20話 甘いものには目が無いのさ



 佳奈が家出してきて家に住み着いた、さらに遥がうちに引っ越して来た。そしてうちは、とうとう5人家族になってしまった。


 これで男の子でもいれば、ハーレムだなんだって喜ぶ所だけど?

 あれ?家に男の子いたっけ?

 あーそうそう、男の娘はいるけど男の子はいない。


 そもそも4人は私の百合ハーレムだから!(ハーレム宣言?)

 冗談はさておき、ハーレムじゃなくて彼女達だからね?

 ひとまとめは良くないよ?


 ベッドが3つと寝る場所は広いので、寝方としては川の字になって、私が真ん中で隣にカレンと雫が来て、外側に遥と佳奈が寝ている。

 最初はその形で寝ていたけど、当然の事のように私の隣に寝る権利の争奪戦がはじまってしまった。


 だから順番に寝る場所を変えるようにしたみたい。他人事みたいだって?

 だって、私は真ん中固定だから……外側4人の並びは分からないのだ。


 遥が引っ越して来て数日、私は遥とのデートの約束をした。


 そもそも毎日同じ家にいるのにデートに誘うのもどうかと思ったんだけど、それはそれ、デートは別腹みたいなんだよ?



◇◇



 土曜日になり、今日は遥とのデートの日だ。


 朝から私の隣で寝ている遥がおはようのキスをして来た。


「んん……ちゅ♡……さて真君、今日は何の日か覚えているかい?」


「もちろん。遥とエッチする日でしょ?」


「違う!で・え・と!する日だろう?」


「どっちでもいいじゃない?する事は同じでしょう?このまましちゃう?」


 ちょっと遥をからかってみたら結構可愛かった。


「もう!いいのかい?このまましても?」


 やばい……このままだと朝から大変なことになりそう。だってあと三人寝てるんだよ?絶対出かけられなくなる。


「良くない」

「だったらほら、支度して行くよ?」

「はぁい」


 もちろん他の三人には、今日の遥とのデートは許可を貰っている。だからこのまま二人だけで出かけても問題は無いのだ。


 以前遥とは、映画を見たりスイーツを食べに行ったこともあった。あの時は食べ過ぎて辛かった。


「それで、今日の目的とかある?」 

「スイーツを食べに」

「え?」


 またスイーツ?食べ放題は止めようね?お腹壊すよ?


「池袋に気になるお店があるんだよ」

「遥は結構好きだよね?スイーツ」


 遥はニカっと笑ってまんざらでもない感じだ


「甘いものには目が無いのさ」

「太るなよー太ったら……お腹の脂肪揉んでやるから!」


「それじゃ行こうか」


 そろそろ9時を回る所だけど、3人は昨日の夜の更新作業に疲れたのかまだ寝ていた。



◇◇


 

 池袋のバス停でバスを降りて、ちょっと歩いた場所にあるシャイニー通りを、遥と手を繋いで歩く。もちろん恋人繋ぎだ。


 ここはいつも人通りが多いので、はぐれないようにする為でもある。


 雫とのデートの時もここを通った気がする。あの時はシャイニー水族館だったかな?あの時はカレンも連れて来たんだっけ?


 目的地はシャイニータワーの地下のようで、なんか地下道を通って行く感じだった。


「着いたね、ここだよ?」


「え?ここ?」


 どうやら入るには入場料が必要みたいだ。入場料を払って中に入ると……フルーツフェアと書かれていて、世界各国のフルーツを使ったスイーツの展覧会が開かれていた。


「すご!」


「これだよ!これが食べたかったのさ」


 遥が指差したのはフルーツフェアの目玉商品。世界のフルーツ盛り合わせと書かれていた。うーんこれは美味しそう。


「これは、果物だけでお腹いっぱいになりそうだね?」


 目玉商品という事もあり、その店は少し並んでいた。仕方ないので列に並び購入すると、その場で食べられるようにイートインスペースがたくさん用意されていた。

「美味しい!」


 私はフルーツよりアイスが好きなので、伸びるアイスを買ってきて食べていた。


「アイスもなかなか、イケるかも?」


「真君、あーん」

「え?」

「あーん!」


 遥が早くしろって顔をするので、恥ずかしいけど食べてみた。

 

「あーん、パクっ」  


 遥が口に入れてくれたのは、甘いフルーツだった。缶詰じゃなく、生の果物だ。


「うまい!」

「だろ?美味しいよ?これ」


 結局この日は、時間を空け、ずっとスイーツを食べ続けることになった。



 何か食べ放題の時と変わらないんだけど?お昼もスイーツだったよ?



 スイーツで膨れたお腹をさすりながら家に帰ると、3人がご飯を作って待っていてくれた。


 ……ごめんもう食べられない。


「もう、何食べて来たの?」


「スイーツ?というかフルーツ?」


「マコ様!狡いです!わたくしも食べたかったです!」


「僕もお腹いっぱいで、ちょっと今日は無理……かな?」


「仕方ないなぁ、結城先輩はもっとしっかりしてください!」




 ……結局、この日の更新作業はとてもきつかった。お腹的に。苦しい……。







あとがき


ここまでお読みくださりありがとうございました。

執筆の励みになりますので、続きが読みたい。

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