 あとは、飴玉だけど……こういうのって白い飴を選ぶんだよね?


 バ〇ー飴とか?ミ〇キーとか?これも分からないので適当に白い飴を購入した。


 入れる箱はどうするんだろう?


 まぁ……いいか。私は小麦粉と飴を頼まれただけだから?



◇◇



 そして、体育祭当日になった。


 今日はなんとも晴天になってしまった。


 カレンは練習を頑張っていたので、カレンが走ったら応援くらいしてやろうと思ってたんだけど……カレンは昨日の夜、楽しみで眠れなくって、張り切りすぎて現在はベンチで爆睡中だった。


 出番が来るまで寝かせておいてあげよう。


「カレン?マコちゃん出番だよ?」


 カレンはなかなか起きなかったので……強制憑依して、無理矢理カレンを起こして連れて行ってやった。

「マコ様?」


『起きた?カレン』


「はい!おきました!」


『障害物競走……始まってるからもうすぐ出番よ?』


「あ……ありがとう……マコ様」


 そしてカレンの出番が来て、私が憑依したままカレンは走り出した。


「なんか……いつもより調子がいいです!」


 私が憑依してるからかも?


 カレンは何時もより早い速度で障害物をクリアしていった。

 ……早すぎない?


 そして……カレンは一等になった。


「やりましたよ!マコ様!」


『すごいじゃない?カレン……おめでとう!』


 そして次のレースは100メートルで佳奈の番だ。

 もう佳奈は準備していたようで、立ち上がってストレッチをしていた。

 

「真!行ってくる!」


「うん!いってらっしゃい!佳奈」


 歓声の中、佳奈が走った。赤いポニテールがなびいて……早かった。


 佳奈と一緒に走った中でも、もちろん一番だったけど。他と比べても早かったような気がした。


 そして、私の番が来た。


 パン食い競争だ。でも……私だけ飴食い競争なのよ?


「行ってくるわ」


「マコ様!がんばって!」


 私は最終ランナーに選ばれた?選ばされた?


 私の番が来ると、パンの代わりに机が運ばれてきた。あの小麦粉か何かが入った箱だ。何の箱使ってるのかな?


 観客はなんだろう?という顔に見える。見えるんだよ!


 観客のボルテージは上がって来た?ちょっと笑っているように聞こえるんだけど?

 もう!怒ったよ!

 

 スタートの合図で私は、置いてある机に向かって走っていった。


 箱にたどり着くと、箱には小麦粉がいっぱい入っていた。買い過ぎたぁ!四袋も買うんじゃなかった。しかも箱が大きい。飴なんか見える訳が無い。


 私は思いっきり顔を突っ込んで!小麦粉をまき散らした。固い物に当たるまで顔と舌で捜索しなくてはならない。飴が見つからない……ん?なんか大きいものが入っていた。ナニコレ?……入っていたのはアンパンだった。おい!責任者出てこい!


 私は、その真っ白なアンパンを口に咥えると、ゴールに向かって走った。


「はぁ……はぁ……誰?アンパン入れたの?」


 もちろん私の顔は小麦粉で真っ白だ。これなら普通のパン食いが良かった。


 もう、それから体育祭を見る気力も無くなったので、遥の競技を見逃してしまった。


 真っ白になった私は、校庭の手洗い所で顔を洗って、小麦粉を洗い流した。


 さすがに体操服についたものは流せないけど、白い体操服だったので目立つことは無い。


「お疲れ様です。マコ様♡」


「カレン……もう嫌……体育祭は嫌い……」


 そう、私は運動が嫌いなの。


 結局散々な、一日だった気がする。






あとがき


ここまでお読みくださりありがとうございました。

執筆の励みになりますので、続きが読みたい。

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