12話 七菜香先輩とデート1
今日はいつも勉強を見てくれている七菜香先輩とのデートの日なんだけど……。
「カレン起きて?」
「いやです~眠いです~」
カレンは布団から出てこない。先輩とのデートはカレンがいないと「マコちゃん」としてデートする事が出来ないので何とか説得したい所なんだけど……。
「ほら、今日はカレンの好きなベーコンエッグにしたよ?」
カレンは耳をピクピクさせて少し反応した。もう少しかな?
「ん~もうすこし……」
「卵もトロトロだよ?」
「……とろ…とろ!?トロトロ食べます!」
カレンは布団をガバッと跳ね上げると……眠そうな目をこすりながら、私をぐいぐい急かしてきた。
「マコ様!早く!はやく!トロトロエッグはどこですか?」
「んじゃすぐ起きて!はい!」
「……起きます!」
カレンはベッドからノロノロと這い出してきて……芋虫みたいに私に抱き着いてきた。
「おはようのチューです♡」
「はいはい」
朝からカレンに熱烈なキスをしてもらったけど……今はそんなに余裕はない。
カレンを起こすと顔を洗ってから着替えをしてあげる。今日は私のデートだから、
「ブラは……無いから……カップ付きブラトップにして……ブラウスはこっちの可愛いので……やっぱり今日は夏向きの膝上までのプリーツのスカートかなぁ」
我ながらいい感じに仕上がったと思う。あとはネイルとリップを……少しファンデも……。
あはは……胸もカップを入れたので、どこから見ても女の子にしか見えない♡うんいい感じ。自分ってこんなに可愛かったのかぁ……。これなら……。
「マコ様どうしました?
「ううん、何でもない。もう食べていいよ?味わって食べてね?」
「うはぁ!美味しそう!いただきまぁす!」
……危ない。危なかった……。もう少しで
◇◇
七菜香先輩との待ち合わせ場所は、家からだと一つ先の駅前、実家からも見ても反対方面の駅だ。なので電車に乗って移動する。一駅移動して電車を降りると……細い通りに商店街の店が立ち並んでいた。あまりこっちの駅の方には来ないのでちょっと新鮮だ。七菜香先輩はこの近くに住んでいるのかな?
先輩との約束の時間まであと少し。私は、
すると後ろから声を掛けられた。
「マコちゃん?……おはよう?」
「あっ!おはようございます!七菜香先輩♡」
七菜香先輩は白いブラウスに水色がかったフレアスカートが、透き通った青い目とハチミツ色の髪に良く似合っていて……。私は暫く見惚れてしまった。
「……マコちゃん……今日は、随分と……可愛いね?」
「はい!綺麗な先輩とのデートなんで、ちょっと頑張っちゃいました。えへへ」
「ひゃぅ……綺麗だなんて……マコちゃんも……可愛いよ?」
「ありがとうございます。七菜香先輩に言われると、嬉しいです……」
「その……胸は入れたの?」
「……はい。パット入れてみました。……変ですか?」
私は首をかしげて、七菜香先輩の顔を覗き見てみた。
七菜香先輩は、私の胸に気が付いたみたい。マコちゃんは男の娘だから胸が無い。だから今日はカップ付きのブラトップを肌着として着て来ている。やっぱり胸があった方が可愛く見えるはずだよね?
「ううん?いつもは……無かったから……でも、いつもより可愛いかも……」
「良かったぁ。七菜香先輩のために……私がんばったので……えへへぇ♡」
七菜香先輩の好みは分からないけど、精一杯
七菜香先輩と二人で自動改札を通ってホームに出ると、七菜香先輩と手が触れた。
「「あ……」」
「七菜香先輩……手……繋いでもいいですか?……えっと、ホームは危ないし?」
「いいよ?……つなご?」
そう言う先輩のサファイヤの瞳は、私を笑顔で真っすぐ見つめてくれていた。
「やった♡」
……なんだろう?七菜香先輩に触れるだけで胸がドキドキしちゃう。
私の心臓は今、はち切れそうに高鳴っている。心音が先輩に聞こえてないかな?
やばいよ?私変だ……だって、私には異世界も入れると、彼女が7人もいるのに……。
『マコさまぁぁぁぁ……楽しそうですねぇ?』
『カレン……ちょっと後でね?』
私はカレンをスキルで眠らせてあげた。ごめんね?
電車に乗り、目的の駅で降りると目の前には美術館。七菜香先輩は美術館デートがしたかったみたい。
「私、本を読むのも……好きだけど、綺麗な絵を見るのも好き……だから」
「七菜香先輩!行きましょう?七菜香先輩の好きなもの見てみたいです」
「うん」
美術館に入ると、静かな展示スペースに様々な絵が飾られていた。
私の手はずっと……七菜香先輩の手を握っている。でも……繋ぎ方にちょっと不満があったので、思い切って恋人繋ぎに変えてみた。
「あ……こ……恋人つなぎ?」
七菜香先輩の顔は、ほんのりと紅潮して、私の手の感触を確かめているようだった。
「恋人ですよね?」
「はう……」
七菜香先輩可愛すぎぃ!はぁはぁ……お持ち帰りいいですか?
ああでも、お持ち帰ったら妹にバレる。
……それに、今の私はマコちゃん。だから……先輩の顔を見る度に私の胸の奥が疼く。
ずっと騙したまま付き合うわけにもいかないから。
美術館を出て、お昼は軽くファストフードで済まして、待ち合わせた駅まで戻ってきた。
まだ時間はある。
「先輩の家って近いんですか?」
「うん……ここから……歩いて10分くらい?くる?」
「行ってもいいんですか?」
「うん……いいよ?マコちゃんなら……歓迎」
私は、思いがけず先輩の家にお邪魔する事になった。
あとがき
ここまでお読みくださりありがとうございました。
執筆の励みになりますので、続きが読みたい。
更新頑張ってと感じて下さいましたら、
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