2話 カレンちゃんモテモテです




 ――翌日。


 この日はカレンが女子の制服を着て、私が同じ制服を着て学園に通う初日となる。


「真君!?その制服は?」


「あぁ……遥、今日から私も高校に通うことになったわ。しかも初日から生徒会役員あと、カレンも生徒会に入ったからよろしくね♡」


わたくしは今日から女の子として学園に通うことになりました」 


「なんかいきなりな話だね……でも真君とまた一緒に学校に通えるのか。嬉しいよ」



 今まで男子制服で通っていた桜川真カレンが突然女子制服に変わり、男の娘になったという事実は、瞬く間に全校生徒の間に噂が広まっていった。


 それもそのはずで、カレンは自分が言うのも何だけど……兎に角、可愛いのだ。男の時でも可愛かったのに……今は女子の制服を着ている。さらに化粧まで!誰?化粧まで教えたの?え?佳奈ちゃんが教えてくれたって?


 さらに言うなら、私が一緒に学園に通うことになったという事で。金髪巨乳美少女の私と桜川真カレンが二人で並んでいたら、話題になるのも仕方が無いというもの。


 あの後、生徒会長に言われたのは、生徒会の役職について。現在副会長、書記、会計は揃っているので、与えられる仕事は庶務という事になる。


 学校へは行ったものの、今日は転校?の手続きがまだ終わってなかったので、授業に出るのは明日からとなる。その間はいつも通り、桜川真カレンに憑依したまま過ごした。


 そして、放課後になったので桜川真カレンを連れて生徒会室に顔を出した。


「紹介しよう!新しく生徒会に入ってもらった桜川真君と、カレン君だ」


「初めましてカレン・グランチェスカです。異世界から来ました」

「わ、わたくしは!桜川マコです!よろしくお願いします!」


「あらあら、二人とも可愛いわねぇ、私は副会長の山城拓実やましろたくみよ」


「書記の市川玲奈いちかわれなです。同じ2年生です。よろしくお願します」


「私は、会計の西川瑞希にしかわみずきよ。よろしく」


 異世界はスルーするのね。


 副会長は話し方がフワフワしていて優しそうな人だ。書記は同じ学年の玲奈ちゃんと、会計の人が眼鏡をかけたさばさばとした人だった。


「自己紹介が終った所で、新人二人の役職についてだが、桜川真君は庶務、カレン君はその補佐に入ってもらう事になる」


「庶務といっても私達の手伝いをして貰うのが仕事だ」


「……はぁ」


「それでは、これからよろしく頼むよ」


 生徒会長が右手を差し出してきたので、私は右手で会長の手をギュッと握し返した。


「はい!」



◇◇



 生徒会に入った事で運動部の勧誘は来なくなった。それに女装……ではなくて、カレンが女の子の制服を着て男の娘になったことで、教室の雰囲気が変わったような気がする。



「みんなー!転校生を紹介するよ~!もう、知ってる人もいると思うけど、金髪の可愛い子よ」


 担任の清川先生が私を呼んだので教室に入る。清川先生は私と同じくらいの身長で可愛いのだけど、一つ違う所を挙げるとすると、その真っ平な胸だ。そのため清川先生は小学生にしか見えない。ランドセルを背負ったら絶対小学校にも行ける。


