17話 七菜香先輩とお家デート
遠足の次の日は土曜日で、七菜香先輩の家に行く約束をしていたので、今日は朝からカレンのご機嫌取りで忙しかった。
当然一緒に住んでいる妹の雫も納得しない訳である。
「お兄ちゃん?そんなにおめかしして何処行くつもり?」
「今日はボランティアで、掃除に行く予定なんだけど?」
「へぇ……掃除するならジャージでいいんじゃない?どうせ汚すんでしょう?」
「えっと……そうだけど……」
「カレンさん?今日のお兄ちゃんの予定は?」
「今日は、七菜香先輩の家です!」
「七菜香先輩って、あの図書館で勉強を教わってる先輩の事だよね?」
「そうそう、今日も家を掃除してから勉強をね?」
雫は下から覗きこむように私の目を見つめて来た。
「ふーん、だったらカレンさんも連れていくんでしょ?カレンさんの勉強を見てもらうんだから?」
「……そうね?」
一人で行こうとしていたのに……雫に止められそうなんだけど?
「そうだよねぇ?カレンさん?」
「そうですよ!一人でなんか行かせませんよ?」
「と。言う訳で私も行くから」
「え?」
雫が自分も行くからと言って来たんだけど?今日はデートなんですけど?
「掃除するなら人手があった方がいいよね?お兄ちゃん?」
「そうね……なら……お願いしようかしら?」
と言う訳で今日はカレンと妹の雫も連れて行くことになってしまった。
今日は私と先輩のデートなのに、まさか
三人で軽く朝食を取ってから、家を出ると佳奈と遥が待ち構えている事もなく、無事に最寄りの駅までたどり着いた。
「お兄ちゃん?何さっきから警戒してるの?あの二人なら今日は来ないよ?」
「え?」
って、何で知ってるの?遥と佳奈が来ないって?
「今日は、私が見張り役だから……」
ええ?雫は見張りだったの?私、完全にマークされてるの?
「とにかく!お兄ちゃんは放って置けないの!…………放って置くと彼女が増えるから」
「え?何か言った?」
「知らない!」
今日はカレンに憑依はしていない。勉強するときだけ憑依しながら勉強する予定だ。
電車に乗り次の駅で降りたら、後は覚えている道に沿って歩いて行けば、七菜香先輩の住んでいるマンションに着いた。
このマンションはセキュリティだけはしっかりしているようで、部屋番号を押して七菜香先輩を呼ぶと鍵を開けてくれる仕組みになっていた。
七菜香先輩と一緒に入る時は鍵で開けるので問題ない。
ピンポーン
「七菜香先輩、カレンです」
「……ちょっと……まって今、開ける」
ロックが解除されたので、三人でマンションへと入っていった。
覚えていた部屋番号の前で待っていると、ドアを開けて先輩が出て来た。
「あれ?今日は……三人?」
「どうも、初めまして!私は、妹の桜川雫です!一年生です!先輩の事はよくお兄ちゃんから聞いています。よろしくお願いします!」
雫には、言ってないんだけど?いったいどこで聞いたの?
「そう、なんだ……妹さんも……いたのね?」
「そうです。それに、私もお兄ちゃんの彼女ですから……先輩には負けません」
えええ?何を競ってるの?
「へぇ?それは……どっちを…言ってるの、かな?マコちゃん?カレンちゃん?」
「どっちもです!両方です」
「なるほど……へぇ……妹ちゃんは……欲張りさん……なのね?」
「そんなことは無いです……」
「私は、カレンちゃんかな?」
はぅ!先輩♡
七菜香先輩が自分を選んでくれたのは本当に嬉しかった。私の中身を見てくれているって事だから。
「それより、そろそろ……部屋に……入らない?」
「「「はい!入ります」」」
……って、ええええ!?またゴミ増えてる!?
「先輩?このあいだ片付けてから、また増やしました?」
この間来た時は、大量のゴミに埋もれていた七菜香先輩の部屋をひたすら掃除したけど、今回はそれほど溜まってはいなかった。
これなら、ゴミだけ出してしまえば大丈夫だ。
「特に……何も?」
うん、何もしなければゴミは溜まるよね?捨てないんだから……。
これは、定期的に先輩の家に
掃除も3人いればすぐに終わった。(先輩は人数に含まれない)
「はぁ、終わりました!」
カレンも良く手伝ってくれた。
「わぁ……3人とも……ありがとう」
それからいつもの図書館でのように、七菜香先輩には勉強を教えて貰う事になって、私はカレンに憑依した。
「えっと、いつもの……マコちゃん?……だよね?」
「そうですよ?七菜香先輩。貴方のマコちゃんです♡」
そう言うと先輩は顔を赤くして、……可愛い。
「えっと、お兄ちゃん?突っ込んでいい?私もいるんだけど?」
「雫は、私の雫だよね?」
「……そうだけど、納得いかない」
いつも学校では、憑依したマコちゃんの状態で先輩には会っていたので、先輩にとっては、マコちゃんが恋人という事になっていた。
今は先輩に打ち明けたので、マコちゃんではなくカレンとして付き合っている。
「妹ちゃんは、お兄ちゃん……が、大好き……なのね?」
「そうよ?私はお兄ちゃんが、大好きなの」
雫はそう言うと、私にキスをしてきた。
「ん……ちゅ♡……んん♡……ぷはぁ♡」
「え?……そんな……兄妹で……しちゃうの?」
「しちゃいますよ?付き合ってるので……先輩はどうなんですか?」
なんか雫と七菜香先輩が……対決のような感じになって来たので私の入る隙間が無かった。
「キス……ですか?」
七菜香先輩と……キスかぁ……一緒に抱き合って寝たけど……そこまでの勇気は無かった。
「え?七菜香先輩?」
七菜香先輩の顔が近づいてくる。
「マコちゃん……私……いいのかな?私で……いいのかな?」
「七菜香先輩……私はそんな謙虚で、いじらしい先輩が大好きですよ?」
七菜香先輩と私の口が重なり合った。
「うん……ちゅ♡……んんんんん……ちゅちゅちゅちゅ♡」
長い長い……。息が続かない……。あの先輩?
「ぷはぁ……はぁはぁ……」
「あ……私、初めてで……こういうの……下手だったら……ごめんなさい?」
七菜香先輩の初めて頂きました。ありがとうございます!
「……私だって、初めてはお兄ちゃんだったもん……」
雫は張り合ってどうするの?
◇◇
それからは、しっかりと勉強の時間として七菜香先輩には勉強を見てもらった。
雫も見てるだけではつまらないので、ついでに雫の分からないところも、懇切丁寧に教えてくれた。
「先輩って教えるのも上手なんですね?なるほど、お兄ちゃんが先輩に惹かれるのも仕方が無いか……はぁ……先輩綺麗だし」
お昼はいつものように、ピザを頼んでゴミは増えたけど。それから勉強を始めてそろそろ夕方……帰る時間になった。
「今日は、ありがとうございました」
「妹ちゃんも、今日は……お掃除……ありがとう?」
「七菜香先輩、今日は3人でおしかけて……すみません」
「マコちゃんも、また来てね♡いつもの……図書館で……待ってるよ♡」
「もちろん、また近いうちに来ますよ」
掃除しに来ますよ!先輩は放って置けない。世話がかかる七菜香先輩。だけど私は七菜香先輩が好きだから……何度でも掃除しに来ます。
こうして、妹をつれていった七菜香先輩とのデートは終わりを告げた。
『マコ様!
あとがき
ここまでお読みくださりありがとうございました。
執筆の励みになりますので、続きが読みたい。
更新頑張ってと感じて下さいましたら、
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