第三章 学園編

1話 なかなか立派なものをお持ちで



 前城山学園高等学校。今でも女子率の高いこの私立学園は、この近辺では難易度の高い全寮制の女子高として有名であった。


 共学となった今でも学生寮はそのまま充実しており、通学圏外からの受験も多く、全国から優秀なが集まる高校となっている。


 桜川真が通うクラス2-Aでもその傾向は強く、女子32人に対して男子はたったの6人となっており。男子にいたっては部活すらおぼつかない状況になっていた。

 例えば、サッカーは11人揃わず練習しかしない。野球は9人いないので練習試合も出来ない等々。


 そんな事もあり、この学園では女子の発言力がとても強く、生徒会も全員が女子で占められていた。


 また、限られた人数での部活の人材の取り合いは熾烈を極め、なんか許さん同盟やら、運動部同士の部員の取り合いもしばしば起きていた。


 そんな中で帰宅部を謳歌していたのが、桜川真である。




「マコ様!運動部の勧誘が、酷いです!」


『さすがに強引な勧誘が、多いわね』



 部活の勧誘に辟易していると、後ろからものすごい美少女に突然話しかけられた。 


「そこの桜川真君、いいかな?」


『え?生徒会長?』 


 生徒会長の九久院咲那くきゅういんさくな先輩は文武両道、質実剛健をそのまま表したような人で、さらに言うと学園で一番の美少女だ。


 その九久院先輩が、カレンに話しかけたのだ。何の用だろう?


『よく名前を知っていますね』


「私は、全校男子生徒の名前は全て暗記している」

 

 男子だけですか。一クラス4~6人くらいしかいませんけど?


『はぁ、で何の用事でしたか?』


「まずは、生徒会室まで来てくれるかな?そこで話そう」


 私はカレンに憑依したまま生徒会長に案内され、生徒会室に入った。

 生徒会室に入ると、生徒会長以外はいないようだった。


「ふむ、運動部には入りたくないが、勧誘を何とかして欲しいと?」


『そうですね、何とかなりませんかね?』


 悩みを生徒会長に打ち明けると、九久院先輩は考えるような素振りをして、カレンにある提案をしてきたんだ。



「……生徒会に興味はあるかい?」



 生徒会に入れというのが、九久院先輩の提案でその条件としては、女子の制服を着る事。生徒会には女子しか入れず、男子禁制なのが理由だとか。



 ようするに、カレンに男の娘になれと言う事か!?



「似合うじゃないか?可愛いよ、桜川真」



 女子の制服に着替えたカレンは確かに可愛い美少女にしか見えない。



「それと噂で聞いたんだけど、桜川真君の家には異世界人の女の子が住んでいるというのは本当か?」


 ちっ……本題はそっちか? まさか異世界人を狙ってる?



『それが何か?』


「いや、この学園には一つあまり知られていない制度があってね」


『制度ですか?』


「そう、宇宙人及び異世界人未来人特別奨学制度という」


『はい?』


 なんだ?その涼宮ハ〇ヒが好きそうなネーミングは?超能力者はいらないのか?


「宇宙人、または異世界人、未来人に当てはまる知的生物に対して、敵対せず安全であることを条件に、特待生として入学を許可する制度だよ」


『んな、アホな。ありえんでしょ?』


「そうなんだよ。あり得ないんだよ。理事長が遊びで作った制度でね「あるわけないけど面白いから許可」された経緯があって……そう、今までは有り得なかったという事だね」


「どうだい?入学させてみない?その子。もちろんお金は学園持ちだから心配はいらない」


『ちょと、申し出はありがたいのですが……』


「はい!お受けします!」


『ってカレン?』


わたくし、マコ様と一緒に学校行きたいです!」


「ほう、面白いね。真君の中には二人いると、なるほど会話も出来ると、ふむ」


 生徒会長!?察し良すぎでしょ?


『はぁ……分かりました。その制度利用させてもらいます』


「ふむ、決断が早い子は嫌いじゃない。では、この申請書にサインを」


 結局なんか分からない申請書にサインすることで、私はカレンとして。この学園に通うことになった。


「制服のサイズは……」


『あ……今出ます』


 私は、憑依を解除して生徒会長の前にカレン・グランチェスカとしての姿を現した。


「初めまして、カレン・グランチェスカと申します。以後お見知りおきを」


「ほう、実際に見せられると、感慨深いものがあるね。認めようカレン様。貴方は異世界人で間違いない。是非、この学園に通ってほしい」


「カレン様!?」


「いや、ダメだったかい?」


「いえ別に?こう見えて私は元公爵令嬢。貴族でしたから問題ありません」


「さてと、制服のサイズだが、なかなか立派なものをお持ちで」


「どうも、Gカップはあります」


「サイズは、以前コスプレ用に、特注で作らせたものが合うかもしれないね」


「特注、ですか?」


「ああ以前、ロリ巨乳なアニメがあってね、その時の制服だ。実は学園物でね?うちの学園が舞台だったんだ」


 コスプレって生地とか大丈夫なの?


「ちゃんと同じ制服を作っている業者に頼んだものだから、しっかりとした生地で破ける事は無い。安心してくれ」


 何で私が考えてる事分かるの?先輩。


 生徒会長が出してきたロリ巨乳用の特注制服に手を通す。


「おお!素晴らしい!是非カレン様も生徒会に!」


「ええ、めんど……」


「マコ様?わたくしと一緒じゃ嫌ですか?」


「カレンの頼みなら仕方ないわね」


「そうか!それでは桜川真君!カレン様!生徒会にようこそ!」



 こうして、桜川真カレンカレンは生徒会に入る事になったのだった。




あとがき


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