19話 ビフォーアフターだったのよ?

 

 


 佳奈が私の自宅に住み着くようになったので、一番面白くないのは遥だろう。


 先輩を除けば、遥だけ一緒に住んでいないので、仲間外れ感が半端無いのだ。


 しかも、最近遥とのデートもしていない。


 今日は月曜日なので4人で登校しながら、私は遥のご機嫌をどうしようか考えていた。

 今日遥は、家まで迎えに来なかった。



 私は知らなかった。遥がそこまで考えていたなんて。



 学校に着くと真っ先に遥を探した。


「遥?今日は迎えに来なかったけど何かあったの?」


「あぁ、真君いい所に来た。今日は引っ越しするから手伝って欲しいんだ」


「はい?」


「ほら、朝迎えに行くのも大変じゃないか?」


「大変?あぁ……そっか今日は来なかったよね?」


 もう、迎えには来たくないのかな?毎日大変だもんね?


「だから真君が住んでるアパート丸ごと買い取ったのさ」


「はい!?……今なんて?」


 何か今、耳が壊れたかな?幻聴が聞こえたよ?


「だから、真君が住んでるアパートごと買い取ったって」


「買い取った?」


「うん、今は真君の隣の部屋を全部くっ付けて拡張工事中さ」


「えええええええええええ!?」


「退去させるのって大変だったよ」


 でしょうね?無理矢理退去させられた人が可哀そうだよ?


「と言う訳で、今日工事が終わったら、僕も一緒に住むからよろしく頼むよ?」


 だめだ金持ちの考える事は分からない。


 いや、遥だったら僕の家広いから来なよ、とかいうのかと思ってたよ?


 と、いう訳で私は学校にいる間、家の事が気になって気が気じゃなかった。


 放課後になり、今日は生徒会も無かったので、いや生徒会があってもすぐに家に帰っただろう。


 家に帰ると……私の部屋の両隣の家との壁が取り壊され、部屋が広くなっていた。


「壁が無いいいいいい!!!」


 両隣の部屋には、それぞれベッドが置かれていて、昨日佳奈が買ってきたベッドも隣の部屋に置かれていた。


「なんという事でしょう!」


 隣の家との境界として仕切られていた壁は、今ではすっかり取り払われ、7畳の部屋は広くなり3倍の21畳に。部屋に一つしか無かったトイレも4人では取り合いになる事もしばしば、それが今では……トイレは、なんと3つに増えたことで渋滞も解消!狭かったお風呂も3つもあれば順番待ちをせず、いつでも入ることが出来ます。


 って、私のプライベートはどこ行ったの!?


 部屋同士には、扉もないので3つ纏めて一部屋になってしまっていた。


「気に入って貰えたかな?真君?」


「まぁ……便利よね?」


「僕を仲間外れになんてさせないからね?」


「えっと、もう一人連れてきてもいい?」


 これなら、一人暮らしの七菜香先輩の世話も見れそうなんだけど。


「は?何か言ったかな?聞こえないな?」


 遥を怒らせたら怖い事になりそう。


 取り合えずの危機は去った、ということでいいのかな?


 昨日は佳奈が、引っ越(家出)してくるし、今日は遥が強硬手段をとって引っ越して来た。


 ついに七菜香先輩を除く全ての彼女と、一緒に住む事になってしまった。


 これでさらに更新作業が難しくなってしまいそうだった。



◇◇



 後から、佳奈とカレンが帰って来た。


 私は、家が気になっていたので先に帰宅したのだった。


「マコ様?何ですかこれは?壁は?壁が無いです!?」


「何で私のベッドが移動してるのよ?移動する必要ある?無いよね?」


「これは遥が全部やったことで……」


「で、壁失くしてベッド移動して、私と寝たくないの?」


「だからこれは遥が……」


 ……話し合った結果。


 結局ベッドは三つ全部くっ付けてみんなで一緒に寝ることになった。


 そして、妹の雫が帰って来た。


「はぁ?何これ!?お兄ちゃん?ちょっとお兄ちゃん!説明して!」


「だから、匠が来てね?ビフォーアフターだったのよ?」


「意味わかんない!」


 私も分かんないよ?


 結局、雫にも同じ説明をしなければならず。


 二つのベッドに4人で寝る所、三つのベッドで5人で寝る事になったという事を説明することになった。


「最初からそう説明すればいいでしょ?結城先輩がこのアパートを買い占めて部屋を改造して壁を失くしたって事でしょ?」


「そうね」


「いいじゃない?リビングも出来たし、これなら食事も勉強も出来るよ?」


 たしかに、今までは狭いキッチンで食事をしていたけど、これならリビングで食事が可能だ。


 まぁ問題があるとしたら、カレンとの毎日の更新作業が全員に見られてしまう事。

 でも、全員が事情を知っているので大丈夫だよね?


 食事も台所が三つもあるので。3人同時に調理可能で、担当を分けてそれぞれ一品ずつ作ることで食卓のバリエーションが増えたのは良かったと思う。



 この日の更新作業は、遥に火がついてしまって大変なことになったので……。


 遥とのデートも、早くしなくてはならないと思ったのであった。

 





あとがき


ここまでお読みくださりありがとうございました。

執筆の励みになりますので、続きが読みたい。

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