22話 七菜香先輩ご訪問


 七菜香先輩を連れて学校のグラウンドに出ると、マコちゃんカレンが必死になって走り込んでいた。あの走り方を見るとかなり練習をしたみたい。大分走り方もましになっている。

 と思ってたら、マコちゃんカレンはこっちに走って来ていた。


「カレンちゃん!いないと思ったら浮気ですか?」


 七菜香先輩に会いに図書館に脱け出したのが、流石にバレたようだ。


「ほら、先輩も彼女じゃない?」


 マコちゃんカレンと話していたら、佳奈もやってきて七菜香先輩に話しかけた。


「どうも、初めまして先輩。私はカレンちゃんの彼女で幼馴染の藍沢佳奈です」

「えっと……私も……カレンちゃんの……彼女の……高見七菜香です……佳奈ちゃん?……よろしくね?」


 佳奈が遂に七菜香先輩に遭遇してしまった。これは……修羅場になるのかな?


「え!?噂では聞いてましたけど……本当に付き合ってるんですね?」

「うん……私から……お願いしたの……」


「先輩から!?」

「そう、だよ?」


 そうだったかな?先輩が美人って言ったら信じてくれなくて……ああ……付き合ってくれたら信じるって言われたんだっけ?


「そう、先輩から誘われたのよ?」


「へぇ……そうなんだ」


「それでね?七菜香先輩が是非うちに遊びに来たいって言うので……」


「こんにちわ?」


 佳奈と話していたら遥が来てしまった。


「取り込み中だったかい?ふむ……初めましてかな?僕はカレンちゃんの彼女の結城遥です。先輩よろしく?」


「あ……はい……私も、カレンちゃんの彼女の……高見七菜香です……」


「僕は、カレンちゃん。正確には真君が好きなんだ。先輩もそうなのかな?」


「最初は……マコちゃん……だったけど……中身は……カレンちゃん……だったの」


「だから……私が……好きなのは……カレンちゃん」


「成程……真君の状況を把握した上で言っていると見ていいんだね?」


「そのつもり……だよ?」


 先輩は真剣な目で遥を見つめていた。


「なら……いいんだ。僕達は遊びで付き合っている訳では無いからね?」


 遥がいいこと言ってくれた。遊びで付き合えるほど軽い付き合いでは無いから……。


 私もそろそろ、異世界に一旦戻って、リセットしてこないといけない。


 私は、七菜香先輩と手を繋いで、下校デートしながら家に帰った。


 うちのドアを開けて、七菜香先輩を家に招き入れると……雫が帰宅していた。


「ただいまー」

「お帰りー♡お兄ちゃ……ん?」

「お邪魔……します」


 雫は七菜香先輩の家に行った事があるので面識はある。七菜香先輩の前でキスしたこともあるし……。


「先輩……この間はどうもお邪魔しました」


「いいのよ?……お掃除……助かったし……ありがとう?」


「七菜香先輩?最近になってからここで5人で住んでるんですよ?」


 七菜香先輩は、部屋をキョロキョロと眺めて……おかしいことに気がついた。


「ワンルーム……じゃない……広いね?」


「遥がこのアパートごと買い取って壁を取ってリフォームしてくれたんです」


「それに……ベッドが……大きい……3つもあるの?」


「三つのベッドに5人で寝てるんですよ?」


「ずるい……」


「え?」


 ずるい?……七菜香先輩もしかして……。


「私……彼女……だよね?」


 これは……浮気を見られた恋人の様な……。


 一応七菜香先輩には、私には彼女が4人いる事は説明してあるけど、これは流石に予想外だった様だ。


「ここで……毎日……してるの?」


「それは……しないと私……異世界へ戻っちゃうから……」


 七菜香先輩は大きなベッドを見ながら、えっちな想像をしているのか……顔が赤くなっていた。


「そんな……カレンちゃんが……可哀想……」


 何故か七菜香先輩の目には涙が溢れていた。


「異世界に……帰りたく……無かったら、分かってるよな?……と言われて……体を提供するしか……なくって……こんな部屋に……監禁されて……毎日毎日……エッチを……強要され……ああ……なんて不憫な……カレンちゃん……ここが良いんだろ?……ああ……だめそこは……あん……嫌がってても……体は正直だな……いやぁ……そんな……だめです……見られてます……見せて……やるんだよ……なんて……」


 えええええ!?七菜香先輩の妄想が!?あのー七菜香先輩?完全にあっちの世界に飛んでるよ!?


「あの……ここ私の家なんですけど?」


「カレンちゃん!」


「何!?七菜香先輩?」


 七菜香先輩は、私の肩をガッチリつかんで、涙を流しながら主張してきた。


「やっぱり……カレンちゃんを……救ってあげられるのは……私しか……いないと……思うよ?」


 えっと、何か勘違いをしていません?七菜香先輩?


「だから、私も……ここに……住みます!」


 ええええええええええええ!?


「あ〜あ、やっぱりこうなったか……言っておくけど、正妻は私!だから」


 なんか雫が言ってるけど、七菜香先輩までここに住みたいと言い出してしまった。


 確かに……彼女一人だけが仲間外れになっていた事は、気にはなっていたけど……。

 

 はぁ……私は、もう彼女は増やさないと、心に誓ったのだった。






あとがき


ここまでお読みくださりありがとうございました。

執筆の励みになりますので、続きが読みたい。

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