16話 遠足デート3


 お勧めのカフェがあるとかで結構な距離を歩かされ、これ本当に休憩?って感じになったけど、着いたら着いたでお目当てのカフェは人気があるようで、結構並んでいた。

 仕方なく列に並び……順番を待つことに。

 

 ねぇ……これ休憩?


 そんな感じで並んでいると、七菜香先輩からメールが来た。


 メッセージには、『楽しんでる?ドラゴニカルパレード見たいなぁ……いいなぁ……今度二人で一緒に行きたいなぁ♡』と書かれていた。

 

「ドラゴニカルパレード?」


「何?真?誰からメッセ?雫ちゃん?」


 佳奈が訝しむように、私のスマホを覗いて来た。もちろん相手は雫ではない。


「いや……そうね……楽しんでる?だって……」


 七菜香先輩の事は、佳奈と遥には隠していたので……何とか言い訳を考えていたら。

「マコ様の浮気相手です。ふん!」


 カレンが爆弾を投下した。


「ちょ!見せなさい!真! え?……誰?この、七菜香って人?」


「七菜香?3年の高見七菜香先輩か?図書館の姫の……」


「図書館の姫!?どういう事!?真!」


 佳奈に肩をつかまれ、私の頭はガクガクと前後に揺さぶれた。


「マコ様の新しい彼女です!」

 

 カレンがふくれっ面で更に燃料を投下した。


「また彼女増やしたの?何!あの学校一の美人を彼女にしたの?真!?」


「そうね……七菜香先輩には、カレンの勉強を見てもらっているのよ」


 カレンが、先輩の事をばらしたならば……もう私には言い逃れは出来ない。私は観念して経緯を話す事にした。


「それで……、勉強を教えて貰う条件が……付き合って欲しいという事だったの」


「……ふーん」

「その作り話は面白くないな」


 この二人、信じてないみたい?


「本当だから!カレンも知ってる話だから?」


「だって……相手は学校で一番の美少女だよ?信じる方がおかしいよ?」


「もう、先輩の家にお泊りもして!一緒に寝てます!」


 カレンがさらに燃料を投下した。もう!何やってるのよ?


「「は!?」」


「いや、それは無いと思うなぁ?」

「あの、図書館の姫の家に泊まってさらに一緒に寝た?それこそ有り得ないね」


 この二人は全く信じないからもういい?いいよね?


「はい!という事で私は浮気をしていません?」


「?……はぁ、今は遠足を楽しみましょうか」


 何とか二人の追及を逃れた私。次は多分ないと思う。


「そうそう、ドラゴニカルパレード見る?」


 このドラゴニカルパレードというのは、このパークのキャラクターのドラゴンが園内を一周するというパレードで、ワイバーンのワインちゃん、地竜のアリシアちゃん、伝説の古龍エンシェントドラゴンのレヴィーちゃんとか色んなドラゴンのキャラクターが園内を回ってくれるというパレードになっているらしい。パンフレットに書いてあった。


「見たいけど……時間までまだあるから、他の所に行きたいかも?」


「そうだね……レノールの海賊か……お姉さんのハニートラップとか?」


「レッツ!ドラゴンワールドに行きたいです!」


 レノールの海賊は、大きな湖が舞台の海賊物のストーリーで、海竜が出てくる話だったと思う。湖に落ちた海賊が海竜に助けてもらってその海竜が人化の魔法で可愛い女の子シーラちゃんとして海賊と恋に落ちるとかなんとか?


 お姉さんのハニートラップは、たしか、精霊の森に棲んでいる精霊のお姉さんに出会って、お姉さんについていくと……美味しいハチミツ料理が食べられるんだけど……。


 実はその料理は全て毒キノコだったって落ちだったっけ?