「初めまして。カレン・グランチェスカです。訳あって今日からお世話になります。よろしくお願いしますね」


「なに?巨乳だとぉおおお!!」

「キャーカレンちゃん可愛すぎぃ!」

「金髪でロリだと?……」

「……ぐはぁ、お、大きすぎるでしょ?」

「カレンちゃんは私のもの……フフフ」


「みんなーカレンさんは留学生だから、仲良くしてね!」


 まぁ……異世界からの留学生だけどね。


「座席は~、指示がありますね、えーと、桜川真ちゃんの後ろの席です!」


「そうそう、桜川君も昨日からマコちゃんなのでよろしくとの事です!」


「キャー!マコちゃんかわいい!」

「あいつ、あんなに可愛かったのか?」

「俺、男の娘でもかまわない♡」

「あれで……男だと?」

「やらないか?」


 ホームルームも終わり、一限目の休み時間。このクラスのカースト上位、クラスで一番の美少女が話しかけてきた。


「カレンさん、私は荒川雪菜。ユッキーって呼んでくれても良くってよ?」


「はぁ……ユッキーさんですか?」


「カレン君!今日は一緒に帰れるかい?」

「今日は私と帰るんだよね?カレン」


 遥と佳奈が私の机にやってきた。まだ一限目が終わったばかりなのに、もう帰りの話をしている。


 マコカレンの二人が同時に学校に通うことになったから、混乱を避けるため、呼び方を他の生徒と合わせることにしたので私の事は学校ではカレンと呼んでもらい。カレンの事はマコと呼んでもらう事にした。だから今の時間は、私はカレンと呼ばれるのだ。


「藍沢さん?今は私がカレンさんとお話しているのですけど?」

「あぁ、荒川さんいたんですか?見えなかったよ?」

「な……な、見えなかったですって?」

「そもそも、カレンは私と付き合ってるの!荒川さんはどういう関係なの?」


「なぁぁぁ!?つ……藍沢さんと付き合っているですってぇ?」


「僕も、カレン君とは清いお付き合いをしているよ?」


 えっと、……清くはないね。


「って結城さんも!?あんた達!?どうなってんのよぉ?」


マコカレン様はわたくしのですぅ!」


「「「マコちゃん!?」」」


 クラスメイトの男は6人しかいない上に、私には男の友達がいなかった。所謂ボッチというやつだ。なのでよほどの物好きじゃないと、男の娘のマコに男は寄ってこない。


 例外を除けば……ホモは論外よ。


 まぁ休み時間になる度に、こんな感じで私は囲まれることになった。


 ただ、私みたいな美少女になると、寄ってくる男もいる訳で。


 クラスに6人しかいない男子の中でも、唯一イケメンに分類される男、長谷川健斗が私に話しかけて来たのよ。


「初めまして、カレンちゃん。僕は長谷川健斗。わからない事があったら、なんでも相談して欲しい」


「ありがとう長谷川君。でも分からない事は何も無いの。ごめんなさい?」


 早速、玉砕攻撃!もう近づかないで欲しいわ!


 そして、昼休み。私の前には長い行列が出来ていた。私、コミケの壁サークルじゃないんだけど?


「カレンさん!一目ぼれしました!付き合って下さい!」

「ごめんなさい」


「カレンさん!僕にもチャンスを好きです!」

「趣味じゃないわ。ごめんなさい」


「僕はあなたが好きです!」

「ごめんなさい、もう来ないで」


「僕を2番目の彼氏にしてください!」

「もう彼女が7人いるの。ごめんなさい?」


 もう、数えてないけど……全校の男子が集まって来てない?ってお前!彼女いるでしょ?


「彼女とは別れます!付き合って下さい!」

「一昨日来やがれ!あ、彼女は大事にして?……ごめんなさい?」


 ったく彼女と別れてから来いっつーの!いや、別れても付き合うつもりもないけど?


 疲れたわ。もう終わりかしら?みんな私の胸ばっかり見て気持ち悪いし。


「マコ様、いえカレンちゃんモテモテです……」


「疲れたわ、マコ、今日は帰るわよ」


わたくしも帰ります!」


 疲れたので午後の授業を、ぶっちして帰ることにした。もう面倒くさいので、対外的にはマコと恋人という事にしてしまおうかしら。


「手を繋いで帰りましょう?」


「え?マコ様?いいのですか?」


「何言ってんの桜川真カレン?私達……恋人でしょ?」


 婚約は解消したけど、今の関係は恋人という事になっていたはずよね?


「はい!マコ様!大好きです!」




あとがき


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