18話 佳奈と自宅デート



 七菜香先輩とのデートを終えて帰宅すると、もう夕飯の時間で……折角なら食べてくればよかった……と思ったけど。近くのスーパーで買った食材で軽く野菜炒めを作って食べた。


 明日は佳奈との約束があるので、カレンと更新を済ませて早めに寝る事にした。


 今日の更新はカレンはともかく、雫にまで火がついちゃって……結局早く寝るつもりが寝不足になってしまった。


 そして次の日、佳奈との約束の日がやって来た。


 佳奈は家に来るって言っていたので、待ち合わせなどはしていない。


 とはいえ、デートはデートだ。準備はしておかなければならない。


 七菜香先輩とのデートでは、おめかしをしていったけど、佳奈だって私にとって大事な彼女である。


 こっちに召喚された頃の私の精神は、ほぼ女の子になっていた。でも、最近になって、マコちゃんとして七菜香先輩と出会い、私の中の男としての部分が復活しつつあるのも確かで……。


 既にカレンと雫という彼女と二人で住んでいるというのに、佳奈かのじょが家に来るってだけで……ドキドキしてしまう。


 それに、最近は七菜香先輩とばかり会っていたような気がするし、カレンの勉強を見るのが目的とは言え、七菜香先輩に気が向いていたのも確かだった。


 なんだろう。普通に考えたら、恋人が別の彼女と同棲していて、その同棲している家に別の彼女が訪問してくるって……それでその恋人は、実は前日にさらに別の彼女とお家デートをして来たとなると……。


 ……うん、アウトだ。普通なら真っ黒だ。包丁で刺されるような修羅場になるのは間違いない。


 でも、先輩とは決して男女の関係ではない。やましい事はしていない。健全!そう健全に女の子同士のお付き合いをしているだけ。


 お泊りはしてるけど?女の子同士の友達だってお泊り会くらいはするだろうし……。よし、問題ない!無いったらない!


 なんて、考え事をしていたら……佳奈が来てしまった。


 玄関を開けると、トランクを抱えた佳奈が立っていた。


「え?旅行でも行くの?」


「家出してきたから!」


「はい?」


 ちょっと待って欲しい。この家はワンルームで、台所と部屋は別々なので、1Kになるのかな?それにしても広さは7畳から8畳程度の広さしかない。

 ベッドは一つしか無いし、今は3人で一つのベッドで寝ている。


 布団も一組しかないので寝る場所が無い。


「家出?……どうして?」


「私もカレンさんの家で暮らすって言ったらダメだって……だから家出してきた」


「あはは……ダメって言われた場所に家出してきたんだ?」


「だって、真の家だから大丈夫って言ったのに!」


 多分それが原因じゃないかな? 真って男の子だし?男の家に行くって言ったら普通止めるでしょ?


「別に泊めてもいいけど?寝る場所がないんだよね……」


「もう一つベッド置いて!」


「えっと?もう一つ置いたら生活スペースが無くなるんだけど?」


「それじゃ、床でいいから寝かせて?」


 佳奈は床で寝かせてというけど、床で寝かせる訳にもいかない。


「お兄ちゃん。ベッドなら片づければもう一つくらい置けると思うよ?」


 はぁ、雫の言う通り、この部屋はすこし余裕があるので置けなくもない。


 という事で近くの中古家具を扱っているリサイクルショップでベッドを買う羽目になった。


 折り畳みタイプなので4人いれば運ぶのも楽だった。


「はい!これで4人で寝れるね?」


「まだ布団が無いけど?」


 今まで使っていたベッドに並べるように新しいベッドが増えた。けど布団がないのでそのままでは寝ることが出来ない。


「どうも!布団屋でーす!桜川さんのお宅はこちらでしょうか?」


「はい。そうですが?」


「お届け物です。受け取りのサインをお願いします!」


「……はい」


「ありがとうざいあしたぁ!」


「ごくろうさまです?」


 何故か布団が届いた。どうして?


「あ、布団頼んだの私!」


 佳奈?いつ買ったの?今日じゃないよね?お届けだもんね?計画的犯行?


「はい!どいてどいて!布団敷くよ」


 佳奈は届いた布団一式をマットレスから敷布団、かけ布団の順にベッドに掛けていった。枕まで用意してあった。なんで長枕?


 枕は一人用ではなくて、長い枕で3人くらい余裕で使えそうな枕だった。

 

 そう、抱き枕のような?


「はい!完成!これで今日から、ここで寝かせてね?いいよね?真♡」


「もう、ここまでして貰ったら、拒否権は無いんでしょ?」


 ついにワンルーム(1K?)に4人で暮らす事になってしまった私の家。


「不束者ですが、末永く……よろしくお願いします!真♡」


 えっと、なんで結婚したようになってるの?家出じゃ無かったの?


「それで佳奈?寝る場所は確保した?された?として、今日はデートじゃなかったの?」


「そう、デートだよ?ほれ、こっち来て?」


 私は佳奈に呼ばれて、佳奈が買った新しい布団に上がり、佳奈の近くまで四つん這いで近づいた。

 佳奈は、ベッドに上がった私の横に来ると。私の顔に自分の顔を重ねて……キスをしてきた。


「んん♡……ちゅ♡……ちゅ♡……真?……私はね?怒ってるんだよ?」


 やっぱり……ですよねぇ?


「ちゅ♡……んちゅ♡……ねぇ真?昨日は、どこに行って来たの?」


 キスをされながら、頭を抱えられ目をじっと見つめられながら尋問される心境……佳奈が怖い件。


「………………えっと」


「んちゅ♡……ちゅ♡……ん……言わなくても…良いけど?雫ちゃんから…全部聞いてるし?先輩綺麗だよね?学校で一番素敵な人……ほんと、妬いちゃうくらい素敵な人だよ?真には勿体ないくらい素敵な人……」


「……はぃ……」


「ちゅ♡……んちゅ♡ちゅ♡ちゅ♡………ねぇ真?真が何人と付き合おうと構わないけど……それが素敵な人だって構わないけど?……ちゃんと私を見てよ?私は真の何なの?彼女じゃないの?私の方を見てくれないと……寂しくて仕方ないの……うさぎは寂しくて死んじゃうんだよ?」


 最近佳奈とデートも出来ていなかった。それは遥も同じ事。確かに佳奈には寂しい思いをさせてしまっていたと反省する。


「もう。お兄ちゃんが悪いんだからね?」


「佳奈……ごめん、これからは佳奈との時間も増やすようにするから」


「増やすだけじゃ……嫌♡」


「佳奈……私は、いえ俺は佳奈が好きだ。んちゅ♡……ちゅ♡……んんちゅ♡」


「んちゅ……そう……行動で……ちゅ♡……示してね♡」


 私の姿はカレンのままなので、これは女の子同士の情事でしかない。


 でも、佳奈はそれでいいと言ってくれる。


 佳奈の愛の尋問はそれから……夜まで続き、その後はカレンとの更新作業。


 カレンは、昨日に引き続き火がついたようで、雫と佳奈まで乱入してきて大変なことになった。




 こうして、家には佳奈という幼馴染が住むようになって、4人での生活が始まった。






あとがき


ここまでお読みくださりありがとうございました。

執筆の励みになりますので、続きが読みたい。

更新頑張ってと感じて下さいましたら、

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