 ドラゴンワールドは、みんなで楽しめる水上ライド系のアトラクションで、このパークのキャラがデフォルメされて可愛いらしい。


「ドラゴンワールドならすぐ乗れるし、いいんじゃない?」


 このドラゴンワールドは一度にたくさん人が乗れるので進みが早いのが特徴だった。


 ドラゴンワールドの列に並ぶと、すぐに建屋の中に案内された。建屋の中はひんやりしていて気持ちいい。


「マコ様!シーラちゃんです!海賊のシーラちゃんですよ?」


「シーラちゃんは海賊じゃなくて海竜だからね?」


 カレンは初めて入るアトラクションに興奮しているけど間違いが多い。


「ああ!マコ様!アリシアちゃんです!可愛いです!」


「そうね……結構かわいいかも」


 アリシアちゃんは地竜なんだけど、人化もするので可愛い幼女にしか見えなかった。


「お?真君!あそこにワインちゃんが飛んでるよ?」


「って、あれは、ただのワイバーンじゃない?」


 ワイバーンが数匹飛んでいたけど、全部同じにしか見えなかった。


「ねぇ真、あの大きいのはだれ?」


「あれはレヴィーちゃんじゃない?レヴィーちゃんは、エンシェントドラゴンだから体も大きいと思うよ?」 


「へぇ……詳しいんだね?」


 このパンフレットに書いてあるんだよ?


 何故かこのパンフレットには、懇切丁寧にキャラクター紹介まで載っていた。


 余韻冷めやまぬまま、外に出るとパレードを見るために人が集まって来ていた。


 私は七菜香先輩にメッセージを送った。


『パレード始まります』


 すると、ピコンとすぐに返信が帰って来た


『いいなぁ見たい!マコちゃんと一緒に見たいなぁ♡』


 可愛い!七菜香先輩はドラゴンリゾートが好きみたいなので一緒に行ったら喜ぶだろうな。


「マコ様?先輩ですか?」


「あ……」

 

 そうだ今日はデートに集中しなくちゃ。私はスマホをポケットに仕舞って、にっこり笑った。


「ごまかしても無理ですよ?」


 無理でした。


「今日はデートですからわたくしだけを見て下さい」

「あ、カレンちゃんだけずるい!私も!私も見てよ?」

「僕の事も忘れないで欲しいな」


「分かってるよ?うん♡みんな大好きだよ♡」


「そうやって、いつも騙されないんだから!」


 佳奈が文句を言って来たのでキスして黙らせた。


「んんん……んふ♡……んあ♡見られちゃう♡」


「あ!狡いぞ僕も!」


 遥がキスを要求してきたので遥にもキスをしてあげた。


「うんん♡……んちゅ♡……んん♡……んはぁ♡……」

 

「マコ様ぁ!わたくしにも!」


 もう、毎日してるのにカレンが要求してきたのでカレンにもキスをしてあげた。


「ん……マコ様……素敵です……んちゅぱ♡……ちゅ♡っちゅ♡」


 なんてしていたら、いつのまにやらギャラリーが出来ていて……。


「「「失礼します!」」」

「マコ様?」


 カレンを連れて、その場から逃げるように離れた。パーク怖い。


 逃げるように歩いていたら既にパレードは始まっていて、様々なドラゴンが大きな乗り物に乗って動いていた。


「すごい綺麗!」


「大きいです!」


「これは写真を撮って置こう」


「なかなかここまで大きいのはここでしか見られないからね」


 それから俺達はワイワイ言いながらパレードを楽しんで、いつのまにかみんな言葉も出なくなり、じっとパレードを眺めていた。


 パレードが終わると、もう集合時間に近くなっていたので集合場所に戻ることにした。お土産は買う時間は無いし、妹もいらないと言っていたから特に買う必要もない。


 集合場所に着くと、もう制服の集団が集まっているのが見えて来た。

 制服で来ているのはうちの学校くらいだったので間違える事は無かった。


 流石にみんな歩き疲れているのか、帰りのバスはみんな寝静まって静かだった。


 学校から帰れるのかが心配だったけど学校に着くなり、みんな元気になって各々帰って行った。


「また、来週ね?」

「真、明日は?空いてる?」

「疲れて寝てるかも……」

「じゃ明後日は?」


 佳奈はどうしてもデートしたいらしく、しつこく予定を聞いて来た。


「そうね……いいかな」


「じゃ、約束だよ?」


 結局、日曜は佳奈とのデートの約束をした(させられた?)。


 明日は……七菜香先輩との約束があった。







あとがき


ここまでお読みくださりありがとうございました。

執筆の励みになりますので、続きが読みたい。

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