15話 遠足デート2



ドラゴンマウンテンは、エンシェントドラゴンが住んでいる白竜山を登ったり、洞窟を探検して竜の集めた宝石を発見して、竜に追いかけられるというストーリーのジェットコースターで、山に登り切るまではゆったりとした流れで……逃げるシーンから速度が上がり、グルグルと早いスピードで逃げ回って元の地点に戻って来るというアトラクションだった。


「「「「「キャアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」」」」


 待機列に並び、待ってる間にも悲鳴が聞こえてくる。


 乗る前の緊張感がドキドキを加速させる。


「ねぇ真?これ本当に初心者向けなの?」

「あはは……そう聞いたよ?ゆっくり山登りを体験出来るって」

「そう?」


 佳奈は不安そうな表情で私を見つめてきた。震える手は私の右袖をつかんでいる。


「ふふっ……乗る前からイメージを高めてくれるこのダンジョンを模した洞窟がまた良い」


 遥は余裕そうな顔をしているので、コースター系は慣れているのかもしれないな。


「確かに……雰囲気出てるよね?」

「乗るのが楽しみです!」


 カレンは、憑依を解除しているので楽しそうだ。アトラクションは憑依では楽しめないと思って解除してある。


 そして、順番が来て……。


 私とカレンが前に乗り、佳奈と遥が後ろに乗った。


「うわああ……ドキドキする」


「登ってくよ?」


 私達の乗ったライドは、竜の巣と呼ばれる宝石がいっぱいある綺麗な洞窟の中をゆっくりと登って行った。


「うわぁ……綺麗です……」


「ねぇ……これ結構登ってんだけど?」


「山頂は火口になっててドラゴンに見つかるらしいよ?」


「ええ!?」


 ライドが山頂に着くと……ドラゴンのオブジェがこちらを睨んでいた。


 次の瞬間、ライドが滑るように下り出した。結構なスピードだ。


「「「「「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」」」」」


 ライドは、かなりの速度で右に旋回したり、左に急旋回したりして下っていく。


「ヒィ!!!アアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 身体が右に左に揺さぶられる。


「何が初心者向けよおおおおおおおおおおおおおお!!」


 佳奈の悲鳴?文句?を言っているのが聞こえたけど、こっちも自分の目の前の棒を握るのだけで精一杯だった。


 下山が終わり、ライドが停止すると……佳奈はグッタリとした感じで降りて来た。遥は大丈夫そうだ。


「誰よぉ……?初心者向け……なんて言ったのぉ……」


「結構楽しかったと思うけど?」


「もう一回乗ってもいいくらいだな」


「お願いだから……一人で行ってきて……」


 佳奈は限界だったみたい。山頂までは良かったんだけどねぇ。


「それより、次はどこいく?」

「休ませてくれないの?真……」

「だって……時間が勿体無いじゃ無い?」


 次は、佳奈が行きたがっていたドラゴンクルーズに乗ってみた。


 ドラゴンクルーズは、水竜の背中……という事になっている船に乗って、川を散策したり、急流下りをしたりするゆったり系の心に優しいアトラクションだったので、佳奈も楽しめたようだ。


「これよ……このゆったり系が好きなのよ」


 そろそろお昼という事で、通りがかりに見かけたハンバーガー屋さんに寄ってお昼を食べた。


 流石にパーク内は物価が高い……美味しいと思って食べたけど……実際美味しかった。


 カレンは憑依解除しているので、一緒に食事をしている。


 食事の後は……えっと……?


「ドラゴンズマンションです!」


 カレンが行きたいと言っていたアトラクションだったか……。


 ドラゴンズマンションは、野球は関係なく、ただ単にドラゴンが住み着いているマンションにお邪魔するという物だった。お宅拝見!?みたいなものか?


 ただし、ドラゴンゾンビの……。


「きゃあああああああ!マコ様!魔物です!やっつけて下さい!」


「カレン……静かにね?あれは作り物だから……」


「いやああああああああ!マコ様!出ました!ゾンビです!駆除を!浄化です!浄化魔法を!」


「だから……作り物だから……浄化魔法は効かないわ」


「出ましたよ!?フロアボスです!レアな宝箱をゲットしましょう!早く早く!ボス倒してください!」


「だから倒せないって……あ……倒した?」


 どうやら最後にボスを倒すというストーリーだったらしく……ボスは消えていった。


 う〜ん。まぁ……いいか?


「やりました!倒しましたよ?マコ様!」


「うん……倒したの?」


 こうして……私達は、無事にドラゴンズマンションから生還出来た。


「面白かったです!」


「うん、確かにあの最後のシーンは良かったね」


「そう?私はずっと目を瞑っていたから分からないわ?」


 佳奈は怖くて目を瞑っていたらしい。勿体無い……。


 ねぇ……疲れたから休憩しない?


 こうして私達のデートは、続いていった。





あとがき


ここまでお読みくださりありがとうございました。

執筆の励みになりますので、続きが読みたい。

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