14話 遠足デート1



 二年生は5月の梅雨入り前に遠足に出かけることになっている。行き先はTDR(東京ドラゴンリゾート)だ。架空の生物ドラゴンをモチーフにしたテーマパークで来場客はそれなりに多い。


 事前に班分けは住んでいて、私の班はマコちゃんと佳奈と遥の四人になる。

 3人は、このクラスでの私の彼女なのでいつものメンバーだ。


 そして、今日は遠足当日。


 学校の行事なので今日は制服を着ていく。今日は制服デートのようなものと思ってもいいかもしれない。恋人のいない他の生徒は可哀そうだけど?


 そもそも私の学園は、女子率が高いので……恋人といえば女子の事を指す方が多い。

 要するに、女の子を彼女にしている私は、この学園では普通なの。人数は関係ない。


「マコ様!準備出来ました!」


「よしいくわよ!」


「いいなぁ!ドラゴン……私も行きたい!」


「雫は学校でしょ?今日は2年生だけだから大人しく留守番しててね?」


「はーい。お土産……はいらない。いってらっしゃいお兄ちゃん!」


 雫はむくれているけど、学校行事なので仕方が無い。


 今日の集合場所は学校の校庭。


 途中、佳奈と遥に合流して学校に向かう。


「おはよう真!今日は楽しみだねぇ♡」

「おはよう!佳奈。うん、実はまだ行ったこと無いんだ」


「おはよ!真君。今日は、良いデート日和で良かった」

「遥もおはよう!ちゃんと眠れた?」

「問題ない」


 みんなと話しながら歩いていると、すぐに学校に着いてしまった。

 学校に到着すると、もうクラスのみんなは集まっているようだった。


「遅いわよ!藍沢さんっと、その取り巻き?」


「取り巻きとは失礼だな?荒川君」


「へぇ……結城さんも一緒だったのね?これで勝ったとは思わない事ね」


 荒川雪菜ユッキーは、何と戦っているんだろう。別にいいけど?


「僕達は、同じ班だから一緒にいるのは当然だからね?」


「もう、私を班に入れなかったこと、後悔しないことね!」


 荒川さんは同じ班になりたかったのかな?分からない人だなぁ。


 そんなこんなで、私達はクラスごとにバスに乗り出発した。



◇◇



 バスでの座席は、私とカレンが隣で、後ろに佳奈と遥が座っている。


 私とカレンの呼び方は、みんなの前なので「マコちゃん」と「カレンちゃん」に変えてもらう。もちろん私がカレンちゃんで、カレンがマコちゃんだ。見た目で呼んでもらった方がクラスでは違和感が無い。


「カレン様ぁ……もう食べていいですか?」


「マコちゃん。食べ過ぎるとすぐ無くなるわよ?」


 カレンは、結局私の事を様を付けて呼ぶ。今日はお菓子の持ち込みは自由だったので鞄にいっぱい詰め込んできた。嵩張るお菓子やバナナは持ってきてない。


 カレンと話をしていると、座席の後ろから手が伸びてきて、私の大きな胸をさわさわしてきた。


「あん♡」


 後ろの席は、佳奈だから…犯人は決まっている。 


「佳奈?ちょっと……」


「だって……つまんない交代!」


 佳奈は座席の交換を要求してきた。仕方が無いのでカレンと佳奈の座席を交換してもらった。


「えへへ♡やった♡カレンちゃんと一緒♡っふふーん♡」


 佳奈は私の隣に座るなり、腕を組んできた。そして……また私の胸をいじりだす。


 そんなに私の胸が好きなの?

 ついに佳奈の手が制服の内側に入って来た。どうも生がいいらしい。


「ん……」


 でもここはバスの中……バレたらどうするの?

 周りは女子しかいないからいいけど……。


 佳奈は周りを気にせず私にキスをしてきた。ちょっ……まずいって!


 流石に佳奈を止めないとやばいので、抱きしめて舌を入れてあげたら、離れてくれた。

 隣に見られたかな?ちょっとドキドキしてしまった。


 あ……隣は荒川さんだった。荒川さんの方をちらりとみたら……顔を真っ赤にして目を回していた。荒川さん大丈夫かな?



◇◇



 バスが目的地に到着した。広い駐車場で、バスは一般車より優先に入れるようだ。

 なんか入る前からドキドキしてきたよ?


 バスを降りて団体客入口まで案内される。なんか団体専用の入り口があるんだって。団体用だから、大きな入口をイメージしていたら普通だった。


「これから、班ごとに自由時間となる!帰りはまた時間になったらここに集合するように!遅れたら置いていくからな!お土産を買うなら早めに回っておけ!以上だ!では入場するぞ!」


「「「「「「わああああああああああ!!」」」」」」


 入場の合図に歓声が上がった。


 早く!早く!


「そういえば、どこを回るか決めてきた?」


「僕はドラゴンマウンテンに乗りたいかな」


「私は……そうねコースターは苦手だからドラゴンクルーズがいいかなぁ」


「はい!わたくしはドラゴンズマンションがいいです!」


 そうねクルーズ系は空いてそうだから、あとにしてマウンテンに行こうかな?


「それじゃ初めにドラゴンマウンテンに行きましょう?」


「はい!」「うん!」

「ええええ?それってジェットコースターでしょ?いやいや!無理無理!」


 佳奈は嫌がっているけど、ドラゴンマウンテンは初心者向けだから佳奈にも乗れると思う。


 さてあれ?カレンがいない?ちょっとここで迷子になったらシャレにならないよ?


 3人でカレンを探す事数分、トイレに並んでいるのを発見した。


「カレン!勝手に離れたらだめでしょ!?もう、迷子になったら広すぎて見つからないんだからね?」


「ごめんなさいです……」


 カレンが心配になったので、私はカレンに憑依してマコちゃんになった。


 マコちゃんの左には佳奈が腕を回していて、右側は遥と腕を組んでいる。はたから見ると連行される犯人みたいに見えるかもしれない。


「これなら迷子にならないでしょ?」


「真君がひとりになってくれたからこれは役得だな」

「真……真のデート♡ああん大好き♡」


 二人には歓迎してもらえたようでなによりだよ?


 こうして私(カレンに憑依中)と佳奈、遥のデートが始まった。


わたくしもいます!いますから!』





あとがき


ここまでお読みくださりありがとうございました。

執筆の励みになりますので、続きが読みたい。

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