11話 七菜香先輩との秘密の勉強会




 図書室で高見七菜香先輩と知り合ってから、マコちゃんに憑依した私は生徒会の無い日は図書館で過ごすようになった。


 もちろんカレンの成績アップ、学力アップの為に七菜香先輩に勉強を教えてもらう為だ。


 便宜上先輩と付き合ってはいるが、別に他意はない。


 確かに勉強を教えて貰うのには、都合が良かったというのも本当の事だけど……。

 

 先輩の事は本当に好きなので……七菜香先輩の助けになりたいし、七菜香先輩にはもっと自分に自信を持って貰いたかった。


 あと、それから私は七菜香先輩との勉強会をマコちゃん(憑依中)として過ごすようになってから男としての自分を取り戻しつつあった。


 とは言っても……マコちゃんは男の娘なので……俺とは言えないけど……。


 七菜香先輩といると……何というか……私の男心がくすぐられて口調が男に戻ってしまうんだ。


 まさか……これって恋なんだろうか?


 今までになかった感じが……私の心を刺激していた……。



◇◇



 今日は……生徒会が無い日ね。

 

カレンちゃんマコ様……また、あの先輩の所へ行くのですか?」


 マコちゃんが私の顔を覗き込むように、頬の片側を膨らませながら睨んできた。


「そうね……これもマコちゃんの成績の為だから?」


「カレンちゃんは、成績の為なら付き合うんですか?しかも付き合ってる事になってるのはわたくしじゃないですか?」


「それは……ごめんって」


 マコちゃんカレンは自分の体で、私が勝手に先輩と付き合ったことに怒っている。まぁ当然と言えば当然のことで……。


「それで、今後は先輩をどうするつもりなんです?」


「ごめん……そこまで考えて無かった……」


「無責任です!」


「ごもっともで……」


 先輩には申し訳ないけど……事情を説明して謝るしかないのかな?


「それでなくてもマコ様……いえカレンちゃんには、わたくしという恋人がいますよね?しかも他に3人も!」


「……はい」


「は?まさか……わたくしに恋人を作って浮気させる気ですか?そうなんですか?そして……それを別れる口実に?」


 いや……何言ってんの?この子?私にそんな寝取られ趣味なんて無いよ?


「いや、しないし?させないし?」


「では……やっぱりカレンちゃんマコ様の浮気という事ですよね?」


「でも……今回のは本気というか……マジ恋しちゃった感じというか?」


「……はぁ!?そ、それなら、なお悪いです!ギルティです!この!この!」


 マコちゃんは怒った顔も可愛いんだけど……ポカポカと叩いてきても全然痛くない。

 だって……仕方ないじゃない?

 

 七菜香先輩の事、好きになってしまったんだから……。



◇◇



 私はカレンに無理やり?憑依して体の自由を奪った。


『マコ様!酷いです!』

『ごめんねカレン……先輩と会うには今はこれしか無いんだよ』


「すまん!成績アップの為だから我慢してくれ」


『……今夜が楽しみです!』


「お手柔らかに……」


 そりゃ怒るよねぇ。自分の体で浮気してるんだから。あははは……ごめん。


 さて、今私はいつものように図書館へ向かっている。当然の如く嫉妬するのは、マコちゃんカレンだけじゃない。


「あっ……マコちゃん?変な事聞くけど、カレンちゃん……どこ行ったか知らない?」


 佳奈が私に話しかけてきた。今はマコちゃんに憑依しているので私がいる事は分からないはず。


「し、知らないわ?」


「ん~?そう?ならいいんだけど?」


 何とかなったかな?


「私、これから勉強あるから!またね?佳奈ちゃん」


「さすがは……学年ランク3位ね?頑張って?マコちゃん?」


「うん……頑張るよ?」


 私は、このまま……図書館までたどり着けるのだろうか?


 そんな心配もよそに、それからは邪魔もなく……私は図書館にたどり着いた。


「ふぅ……なんで隠れて勉強しないといけないんだ?」


「あ……マコちゃん……いらっしゃい♡」


 図書館には、にっこりと笑ったハチミツのように綺麗な髪をした七菜香姫が待っていてくれた。やっぱりこの人は……とびっきりの美人だ。眩しすぎる。


 その透き通った青い瞳に吸い込まれそうになってしまう。


「あの……七菜香先輩……えっと、ま……待ちました?」


「うん……待ってたよ?マコちゃん♡」


「はぅ!」


 七菜香先輩に見つめられるとキュンってなってしまう。胸もドキドキしっぱなしだし……。

 完全憑依だと私の心にマコちゃんの体が反応してしまう。


「あの……前回の続き?からで……いい?」


「あ、はい……お願いします」


 それから先輩は、教科書で分からない箇所を丁寧に教えてくれた。


 七菜香先輩と肩が触れ合うと……先輩の髪の香りで……頭がクラクラする。


「なるほど……ここは……」


「こっちの式を代入すると……」


「あ、そうなんですね?」


 時間が経つのは早いもので……気付いた時にはもう帰る時間になっていた。


「っ……今日は……ここまで……かな?」


「ありがとうございます!……七菜香先輩の教え方、すっごく丁寧で……その、とても素敵でした」


「え?……あ……素敵だなんて……ふふ……ありがとマコちゃん♡」


「いつもありがとうございます、七菜香先輩!今度……是非お礼をさせて下さい」


「え?……お礼?……いいのに……」


 七菜香先輩は手を小さくフリフリして……可愛い。


「だって……本来ならお金を払っても良いくらいですから……」


「ん……それなら……えっと……デート……」


「デートですか?」


「うん……デート……してくれる?」


 そう言う七菜香先輩の顔は、耳まで真っ赤になっていた。


「はい!喜んで!」


『マコさまぁぁぁぁぁぁ!』





あとがき


ここまでお読みくださりありがとうございました。

執筆の励みになりますので、続きが読みたい。

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